第127話「帰還」


よく頑張ったなチビ助。
「れーす」を終えたボク達を出迎えた大井さんが、ボクを褒めてくれた。
最近は大井さんに褒められることがちょっと多くなってきたぞ。
えへへ、ボク成長してるのかな。

それと、弱虫、最近のお前ぇにしちゃあ、まあまあまともだったじゃねぇか。
す、すみません、で、でも、ぼくがもうちょっとうまく乗れてたら、
に、2着までは、あ、あったかもしれないです。
ゲンちゃんが泥だらけの顔をぬぐいながら、体を小さくしている。

まあ、そうだっかもしれないけど、最後に前が詰まったところをうまく抜け出せたのは、
ゲン君の好騎乗だよ。
二人ともよく頑張ったねぇ。
高木さんがにこにこしながら口を開いた。
このメンバーがそろった中で掲示板を確保できたんだ。
まあ、上出来といっていいだろうね。
そう言うと高木さんはゲンちゃんを見てニッと笑った。
さて、ここから調子が戻ってくるといいねぇ。

おお、お前、新入りかい?
「きゅうしゃ」に大きな声が響いた。
スカイクルー兄さんの声だ。
兄さん、戻って来たんだな。
お帰り、兄さん。もうけがは大丈夫なの?
ボクは「ばぼー」から首を出した。
おお、オラ、久しぶりだな。
おかげさまでぴんぴんのピンよ。
完全復活さ。
あいつは新入りかい?
うん、グランツール君って言うんだ。
へぇ〜、そうかい、宜しくな。

陽気に声をかける兄さんに見向きもせずに、
ツール君はバケツに首を突っ込んで、もぐもぐとご飯を食べている。
ありゃ、聞こえてねえのかな?
ううん、多分聞こえているよ、いつもあんな感じなんだ。
ボクがくすくす笑うと、ツール君はいつものようにバケツの中でもぐもぐしながら、口を開いた。
ああ、ごめん、ねぇ〜。
聞こえて、るよぉ。
食べるのにぃ、忙しいからぁ、失礼だなぁとは、思ったけどぉ。
そして満足そうに、ご飯はぁ、おいしいなぁ、って続けた。

そんなツール君を見ながら、兄さんは目を丸くしてボクを振り返った。
ここは、馬も人も、なんていうか、個性的なのが集まってくるなぁ。




第128話へ
オラ日記バックナンバーへ
オラ日記タイトルへ戻る