ボクはそれ以上は痩せずにすんだんだ。
体調も変わりなかったんで、予定通りの「れーす」に出ることになった。
正直調教の時計も物足りないけど、ぎりぎり及第点って感じかな。
高木さんがボクの鼻面をなでながら笑った。
あんまり「じょうたい」はよくないってやつ?
ボクが尋ねると、高木さんはちょっと苦笑いした。
う〜ん、そうだねぇ、悪い、とまでは言わないけど、確かに良くはないねぇ。
その時ボクは思い出した。
あ、そういえば、昔、調子が悪い時に勝ったことがあったよね。
それじゃ、今日も勝つんじゃないの?
いやぁ。
高木さんはボクの言葉を聞くと首をかしげた。
物事そんなにうまくは運ばないよ。
それに、そもそもあの時は、中間は絶好調で当日に体調が悪い感じになったよね。
今回は体調は悪くないから、あの時とは違うかなぁ。
なぁんだ、つまんない。
せっかくいいことに気が付いたと思ったのに。
ボクはちょっとがっかりした。
まあ、今日できることをしっかりやろう。
いつものようにね。
高木さんがそう言って笑うと、大井さんが後に続いた。
そうだぜ、そんなゲン担ぎに頼るのは、すべてをやり切った後にやるこった。
お前ぇは目の前のレースに集中してりゃあいいんだ。
むむーん、まあいいや、うん、今日も頑張るぞ。
ボクは気を取り直して、「ぱどっく」に出て行った。
しばらく歩いていると、時間になって、ゲンちゃんが駆け寄ってきた。
や、やあ、オラ君。
きょ、今日も宜しく、ね。
そう言いながらボクにまたがると、おや、とつぶやいた。
お、オラ君、見た目ほど、じょ、状態は悪くないみたい、だ、だね。
ボクちょっと自信出てきたぞ。