マリアサンディーちゃんは、ボクのとなり、
となりでもグランツール君とは逆の方、の「ばぼー」に入った。
サンディーちゃんはツール君にも、宜しくねっ、って声をかけてたけど、
ツール君は例によってご飯をむしゃむしゃ食べてるばかりで何の反応もなかった。
でも、サンディーちゃんは何も気にしていないふうだった。
そもそも、サンディーちゃんはいつも誰にでも元気よく「あいさつ」するんだけど、
相手が「あいさつ」を返すのを待つでもなく、すぐに別のことに注意を向けちゃうんだ。
ひとのことはお構いなし、って感じだ。
自分が気になったことにしか興味がない子だねぇ。
高木さんがちょっと目を丸くしながらそんなことを言っていたな。
そして興味の対象がせわしなく変わるねぇ。
移り気で飽きっぽいなぁ。
競馬になってそれが悪い方に出ないといいんだけどね。
最後の方はちょっと「にがわらい」だった。
それって何かよくないの?
ボクがそう聞くと、高木さんはちょっと肩をすくめた。
走っている最中にあっちが気になりこっちが気になりしてたら、競馬にならないよね。
そりゃそうだな、うん。
でも、サンディー君は体がしっかりしてきたら、多分かなり走るよ。
そうなの?
メリーポピーお姉ちゃんくらい早くなる?
そうだねぇ、僕はそれくらい期待しているよ。
お姉ちゃんと一緒の「れーす」で走ったりするのかなぁ。
ボクはちょっと楽しみになった。
うーん、それはどうかなぁ。
多分、サンディー君はダート向きだろうねぇ。
へぇ〜、そんなことが分かるんだぁ。
本当は、走ってみなければわからないけど、なんとなくそんな感じがするんだよねぇ。
サンディー君って、血統はバリバリの芝馬なんだけどね。
なんでもサンディーちゃんのお母さんの一族は、
芝の「じゅうしょう」を勝った馬を何頭も出しているんだって。
お父さんも芝の「じーわん」を何個か勝っているらしい。
ボクには難しくてよくわかんないや。