まあ、それにはたいぶ時間はかかりそうですけどね。
女王様になる、って言った後、早さんはそう言って笑った。
体がちゃんとできるのは、古馬になってからだろうしねぇ。
それまでは苦労しそうだなぁ。
高木さんもそう言って笑った。
女王様ってなぁに?
マリアサンディーちゃんが首を傾げた。
それはね。
高木さんが説明しようとした時、サンディーちゃんは
高木さんがかぶっていた「ぼうし」に目を向けて、黄色い声を上げた。
あら、なぁに、この柄。
かっわいぃ〜。
女王様の意味はもうどうでもいいみたいだった。
高木さんは早さんと顔を見合わせて「にがわらい」するばかりだった。
そうこうするうちにボクの「れーす」が近くなってきた。
最近、ボクの「でばん」が少なかったから、頑張っていいとこ見せないとな、うん。
いいとこ見せるって、誰に見せるんだよ。
大井さんがボクの横でつぶやいた。
え、ええと、真矢ちゃん?
そうだな、お前ぇはあのお嬢ちゃんにいいとこ見せなきゃなんねえよ。
っていうか、お前ぇ、いいとこ見せられんのかよ。
大井さんのぼやき声にかぶさるように、
あらぁ、あたしにもいいとこ見せて欲しいわぁ、
と、からからとした声が響いた。
鍋井さんだ。
大井さん、そうぼやくってことは、オラ君調子よくないんですか。
見ての通りだよ。
大井さんはそう言うと肩をすくめた。
いつも通り元気そうですけどぉ。
といってボクを見やった鍋井さんが、あらあ?と甲高い声を上げた。
オラ君痩せちゃいましたぁ?