年が明けてボクは5歳になった。
最近はちょっと暖かい日が増えてきたよ。
「ふゆ」ももうすぐ終わるんだな。
この前ちょっとお休みをした後、ボクは何回か「れーす」で走ったんだ。
勝ったり負けたりだったけど、ん?、勝ってはいないから、負けたり負けたりか。
前もそんなことを言ってた気もするけど、
あの時は負けたり負けたりだとなんか恥ずかしいっ、て思ってたな。
でも今は「れーす」に勝つことがすごく難しいことだってわかっているから、
恥ずかしいなんて思わない。
えへん、ボクも「りっぱなおとな」だな。
うふふ。
気持悪りいな、何一人でにやけてやがる。
まぁた、くだらねぇこと考えてやがるな。
え、お、「おとな」だなんて思ってないよ。
けっ、図星かよ。
大井さんがボクのご飯を用意しながら、軽く舌打ちをした。
ねぇ〜、早くぅ、こっちのご飯もぉ、用意してよぉ。
グランツール君がとなりの「ばぼー」から首をのぞかせとこちらを見た。
そう焦るんじゃねぇや、順番ってもんがあるんだ。
それはわかるけどぉ、早くぅ。
お腹ぁ、空いたよぉ。
けっ、お前ぇはいっつも腹ペコじゃねぇか。
大井さんは、今度はもっと大きな舌打ちをしながら、ボクのご飯の用意を終えると、
ツール君の方に向かった。
いつもならここでスカイクルー兄さんが目を丸くしながら、
あいつは相変わらずだなぁ、とか言うところだけど、兄さんの姿はない。
去年、「ありまきねん」っていう「れーす」を最後に「いんたい」したんだ。
「いんたい」かぁ、あの時は説明されても何のことだかよくわからなかったけど、
今は何となくわかってきた。
あまり考えたことはなかったけど、ボクもそのうち「いんたい」するのかぁ。