第11話「スーパー未勝利」


その日はいいお天気だった。
でもちょっと暑いな。風もちょっとぬるぬるした感じだった。

「ばぼー」の中で「らじお」が鳴ってる。
この「らじお」って奴は、ちっちゃい箱のくせによくしゃべるんだ。たまに歌も歌う。
でも、ボクのおしゃべりの相手をしてくれるわけじゃない。一人で勝手にしゃべってるんだ、いろんな人の声で。
最初は話しかけても相手をしてくれないからつまらなかったけど、聞いていると意外と面白いってことに気がついた。

今日は「れーす」のお話をしている。
メリーフローラ小母ちゃんはそわそわしながら耳をそばだてている。
サイキョウ小父ちゃんはそんな小母ちゃんを横目で見ながら寝藁を食べている。
どうやら二人ともボクの相手をしてくれそうにない。ポピーお姉ちゃんはお外で走り回っている。
ボクはお外で走る気分じゃなかったから、母屋のほうに足を向けた。

おっちゃん、おっかちゃんとあんちゃんがみんなで「てれび」の前に集まっていた。
「てれび」ってやつを初めて見たけど、びっくりだ。板切れの中で小さな人とか馬とかが動いているんだ。
あんなうすっぺらい板の中にどうやって住んでいるんだろう。
いやいや、この中に住んでいるわけじゃないさ、遠くの場所を映しているんだ、って言っても難しいか、
ってあんちゃんがボクの鼻面をなでた。
うん、わかんないや。でも遠い場所が見えるんだってことはなんとなくわかった。

お、オーガだ。おっちゃんが声を上げた。
「てれび」の中を、オーガお兄ちゃんが、人にひかれて歩いていた。
大きな腹巻みたいなのをつけて気取って歩いている。なんかかっこいいな。
あれは腹巻じゃなくて、ゼッケンって言うのよ、おっかちゃんがボクに教えてくれた。

よし、落ち着いているな、でも。。。雨がな、っておっちゃんがつぶやいた。
そうなんだ、お外はいいお天気なのに、「てれび」の中は雨が降ってるんだ。
でも、オーガお兄ちゃん雨降りの日はいつもはしゃいでたよ、大好きなんじゃないの?
ああ、あいつちっちゃいだろ、力があんまり強くないからな、雨が強くなって道が悪くなるとちょっと心配だな。
確かに雨でべちょべちょになると走りにくいや。それはやだな。

しばらくすると「てれび」の中のおじさんが旗を振りはじめた。
いよいよだな、あんちゃんが息をつめた。
オーガお兄ちゃんと他の馬たちが「げーと」の中に入っていった。
もうすぐ「れーす」が始まるんだ。




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