金色日記 Diary in Gold


11月17日(月曜日)

 「純文学作家」にとって、自分の作品が商品として流通するかどうか、ということは、二義的なことである。では、なぜ書くか?
 答えは、明白である。書くことが、自分の存在を支えるからである。そのような作品を書くのが「純文学作家」だと思うのだが、日本には、そういうジャンルはあるけれど、純粋な意味での「純文学作家」は、意外と少なくなっているのではないか。
 これも、あらゆるものが「物象化」している世の中だからである。
 とは言うものの、「純文学作家」だって、食っていかなければならないから、売れたら、売るでしょうね。それはあくまで結果だけど。少なくとも、書く時は、結果を前提にして書くべきではないと、しか言えない。
 しかしまあ、そう簡単に売れるわけはないから、とりあえず、何かをして「修行」するわけですわ。ライターとかね。(英語圏では、まったく同じ言葉であるが)。
 つまり、「作家」の顔して鎮座ましましてては、生計が立たない。で、ライターとしての「お仕事」を取るために、いろいろ、プライドがぶっ飛ぶようなこともするわけです。それもまあ、「作家修行」のひとつでしょう。
 「芸術」っていうのは、そう簡単には受け入れられないものなんです。

 (ほんとは、こんなことを言えた柄ではないけれど、なんか今日は、「お勉強」しちゃったもんで、妙に、高尚な気持ちになっているのだった)。


11月18日(火曜日)

 しかし、である(昨日の続き)、上記のような態度は、ともすると、具体性を欠いた超越的な態度に陥る危険がある。「銭の取れる役者」って言葉があるように、「銭の取れる」仕事をするべきなのは言うまでもない。
 自分を支えるために書くんだけど、結果は、「プロ」でないとね。しかしそうすると、「物象化」の罠に落ちやすい。
 ではどうしたらいいか。絶えず、その両者を自分に問い続けることである。つまり、永遠の弁証法を繰り返すこと。

 (まだ「お勉強」のなごりが残っているのだった。「なごりが残る」って、言うのかなー?)


11月19日(水曜日)

 9月24日に、Amazon.comで注文した(約30ドル、送料6ドル)、ゴダールの『アルファヴィル』(1965年の作品)のヴィデオが今日届いたので、見られるかどうかデッキにかけてみると・・・きれいな音に、きれいな映像が現れた!
 アメリカのヴィデオは日本でもOKなのだー! とあらためて感激!(もし見られなかったら→「アップリンク」で変換してもらおうと思っていたが。30分で500円・・・って書いてあった)
 ついでに見てしまう。字幕はもち、英語。『惑星ソラリス』なんかを、ふと思ったりした(ほんとは、『2001年宇宙の旅』とかを思わねばいけないのだろうが)。
 「アルファ60」というスーパー・コンピューターによって支配されている未来都市の中心が、「ホテル」というところが、いかにもゴダールらしい。その未来都市に潜入する探偵のレミー・コーション役の、エディ・コンスタンティーヌの風貌が、オーソン・ウェルズめいているのもシブイ。
 なんと、アンナ・カリーナは、デンマーク人だったのだ!
 昨日は、衛星放送で、『新ドイツ零年』(30年後のレミー・コーションが登場する、『アルファヴィル』の続編といえば続編)をやったんだよねー。でも、録画し忘れてしまった。市販のを買うか。(←これはまだ出回っている)

(すみません、「アンナ」を引き立てるため、バックグラウンド・カラーを突如変えてしまいました)

P.S. 1 ゴダールは40年の監督生活で、たったの一度しか「フラッシュバック」なる技法を使っていない。→『訣別』。(松浦『ゴダール』よりの知識)

P.S.2 「今日」は「衛星」で、『ヌーヴェルバーグ』があったのでとった。あいかわらず、美しい映像である。ドロンもよい。

P.S.3  いよいよ土井さんが宇宙ですね。「12年待った」と言われてるけど、その12年の内実が今の私にはわかるような気がする。


11月20日(木曜日)

 リチャード・アッテンボロー+サンドラ・ブロック+クリス・オドネル=『ラブ・アンド・ウォー』Byヘミングウェイ。___なんとも奇妙な取り合わせである。
 アッテンボローは『遠い夜明け』というりっぱな映画も作ったが、『ジュラシック・パーク』に出演して、結構本性を現わしちゃった(?)んで、今回もそれほど意外ではない。
 シリアスな演技に取り組むサンドラ・ブロックの顔をじっと見ていて、(だ、誰かに似てるぞー・・・)と思ったら、八代亜紀だった。
 なんというか、簡単すぎて、よくわかんない映画である。才気煥発な若きヘミングウェイ。さすがは、のちに「ノーベル賞作家」である、てなところも感じさせていいんじゃない? 18才ぐらいの男が26才の女と恋愛するんです。わりあい新鮮な感じがしましたけどね。映画的評価はたぶん、よくないと思うが。若きヘミングウェイ役のクリス・オドネルも、18才には見えなかったが、本物より才気が感じられた

 さて「今日」も「衛星」はゴダールです。『ゴダールの映画史』。さすがゴダール、映画の歴史を、映画ではなく、ヴィデオで撮影している。

 なんかこのページは映画づけになっているが、いいのだ、今の文学にとって、映画は避けて通れないものなのだ(と私は思うから)。


11月22日(土曜日)

 いやー・・・あんまり書くことがないのだ。あるにはあるのだが、愚痴になっちゃうしねー・・・。何度も問うが、いったい公開の、「日記」ってなんだっけ、なんだっけ? 誰も政治家の挨拶みたいなことや、道徳的人生観など聞きとうはないだろう。「わざわざ」日記を公開してるわけだし。「伝言板」でも「コマーシャル」でも「創作」でもなく、「日記」なわけだし。
 ほんと言うと私はアタマに来ているのだ。先週の土曜日に書いた、「キャリアウーマン」に。そりゃ確かに私は、彼女が「その時」、財布に3000円しか入れてなかったとバラしてしまったが、でも、誰だってそんな時はあるじゃないか。私なんか1000円も入ってない時だってある。
 それにわざわざ、「キャリアウーマンだったら」と条件をつけてやったのに。また同時にこれは、現実より「よく書いてやっていた」のだ。ほんとのこといや、キャリアウーマンなんて思ってないもん。
 まあ、運悪くそれを見ちゃったら、怒るかもしれないとは思ったけどね。でも、彼女はいつもは私のホームページなんか全然関心持ってなかったのだ。たまたま先生が「妖怪の絵」を見るように勧めたのだ。で、見てしまったのだ。
 それで昨日の朝10時半頃、わしが寝ている時に電話して来て、人のことを、「サイテイ」だの「だから友達をなくす」だの「永久にさよなら」だのと声を抑えながらも、わめき散らした。
 今日は今日で、仏語のクラスが終った後、完全に無視して違う道をすーっと行ってしまった。ま、どーでもいいけどね。
 つまり彼女は「キャリアウーマン」などではなく、「女学生がただ年取っただけ」の人だったのだ。そんなの前からわかってたから、彼女と毎回「お茶する」習慣ができてしまったのは時間の無駄だと思っていたのだ。
 しかしここに、彼女の名誉のために付け加えておきましょう。彼女は、もちろん、クレジットカードを持っていて、それで払っては・・・と口に出しました。
 「あんなふうに書いてあれば誰だかわかる」って、彼女は怒ってましたが、たとえわかっても、その「わかる」可能性のある人は、コモン先生と、あと二人ぐらいの生徒でしょうが。彼らがあんたの財布に3000円しか入ってなかったのを知っても、べつになんとも思わないでしょう。
 でも私、全然「失敗した」と思ってないんです。まあ、いつかはこうなるんじゃないかと思ってましたから。意外だったのは、彼女の興奮ぶりでした。「サイテイ!」を三回ぐらい繰り返して、「友達が誰もいない」とか「永久にさよなら」には呆れました。あまりの表現の稚拙さに。
 でも実を言えば、こういうふうに怒って去っていった人は、ここ5年くらいで3人目です(笑)。って、ことは、ほんとに「だから友達が誰もいない」かもね(苦笑)。しかし、彼女たちの共通点もある。それはやはり「年取った女学生」みたいであること。

 萩尾さんと新しくできた「ケンタッキー・フライド・チキン」で、長々とおしゃべり。私は萩尾さんがすきだ。心がやさしくて、気取ってないから。
 萩尾さんは背が低い男がすきではないので、ほんと困っちゃう。私のすきなメル・ギブソンもジョニー・デップも、
 「背が低いけねー」と言うのだ。
 「そこがカワイイじゃん」

 今度彼女は、また社交ダンスの発表会に出る。今度はモダン。スローで、『シェルブールの雨傘』を踊る。また行ってやらねばならない。でも彼女、またパーティー券(フルコースのディナー付き)の代金、半分出してくれるんだって。

 突如、リンク追加。

 小説等の更新はもう少し待ってね。11月いっぱいは、やらねばならないことがあるので。


11月23日(日曜日)

 橋本センセイがね、また出してしまったんだよねー、ごま書房から。啓蒙の作家にふさわしい「シリーズ」だとは思います。『ハシモト式 古典入門__これで古典がよくわかる』。ちょっと今、読んでる余裕ないんで困っちゃったなー・・・と思ったけど、読んでしまいました。気になるんで。
 うーん・・・確かに蒙が啓けた。平安から鎌倉時代までの文学史とか歴史もわかってしまった(←苦手な分野だったがのー)。
 でもこれは、建前としては、「受験生に向けて書かれた」本なのだ。橋本ファンとしては、「作品」として読んじゃうのだが。
 橋本センセイはやはり、すごく前衛の人なんだなーって思いました。谷崎並みにね。でも結構わかりにくい人。本もあんまり売れてないと思う。一冊一冊は。だから数出すんだよー。毎日新聞なんか、今頃、読書欄で、『男になるのだ』を取り上げているのだ。もう次が出てるのに。
 しかしわしも「作家」宣言したからには、あんまり手をこまねいて「橋本センセー!」とか言ってられない。批判的に乗り越えなければと思っている。
 一応、ポイントだけ「アフォリズム」に取り上げておきます。

 またまたリンク追加。昨日の「Rooms」から辿っていった「FREIHEITSTROM」。「かっこいい!」と思ったのでリンクお願いしちゃいました。タイトルは、サイトにある同名のSF小説よりで、運営されている斉藤聡氏よると、ドイツ語から氏が作った言葉で、英語で言えば「Free(dom) Stream」だって。そのSFに出て来る携帯電話感覚で利用できるようになったインターネットのことを意味しているそうです。
 このサイト、どうですか?>4Dさん。


過去の日記

メニューに戻る