ボクが何度も服をつついては笑っているのを見て、真矢ちゃんがクスリと笑った。
最近は真矢ちゃんが笑っても、サイキョウ小父ちゃんもメリーフローラ小母ちゃんもびっくりした顔はしない。
ちらりとこっちを見るけれど、それだけだ。
でも、耳だけはボクたちのほうを向いてぴくぴくしている。
真矢ちゃんのことがすごく気になるらしい。
ボク、最近そういうこともわかるようになったんだ。すごいでしょ。
あっ!
小父ちゃんの声がした。
あまりにも楽しかったから、ボクがちょっと強くつついちゃったらしく、
真矢ちゃんがこてんと後ろ向きにひっくり返った。
ああ、ごめん!調子に乗りすぎちゃった。真矢ちゃん大丈夫?
ボクが心配して顔を伸ばすと、真矢ちゃんは立ち上がって自分の体をパタパタ叩いてから、
ボクの鼻をぽんぽんってしてくれた。
ああ、よかった、大丈夫だったんだね。
真矢ちゃんがボクの前にちょこんと座ったんで、ボクはまたいつものように色々なお話をはじめた。
真矢ちゃんがこの前来たのはだいぶ前だったんで、お話しすることはたくさんあるんだ。
真矢ちゃんは相変わらず黙ってボクのお話を聞いてくれるけど、お話はしてくれないんで、
しゃべるのはボクだけだ。
でも、本当にじっとボクのお話を聞いてくれるから、おしゃべりするのはとっても楽しい。
普段はおしゃべりが過ぎるって怒られちゃうしね。
真矢ちゃんがいるときは好きなだけおしゃべりができるんだ。えへへ。
気がつくとあたりがすごく静かになっている。
「ゆき」が強くなったようだな。
サイキョウ小父ちゃんが外を見ていった。
そういえば。。。
「ゆき」が降らないところがあるって、想像できないな。
ボクがそうつぶやくと、真矢ちゃんが小首をかしげた。