第19話「ダウン」


おや、降ってきましたね。
坂石のおいちゃんが外を見て言った。

本当だ、真っ白い「ゆき」がふわふわってお空から落ちてきた。
ぶるぶる。道理でさっきから寒いわけだ。
「ゆき」はまっすぐ落ちてこなくて、あっちに行ったりこっちに行ったり、寄り道しながらふわりふわりと落ちてくる。
たまに風に吹かれてお空のほうにちょっと戻ったりして、見ていると楽しいんだけど、油断していると大変なんだ。
この前なんて、楽しくてずーっと見ていたら、急にあたりが真っ白になって、
ふわりふわりとしていた「ゆき」がざーってすごい勢いで当たってきて、びっくりしちゃった。
その時はあんちゃんに、早く「ばぼー」に戻れ、って怒られちゃった。
「ゆき」はけっこう意地悪なんだな。

さあ、ここじゃ寒いですから、母屋のほうに行きましょう。
おっちゃんがおいちゃんに声をかけた。
真矢、お前はどうする?おいちゃんが真矢ちゃんの肩に手をかけた。
真矢ちゃんはじっとおいちゃんの顔を見て、ボクをちらりと見てうつむいた。
そうか、ここにいるか。じゃあ、寒いから風邪を引くんじゃないぞ。
そういうとおいちゃんは手に持ったもこもことした服を真矢ちゃんの肩にかけた。

真矢ちゃんがその服に腕を通して、前のほうを閉じるとまるまるっとした感じになった。
柔らかそうな感じだったんで、ボクはちょんと真矢ちゃんの服を鼻でつついた。
すると、ぽよんとした感触がボクの鼻を押し返した。
わあ、おもしろい。
楽しかったから、ボクはその後もつんつん、つんつんって真矢ちゃんの服を鼻でつついた。

ぽよん、ぽよん。
うふふふ。
ぽよん、ぽよん。
うふふふ。




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