ボクは「ふっきせん」に向けて「れんしゅう」を重ねた。
結構いい感じになって来たんだ。
うん、これならそろそろレースに使ってもいいかな。
高木さんも笑顔で頷いていた。
そしてボクはすごく久しぶりに「れーす」を走ったんだ。
結構頑張ったんだけど、結果は6着だった。
び、微妙だな。
結果は残念だったけど、一回使ったことで、いい感じに上向いてきそうだね。
高木さんはそう言ってボクの首筋をぽんぽんと叩いてくれた。
よぉ〜し、次の「れーす」に向けて頑張るぞぉ。
ボクはがぜんやる気になった。
でも結局、それがボクが走った最後の「れーす」になった。
う〜ん、再発しちゃったねぇ。
高木さんが珍しく渋い顔になった。
こいつはちょいと厳しそうですねぇ。
大井さんも渋い顔でつぶやいた。
次の「れーす」に向けて「れんしゅう」していたある日、
ボクのあしにまた痛みが走ったんだ。
年齢も年齢だし、また再発する可能性もあるし、ここから休んでもねぇ。
結局ボクは「いんたい」することになった。
高木さんのところを「たいきゅう」する前の日、坂石のおいちゃんと真矢ちゃんが訪ねてきた。
オラ君、今までよく頑張ったね。お疲れ様。
おいちゃんはそう言いながらボクに「にんじん」をくれた。
わあ、これ、甘くておいしんだよ。
真矢ちゃんはもじもじしながら、そっとボクの鼻筋をなでてくれた。
「いんたい」かぁ。
高木さんや大井さん、グランツール君やマリアサンディーちゃん、
他の色々な人たちともお別れなんだな。
その時ふとスカイクルー兄さんが言っていた言葉を思い出した。
お前には最後まで楽しんでいて欲しいもんだなあ。
兄さん、ボク最後まで楽しかったよ。