第128話「変わり者」


確かにそうだねぇ。
スカイクルー兄さんが言ったことを後で聞いた高木さんが、そう言いながら、
ははは、と笑った。
個性的といえば聞こえはいいけど、ぶっちゃけ変なのが集まってるよねぇ。
涼しい顔で高木さんがひどいことを言う。

ま、それは否定できやせんね。
俺を筆頭に変な奴ばっかだ。
大井さんが相槌を打つ。
僕もトレセン内では変わり者って言われてるしねぇ。
高木さんが苦笑する。
おや、自覚あったんですか?
大井さんも結構ひどいことを言う。

そりゃあ、色々聞こえてくるしねぇ。
高木厩舎は変な奴ばっかり集めてるっていうんで有名らしいよ。
高木さん、なんか他人事みたいな口ぶりだ。
そうですねぇ、集まってるんじゃなくて、集めてるって方が正しいでやすねぇ。
大井さんが頷く。
なんで癖のあるのばっかり採るんですか?
いやぁ、僕は腕や力があるって見込んだ人とか馬を選んでいるだけだけどねぇ。
まあ、衆目一致する実力者はなかなか僕くらいの実績じゃ集められないしね。
どうしても変わり者が多くなるねぇ。
才能があるって言うのは、ある意味変わっているってことだから。

そう言うと高木さんはグランツール君の方に目を向けた。
さて、次は新入りの変わり者のグランツール君の出番だ。
早君が乗ってくれるんだ、頑張らないとね。
その声が聞こえているのかいないのか、ツール君はいつものようにバケツに頭を突っ込んで、
「ごはん」をもぐもぐと食べていた。
多分、聞こえているんだけど。




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