道楽者の成り行き
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5.放蕩者の道行


2004年3月5日 ライプチヒ、ドレスデン

3月5日(金) ロンドン 曇り

スタンステッド空港からライプチヒ・アルテンブルク空港に飛ぶライアン・エアーに乗る。いつものとおり機中で寝て、着陸体勢に入るところで起床。窓の外は雲も無い良い天気で、下の畑は土の部分と秋小麦の緑が縞をなしていたが、空港に近づくにつれ見る見ると白いものが地面を覆い始める。

ライプチヒ・アルテンブルク空港に到着する。字義通り「看板に偽りあり」である、アルテンブルク・ノビツ空港ではないか!周囲には何も無い、遥かかなたにもうもうと水蒸気を噴出す原子力発電所、視界をそこから左に移すと、いまやドイツの当たり前の風景になっている風力発電用の風車が林立している。空港にはジェット機用の格納庫も見当たらず、グライダーくらいしか駐機していない。昔のYS11しか飛んでいなかった頃の岡山空港のようである。

 早く入りなさいと係員に手招きされてしまった。降りる客と入れ替えに乗る客を誘導していました。


 原子力発電所。積乱雲のように蒸気を吐き出しています。


 空港の管制塔とライアン・エアーの飛行機(ボーイング737)。ケチケチ航空なので自社マークが消えても気にしない。


 遥か彼方まで何もなし。


ここでライアン・エアーの法則を導き出した。空港名が単独の時、例えばエアフルト空港、この時はエアフルトにある(実際そうであった)。空港名に複数の都市名を使っている場合は、最初の都市名は一番近い大都市、続く都市名が本当に空港がある都市。例えば

ハンブルク・リューベック空港   
リューベック中心部からは、市営バスで20分弱。ハンブルク中央駅からはアウトバーンを利用してバスで1時間

フランクフルト・ハーン空港    
ハーンという都市があるらしいが詳細不明。しかし、フランクフルト・アム・マインからはアウトバーンを利用してバスで2時間

カールスルーエ・バーデン・バーデン空港   
カールスルーエからは100キロ、バーデンバーデンからは15キロ

そしてここライプチヒ・アルテンブルク空港の場合は、事前の調査ではアルテンブルク駅まではバスで10分、そこからDB(ドイツ鉄道)のICEを利用して1時間15分ほどでドレスデンという距離である。ライプチヒで買い物をしてから行こうと思ったので、バスでライプチヒ駅まで行くことにする。電車で15分程度ならば、30分程度だろうと思ったが、これが間違いであった。1時間半近くかかった。もっとも、大都市以外の旧DDG地域の惨状が良く分かったが。

アルテンブルク駅は、綺麗に改装され、バーデン・バーデン駅のような趣を持って佇んでいる一方、駅前通りには4階から5階程度の戦前に建てられたと思しき庭付きの大きな邸宅が軒を連ねて放置されており、ホーンテッド・マンション通りと化して不気味であった。さらに道中には放棄された巨大な農家、農場、工場、さらには稼動を停止した原子力発電所と思しき巨大な建物までみられた。

 駅前は綺麗。因みに脇のとおりは、ゲルハルト・ハウプトマン通り、別段、織工たちが歩き回っている訳ではありません。


 こんな感じの立派なホーンテッド・マンションが軒を連ねています。幽霊屋敷通りとして売り出せばいいくらい。


 先ほどの原発。奇妙なことにあれだけが活動中という感じ。アニメ「未来少年コナン」に出てきた「太陽塔」を思い出しました。


 で、こっちが稼動停止した原発?人っ子一人いません。どうすんでしょう。解体しても核のゴミは行き場が無いし。



ライプチヒには午後3時前に到着。早速駅前から中心部に向かう通りにあるコイン店に向かう。現在金は歴史的最高値に達しているので、ハンブルク市制750周年記念金貨購入は見送り、他の10ユーロ記念銀貨、その中にはゴトフリート・ゼンパー、ドレスデンのゼンパー・オーパーの設計者の生誕200年記念コインを求めた。また、オーストリアのクリムトの記念銀貨を発見したのでこれも購入。オーストリアも残すところ数枚、ベームをモチーフにした銀貨とシューベルト・モーツァルトの金貨数種のみである。完集も近い。

続いて、並びのCDショップに、若干ベルリンのショップより高いので見送り。地元MDRのファピオ・ルイジのCDが大々的に売り出されていた。昨年のイースターだっただろうか、ドレスデンのホテルでTVを何気なくつけたら、MDR(中部ドイツ放送)で彼の特集を組んでいた。全編ドイツ語で細かいところはさっぱりであったが、犬と犬グッズの好きな奥さんが楽譜を整理したり、子供たちとくつろいだり、MDR放送響の楽団員を引き連れてキューバ公演に出かけた様子が映されていた。いずれどこかで聴いてみよう。時間があるのでトーマス教会に向かう。

中では合唱団が練習中。バッハの命日にはムローヴァがリサイタルをするらしいし、これからイースターにかけて大忙しであろう。教会前の中古楽譜店でショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ(ペータース)及びバッハの「アンナ・マグダレーダ・バッハの音楽帖」の楽譜を何となく購入。さらに、ライプチヒまできたのだからと、コーヒーハウスに寄ってコーヒーを飲む。止められませんな、これは。

 聖トーマス教会


  バッハの墓。主の方向を向いています。しかし、あれだけ意地悪?を彼に対して行なったのに、今や「聖バッハ」扱いですか。


 見やすいように、拡大・鏡像させてみました。逆行はむりですな。


16時47分ライプチヒ発の列車でドレスデンに。

ドレスデンのホテルの場所が分からないので、タクシーを拾って向かったところが、これがドレスデンの町の規模からするととんでもない場所で、ゼンパー他のあるアルト・シュタットから駅を挟んで南東にある丘陵地の住宅街の中であった。値段だけで選ぶとこんなことになる。バスもあることはあるが本数が少なく、駅からホテル、ホテルからゼンパー、それぞれ10〜13ユーロかかり、結局大散財であった。やっぱり駅前のイビスにしておけば良かった。

ホテルについたら18時過ぎ、コンサートまで時間がないとタクシーでゼンパーに向かうも、ついたら開演は20時からであった。慌てる乞食は貰いが少ないというがその通りであった、もっともバスのタイミングが分からない以上は仕方ないか。そこで、ゼンパーの裏手、エルベ川方向にレストランがあることを思い出し、10年振りに出かける。ガラガラであったが、前菜のスモーク・サーモンが味もよいし量も多くてgood、メインはいらなかったかもしれない。

では、待望のコンサート、果たしてシノーポリの「愛の墓」とは?


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