ちょこっと行って来る山登り


    No.8 北泉が岳(途中で挫折)



       山ぁ、厳しいねぇ・・・天気良く、楽しかった

       参ったな、雪が降っちまったよ、しかも本気でドカンと。
    雪が降る前に北泉が岳までの道に赤布付けようと思ってたら、雪が降っちまいました。
    雪が降ると夏道が分らなくなるんで、目印の赤テープとか、赤布打っとくと楽に行ける訳です。
    で、まさか11月にこんだけの雪が降るなんて思っても見ませんで、ぼやぼやしていたら、降っちまった訳です。
    んじゃぁ、まあ、多分大した事無いだろうけど、スノーシューとやらも初めてなんで、初体験的様子見、と言う事で、桑沼から北泉が岳に、あわよくば行っちまいましょう、と、出掛けてみました。

     我が家を7時30分頃出まして、泉が岳スプリングバレースキー場の駐車場到着が8時でありました。
    道路脇の、多分車を置けるスペースと思われる所に車を入れ・・・雪で埋もれてどこがどこだか分らないのです。
    身支度を整え、スノーシューを履いて歩き出したのが8時10分でありました・・・近いよねぇ、我が家から。

    スプリングバレーはもう滑れそうでした・・・光っているのは太平洋

     私のスノーシューは、インターネットのオークションで2750円で落札したインチキ物であります。
    なんと言っても、注意書きに「この製品は平らな所でご使用下さい。山岳登坂などハードな使用は絶対に避けて下さい」と言うヤワな代物なのであります。
    そうなんだよねぇ、何も知らずに買っちまった訳ですが、おもちゃ程度の物だった訳であります。
    それが証拠に日陰のアイスバーンにバカボンだかクランポンだかを激しく打ち付けたらアルミの前歯が曲がっておりました・・・ダミだこりゃ、であります。
    まあ、なんでも最初はそんなもんで、失敗してみて段々に理解して行く訳でありまして、しかも、冗談みたいな価格ですから。
    そして、合わせる靴は、これまた貧乏臭く、通販で買った防寒靴であります。
    一応はアウトドアブランドのコロンビアのビーンブーツタイプでありまして、氷点下32度まで使用可能、と言うものであります。
    こんなような商品もちゃんとしたメーカーの物は2万円とかする訳ですが、これはとってもリーズナブルでありまして、たったの7000円でありました。
    私の昔の経験から、ワカンで登れる宮城県の雪山ではガチガチの登山靴を履く必要は無く、防水が効いて暖かければ、雪に潜らない軽い靴の方が良いと思っていたのであります。
    ビーンブーツタイプのこれは、堅さも程々に有って、バックルの締め付けに耐えられるので申し分無し、と思って買ってみました。
    本日の試し履きではほぼ満足のいく物でありました・・・ただコロンビアは靴の幅が狭いので幅広の人は履き難いかも。

    歩いて来た道を取ってみました・・・スキー場の近くです

     私はガニマタなんであります。
    しかし、これは天然では有りませんで、高校生の時に始めた冬山で、ワカンを履いた事からこんなみっともない歩行になってしまった訳であります。
    と、言うくらいですから、スノーシューの歩き方、なぁーんて教本が売られておりますが、私には多分無用で、履いて23と半歩いたら、コツと素性は把握できたと思う訳であります。
    ワカンは雪が深いと、足を垂直に持ち上げて抜くようにして次の一歩を踏み出しますが、スノーシューは後ろを引きずり気味に、滑らす感覚で足を運ぶようであります。
    もっとも、林道の傾斜の緩い所の歩行では引きずろうが何しようがどうでも良いと思いますが・・・。

     さて、歩いている所が林道ですから車が走っていて当たり前なんでありますが、しかし、場所によっては30センチ以上もの積雪が有るのに、けっこうな数の轍や、キャタピラーの踏み跡まであって、真っ更な雪の上に私の足跡だけ、と言う訳には行きませんでした。
    しかしですよ、私の車も4駆ですが、たぶんここでは亀のコになって腹がつっかえて走れないと思うんでありますが、いったいどんな車が走って行ったんでしょうか、不思議であります。

    薄着ですがこれでも汗をかきました

     当初の目的の、北泉が岳への夏道へ赤布を下げる、はこの雪では無理だろう、と言う事で、スノーシューのテストと歩行訓練を目的に、桑沼まで行って、まかり間違って登れたらラッキー、と言う事に目標を変更であります。
    そう言う事なので、んじゃぁスノーハイキングなんだから、昔々ビーパルかなんかに書かれていたように、動物の足跡や木々の息吹などを感じながら歩まねばならぬ、と思った訳でありました。
    ところで、私の出で立ちでありますが、長袖シャツはハイテク素材のユニクロ1500円、その上の半袖は速乾性のハイテク素材ユニクロ2枚で980円、15年前に買ったジャージに、靴下は、薄手のハイテク速乾性1300円に、厚手の純毛2300円であります。
    ちなみに、手袋とスパッツは、ホームセンターで490円と398円であります・・・手袋は撥水のシンサレート入れで十分使えますよ。
    そして、本日は大きな泣き所が一つ・・・昨晩、昔のスキーのストックを探したのですが、とうとう見つかりませんで、手ぶらである事が、ちょっとばかしナニであります。

    水源の標識の沢の小枝なんですが、何かのマジナイでしょうか?

     雪道を歩いて驚いた事が有ります・・・こんな冷たい雪の上なのに、色々な虫が見られるんであります。
    小学生の頃虫少年だったのでありますが、こんな虫は図鑑でも見た事無いです、と言う物ばかりでありまして、一センチに満たないクモとか蛾とか、毛虫とか・・・なんで雪の上に毛虫がいるの?と、不思議でなりません。
    とにかく、日当りの良い雪の上はけっして静かでは有りませんで、色々な小動物が活動しているのであります・・・初めて見ました。

    毛虫です・・・たぶん、木から落ちたんでしょう、突いても動きません。

    クモです・・・これは元気に走り回っていて、沢山居ます。

     こんなような雪山の散策で決まり物なのが、ウサギの足跡と、ウンコと、オシッコな訳です。
    ウサギのオシッコは赤ションと言われていまして、雪の上にやや赤っぽいオレンジ色が付いているのですが、所構わず嫌と言う程見られるわけであります。
    カモシカとか、猿だとかは木々の葉っぱが落ちて見通しが良いので見えそうなもんでありますが、向こうからこちらも良く見えるからから、夏場の出会い頭よりも見られなくなると思うのですが、どんなもんでしょうか?

    この辺りまで来ると積雪は30センチを越えています

    朝のうちは日が当たったばかりで雪が締まって歩きやすく、試しにズボ足・・・最近の山の用語では、ズボ足と言わずにツボ足とか壷足と言うんでありますか?私はずーっと、ズボっとはまるからズボ足だと思っておりました。
    試しにズボ足で歩いてみると、だまって30センチ以上、膝までズッポリはまり込んでしまいました。
    ちなみにスノーシューで真っ更の雪の上を行ってみると、約10センチの沈みと言う所でありました。
    どーなんですかねぇ、スノーシューって?大きさの割りにはけっこう沈み込むと思うんですが・・・ワカンとあまり変わらないような。

    桑沼は凍っていました

    さて、約3時間、沢へ下りてみたり、不思議な踏み跡らしき物を追ってみたりと無駄な時間を費やしながらも、ほぼ快晴の暖かな雪道を楽しく歩いて来まして、桑沼入り口にやって参りました。
    この手前の夏場の桑沼駐車場の辺りですべての轍が消え、いよいよ、私だけの足跡が標される雪道になりました・・・気持ち良いです。
    11時なんで桑沼の東屋で雪の無い椅子に腰掛けて昼飯を食うべきか、それとも、少しは登山道を遡って偵察をしてみるべきか・・・そりゃぁ行くしか無いでしょう、と。

    この道標を最後に、迷子状態です

     踏み跡の全く無い真っ更な雪原は、どこが夏道だか分らなくなっておりまして、雰囲気と勘で行くしかないのであります。
    でね、良く山の雑誌なんかに、地図とコンパスって書いてありますよね。
    あれは、大体の方角が分る程度の物で、夏道がどこで、雪の雪原のどこを歩けば良いのか、なんて事には全く役立たないんでありますね。
    そんな時に物を言うのは、経験よりも勘であります・・・ナンボ経験が多くても、目印が無かったら勘に頼るしか無い訳です。
    さて、私の勘は、と言いますと・・・昔取った赤点・・・?そうなんです、学校へ行かずに山に入っていたもんですから、いつも赤点で・・・いや、昔取った杵柄で、勘は冴えているんでありますね・・・いや、本当の事を言うと、たった一度9月に登っただけで、しかも、無我夢中でしたから、なーんにも目印が分らないんでありますね。
    そんな訳で、夏道が間違えようも無い程に整備されているので、ペンキやリボンの目印も無い訳であります。
    まあ、地図で見た大体のコースは頭で描けるので、何であれ、大倉の稜線に出れば良い訳で、と。
    しかし、天気が良いから遠くまで見通せて楽ですけれども、これで雪だったり、ましてや吹雪だったりしたら見当の付けようも無い訳です。
    なんとも情けない、やっぱり鉢巻きと気合いだけでは雪山は難しい訳でして、準備不足だよなぁ・・・反省。
    それでも、何となく勘で登って行くと、雪の合間から夏道のロープが見えて、ほーらな、俺の勘に狂いは無いんだってば、と。
    ほっとして足を止めると、静寂の中に、何ゲラなんでしょうか?キツツキのドラミングが、響いておりました

    夏道で急坂に下がっていたロープを見つけた

     私のスノーシューと言うのは但し書きがうたっているように、登山に使える代物ではなく、ハイキング程度のオモチャである事は、チョットした登りですぐに判明しました。
    まず、全長が長過ぎて扱い難い事この上無しでありまして、しかも、クランポンだか味ポンだか知りませんが、滑り止めの爪が深雪には何の役にも立たない訳であります。
    そして、急登を登るのにキックステップで打ち込んでも、体重の支えが前の方のベルト一本なので面で捉えて滑りを停める事が出来ずに、崩れ落ちてしまうのであります。
    私は半ばやけくそで、壊れたって良いもんねぇ、と、キックステップ2段打ちで登って行くのでありますが、これ、横方向のズレにも滅法弱く、説明書通りのハイキング用で有りました。
    しかし、ネットで様々なスノーシューのスタイルを見てみますと、全部似たようなもので、何よりも足の支えが前の方のベルト一点と言うのは共通であります。
    そして、本格山岳用とうたわれている物は、昔ながらのワカンとたいして相違なく、それならワカンでいいんじゃねぇの、と言いたくなるのがスノーシューではあるまいか、と思う訳であります。
    なんであれ、私のスノーシューで山登りは無理であります・・・安物だから、懐も心も大して傷まなかったのが救いであります。

    この坂を登り切って撤退でした

     見上げる大倉の尾根まではあと標高差で100メートル程度でありますが、ここからは45度の急登でありまして、このへっぽこスノーシューでは絶対に無理、と言う事で、下る事にしました。
    もっとも、時間的にも既に12時近くでありまして、時間切れでもある訳です。
    この時、少しの距離をトラバースしてみたのでありますが、これがまた、支えが前の一点だけですから、抑えが効かずにずり落ちるのであります。
    さて、下りでありますが、これが一番難儀する所でありまして、スノーシューは急坂の下りは危険でさえあります。
    ワカンなら横になって制動を掛けて下る所で、同じ事をやりますと、トラバースのときと同じでずり落ちる訳です。
    それでも、横向きが一番下りやすいのでやるわけですが、長さが長くて取り回しが大変であります。
    と、まあ、スノーシューの能力がどんなものなのかが分ったのは大収穫でありまして、こんな物を持っていきなり高い山に行っていたら悲惨な目に有っていた事でありましょう。

    休息で冷えて、日が陰って冷えて・・・

     道具が揃っていなかったので登れなかった・・・けっして道が分らなかった訳じゃない・・・次ぎに来るときはワカンで攻めてやっからな、待っておれぇ・・・と、言う事で、桑沼湖畔の東屋まで戻ってお昼休憩であります。
    15分くらいの休憩が、本日初めてのまともな休憩でありまして、雪道と言うのは、濡れない格好をしていないと腰を下ろす所が無いので、歩き始めてから一度も腰を下ろして座っていない訳です・・・座ってみると、疲れをどっと感じます。
    昔使っていたウサギのシリ革はどこで座っても濡れず、暖かくて良かったんだがなぁ・・・。

     さて、お昼ご飯を食べて、後は林道をてくてく帰るばかりですから気楽なはずなのですが、登りで相当に消耗したようで、緩い坂道の林道が結構辛く感じました。
    駐車場着、2時15分、久しぶりの雪道往復約10キロ、6時間の歩行・・・体力的にはほぼ限界近くでありました。


     


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有ったらゴメン・・・?


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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