8月29日(日曜日)
『エリザベス』___シェカール・カプール監督+ケイト・ブランシェット+ジョセフ・ファインズ+ジェフリー・ラッシュ。
この映画は、イギリス映画界が、インドの新人監督(『女盗賊プーラン』を撮った)に、オファーした映画である。まず、この「抜擢」がすごい。日本に置き換えると、韓国の新人監督に、『平家物語』を撮らせてしまうようなものである。
だからまず、イギリスの歴史モノなんだけど、「発想」というか、「手際」が違う。
なんか妙に新鮮なのである。
「やー……、歴史って、ほんっと、面白いですねー」である。
俳優については、オーストラリア女優のケイト・ブランシェットも、声の出し方とかが、いかにも「クィーン」っぽいし、誰よりもイギリスって、感じを、非イギリス人ゆえに、大胆に出していたし、
悪人を演じると、悪人の目、狂人を演じると、狂人の目、そして、今回、「誠実な役柄」を演じると、誠実な目になってしまう、ジュフリー・ラッシュもすごい。
同時期(?)に、『恋に落ちたシェイクスピア』に出て、ほぼ同時代のコスチューム・プレイを演じていたレイフ・ファインズの弟(この「ファインズ兄弟」は、五人か六人か、いて、みんなサクセスしている、有名な兄弟とか、「N.Y.Times」に載っていた)、「濃い顔」のレイフ・ファインズ(この人は、「双子」で、「弟」だかは、確かサッカーの選手か、なんかだった)は、二つの映画が混同しなかったろうか? とか。上記のジェフリー・ラッシュと、対照的な顔ながら、「濃い顔」の方が、かえって、「目立たない」というか、「不利」というか(両映画とも、アカデミー賞にノミネートされたのに、本人は、まったく、とか)……
そういう感想を持った。
8月30日(月曜日)
「やー……、歴史って、ほんっと、面白いですねー」というのは、今日へと続く伏線でもあった──。さらにいえば、8月25日の意味不明のつぶやきも、思えば、伏線の一部であった。
しっかし、「日記」に伏線を張るとはな。
*
遅れ馳せながら、橋本治『双調平家物語』第1巻(この時期は、まだ中央公論社)を、やっと、読んだ。すでに、第4巻まで出ているが。
想像以上にすごい本である。論理の人、橋本治は、ついに、日本の歴史を論理として解き明かすのである。
「奢れるものは久しからず」、あの物語は、遠く、中国の秦から始まるが、285ページまである第1巻の、240ページまでを使って語られる、あちら(唐土)の諸行無常の物語。その論理の見事さ、筆致の華麗さは、並の中国モノエンターテインメント作家を、はるかに凌ぐものと思われる。しかも、純文学!
つまり、あちらで、卑しむべき生き方をした男の生き方が、なんと、こちら(わが朝)では、あたりまえの生き方(つまり、藤原氏の摂関政治)となる。そこに、この『平家物語』の突端は、ある。
いやー……このまま行くと、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』に肩を並べるのではないか? などと思うのは、贔屓の引き倒しか?
なのに、誰も、まともに、橋本治論を書く人はいない。この私も、ちょっと……いまは、その力がない……と、自覚している。
*
余談ではあるが、この本には、他の橋本氏の多くの本と同様、誤植がまったく見受けられない。これは、著者が、よくゲラを読み込んでいる証拠ではないか?
ちなみに、最も、誤植の多い本の書き手は、蓮實重彦である。ゲラ読んでるのかねー??? である。
奥泉光『グランド・ミステリー』にも、誤植はあった。
こういうのは、校正者の責任じゃないでしょう。
いやー、べつに、ただの気のせいかもしれませんが……。
9月1日(水曜日)
『タンゴ』__スペイン・アルゼンチン合作、カルロス・サウラ監督。これは、アルゼンチン・タンゴで語られる、アルゼンチン人の「8+1/2」である。しかし、フェリーニのそれとは大違いである。まず第一に、あれは、監督自身のメタ自伝であったし、それでいて、芸術的な深みもあった。
この映画は、アルゼンチン・タンゴ、例の野卑が命のダンスに寄りかかりすぎている。しかも、そのダンスは、わりと、退屈だった。
夜になって、ダンスの女王、ハギオさんに、電話して、アルゼンチン・タンゴについて訊く。
アルゼンチン・タンゴは、社交ダンスの「モダン」にある、タンゴとは、全然違う、ということである。どうも、社交ダンスのタンゴは、アルゼンチンで生まれはしたものの、社交ダンスの本場、イギリスで、洗練されたものに変えられたようである(って、ハギオさんの話だからねー)。
ついでだから、またまた、ハギオ語録。
ハギオ「あたし、あれ(『タンゴ』)は、ちょこっと寝ちゃったんよ。ちょっと踊りが退屈だったね」
私「私も、二、三回、コクっとなった」
ハギオ「ところで、あたし、『エリザベス』は、最初から最後まで、ほとんど寝てしまって、全然見てないんよ、よっぽど、疲れとったんやろね」
それは、あんたの脳みそに『エリザベス』が合わなかっただけでしょうーがぁー!
9月2日(火曜日)
『L'EXPRESS』8/26-9/1号の、なんと、経済欄に、レナルド・ディカプリオ《TM》の記事が出ていた。なんでも、Leonardo
DiCaprioという名前を商標登録申請中だとか。
オフィシャルな理由は、「第三者に名前を乱用されないため」だそうだけど、今後、この名前の「製品」を売り出すかも。
いずれにしろ、今後、映画のタイトル・クレジットのDiCaprioの名前の横には、「トレードマーク」の略である、《TM》が付くかも……って。
Coca-ColaやMarlboroみたいに、だと。
こういうふうに、スターがどんどん、名前を商標登録すると、ファンはやたらに、名前をホームページに書けなくなるかもねー………。
私なんか、Brad Pittとかが、先にすればいいと思うんだけど。こっちの方がより多く「乱用されてる」よーな……(日本だけの現象か?)。ま、すでにして「格」が違うか。DiCaprioは映画一本で、24億稼ぐスターですから。それにこれは、あくまで、「芸能欄」ではなく、「経済欄」の記事ですから。
(あんまり意味のないことに、たくさんの行を費やしたな)
9月3日(金曜日)
コンチネンタル・タンゴ、かも……と急に思い出す。
9月5日(日曜日)
9月も、もう5日かあ……。なんかネタぎれ、なんだよねー。
そういやさ、例の、盗作騒ぎの松本侑子氏のページ? あそこはときどき、覗いてるけど、肝心の盗作事件の行方より、「おでかけキモノ日記」とかに書かれた、次のような記述に、ついつい目がいってしまうのよねー。
「あんまり気が滅入るので、蓼科の別荘へ行く。私の持ち物ではなくて、パートナーのパパとママの別荘である」とか、「(これこれの料理は)お手伝いさんに教えてもらったもの」とかー……(これは正確な引用ではなく、アタマで覚えていたものの「再現」です、念のため。ウルセーからなー、あそこ。「テキスト論」からいくと、その資料の扱い方の厳密さは、ザルって感じだけど)。
それで、その「事件」に巻き込まれて、気が滅入っている最中に、ゆかた(生地や帯についての細かな描写あり。タダのゆかたとは違うんでしょう)なんか着て、東京湾のどっかで、オカマと船に乗って、花火見物?
だいたい、キモノが趣味ってのは、ちょっと金の入った「作家」(林真理子とかあー)とかに、流行ってる(?)やつでしょ? キモノってのは、洋服より、はるかに金がかかるしねー。
そのHPの、「イングリッシュ・バージョン」には、キモノを着たシャシンもあったりして、「プロフィール」も読んでると、恥ずかしくなるしー。
ま、なんちゅーか、芸能人の感覚、とゆーか、「作家」と言うより、「芸能人」と言った方が……。とゆーか、きょうびの「作家」って、その振る舞い、メンタリティーにおいて、芸能人と差がなくなってる人が多いような気もするしー。
私が橋本センセイを尊敬してるのも、氏は、あくまで作家であることを崩さないとゆーか。だいたい、仕事のしかたが違うんだよねー。どこかから、注文来るのを待ってるんじゃなくて、まず、自分のやりたいことがあって、それを次々こなしてくだけなんだよね。その本がどこから出ようと、あんまりカンケイないんだよね。
橋本センセイなんか、編集者(キャッキャッ騒いでる女の編集者にかぎって、とか)に原稿なくされたことだって何度もあるし、さる雑誌に、依頼を受けて書いたのに、ボツになったこともある。けど、だいたい、こういう世界は、半分はお水なんだって、わかってますからねー。
今度、その著作のほとんどが、どーも、盗作で成り立っているらしい、桐生とかゆー、ヲバサン二人のライターの本が、講談社+α文庫に入るらしいとかで、松本氏は、「講談社はまともな出版社だと信じてます」とか書いてたけどさー、
ちょっと前に新聞で見たよー。講談社+α文庫のなんたらとかゆー本が、別の出版社で出てた時、まるごと盗作本として指摘されてたのに、そのまま出しちゃったとか。男性の著者だったと思うけど。だから、べつに驚かなかったけどー。
しりあいの本屋の人に言わせると、新潮選書にも、そーゆー本はあったとか。
もうこういう話はほんと、キリがなくなると思うよ。
だから、そのままにしておけばいいってもんでもないけど。要は、「ベストセラー」になると、問題になるんだなー。
立松和平もなー、返り咲いてるしなー……。
やっぱ、見極められず、そういう本を買うやつがいるってことが問題だよなー。
9月6日(月曜日)
『ノッティングヒルの恋人』__ジュリア・ロバーツ+ヒュー・グラント(
)
なんちゅーか、このテの映画は、映画スターとの恋という設定上、どうしても紋切り型にならざるを得ない。まったく新しい展開など、不可能なのだ。しかしまー、この映画のラストは、それなりに、「新しい」と、評価できる。
役者であるが、ジュリア・ロバーツは、華のある女優と思っていたが、皮肉なことに、「映画スター」を演じると、とたんに華がなくなってしまう、とゆーか、最近、老けたのか、なんか顔が変わってきてしまった、って感じ。だんだん、変態役をよくやる、兄のエリック・ロバーツにそっくりになってきた……。
精彩がなくなってきたときに、こんな役をやるなんて──。
一方、ヒュー・グラントは、40才には見えない若さと初々しさが非常によい。知的な雰囲気は、自ずと出てしまうものらしい。この人あってこその「ノッティングヒル」だ。
時代は、ヒュー・グラント的余裕ある男のものとなったようだ。
前にこれについて「日記」に書いたので、それも合わせて参照されたい。
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ついでながら、その「日記」の最初に書いてある、映画の題名の、『Lock,stock
and two smoking barrels』というのは、「lock, stock and barrel」で、「なにもかも含めて」とか「全部」という意味。銃の各部の名称を並べているんだと思うけど、それで、barrelが2つで、しかも煙を吐いてるって、ことは……それ以上ってこと?
9月9日(木曜日)
『オースティン・パワーズ・デラックス』___「おバカ映画」というふれこみであるが、問題は、あんまり「おバカ」でも、「下品」でもないことである。むしろ、ある種のスノビズムが充満していて、それが、ともすれば、ひとりよがりに陥りがちなのが気になった(と、こういう映画には、あえてまともに)。
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英語ページのinspireという文字のタイプミス、inpireに、訂正のメールをいただくが、これだけ直してあって、署名がない。そういうと、探してみたくなる性質で。メールのサーバー名に、wwwをつけたら、通産省の生命科学研究所、みたいなとこへ行ってしまいました。
ひょっとして、Vivre sa vieの「英訳」、My life to liveの、「life」が検索に引っかかったんでしょうか? だとしたら、仕事熱心な人……(だって、それ以外に、上記のお役所の人なんかカンケーないもんなー)。
名前ぐらいつけろー、とか。だいたい私は「探り」ますけどね(笑)。
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小説更新したので、よかったら、寄ってってね。
9月10日(金曜日)
昨日の、メールくれた人に、「お礼」メールとは別に、「通産省の方ですか?」と、P.Sメールを送ったら、返事が来て、どこそこのサイトから回ってきた、ということだった。今度は、プライベートのアドレスを使っているようでしたが、すでに遅し(笑)。
「秘密にしてくださいね」と、相変わらず「匿名」で言われてもねー。「通産省の外局にいます」ということでしたが、いやー、やっぱり、なんつーか、特徴出てますよねー、「お役人」の。税金でできたサーバー使って、「匿名」なのに、自意識過剰、とか。
うちはニュース・レター以外のメールは滅多に来ないんで、たまに来ると、ジロジロ観察しちゃうんですよー、珍しくて(笑)。
それが、運のつきだった、つーか……。
あ、メールについていたユーザー名が、一応「名前」か。collesって、どーゆー意味だろ? colleは、フランス語で、「のり(接着剤の)」のことだけど、それが複数だから……? とか、少ない材料で、いろいろ考えちゃうんですよー(なんか、「生命科学」と関係していそう……。そのサイトもブックマークしちゃったんで、こんどゆっくり行って観察してこよっ)。
(って、ヒマだな、私も)。
男性か女性か、わからないけど、意外と女性かもしれないな、このテの自意識過剰は──。
(って、完全にヒマなんだって)。
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↑ある種の「フィクション」として、お読みください。
P.S.____その、「やってきた」というサイトへ行ったら、この人↑のホームページがあったので、見てきてしまいました。なんか、結構「かわいい」ページだったので、「材料」にして悪かったかな、と、ちょっと反省しました。collesは、「小さい丘」のことだって、そこに書いてありました。そういや、Beckettの小説に出てきたような……。
9月11日(土曜日)
風立ちぬ、いざ、生きやもめ(←わざと間違えてるので、メールなど書かないように)。
数少ない訪問者のみなさん、たまにメールなどを書いても、いつも一方的にドヤされ、不公平だとお思いでしょう。それで、このサイトも双方向的であるために、突如、掲示板を作りました。
「場」のコンセプトとしては、そこの上の方に書いてある、「ゴドーを待ちながら」です。
それが、どういう意味かは、各自すきにお考えください。