お、オラ君、よ、よく我慢できたね。
ボクはゲンちゃんの言うように、みんなの後ろでじっとしながら走っていた。
おかげでまだまだ元気いっぱいだ。
そ、それじゃあ、そろそろ行こうか。
ゲンちゃんから「ごーさいん」が出た。
よーし、ボク、頑張るぞぉ。
うーん、でも、先頭の子は、だいぶ遠くに見えるな。
お、追いつけるかなぁ。。。
ま、前の仔に追いつこうなんて、お、思わなくてもいいから、
お、思い切り、す、好きなように走ればいいよ。
ゲンちゃんのムチがぴしりとボクのお尻で鳴った。
好きに走っていいんだ。
そうかー。
他の子のことを考えなくていいと思うと、なんだかうきうきしてきた。
あははー、やっぱりボク、走るの楽しいな。
いやー、スタートのアクシデントで、今日もダメかと思ったけど、よく頑張ったねぇ。
高木さんがにこにこ笑いながら迎えてくれる。
あれで鉄が脱げたんだろ?
おめぇは、蹄があれだから、ひやりとしたぜ。
大井さんがほっとした顔でボクの「たづな」を取った。
ボク頑張って3着に入ったんだよ。
ちょっと間隔があいたけど、連続して勝ち負けできたねぇ。
どっちもスタートで後手を踏んだ形になったけど、結果的にそれをうまく利用したね。
ゲン君、よくやったよ。
高木さんがゲンちゃんの肩をポンポンと叩いた。
オラ君もよく頑張ったよ。
今度はボクの首をなでてくれる。
えへへ、ほめられちゃった。
真矢ちゃん、見てたかな?喜んでくれたかな?