オーガお兄ちゃんがなかなか勝てない一方で、メリーポピーお姉ちゃんは勝ち進んでいた。
デビュー戦は勝ったと思ったときに隣の馬にかわされて惜しい2着だったんで、
オーガお兄ちゃんとおんなじだと思ったけど、
その後に出た「れーす」で勝って、その次に出た「れーす」でも勝って「れんしょう」したんだ。
どっちの「れーす」も強い勝ち方だったらしくて、あんちゃんの「はないき」も荒くなっていた。
ひょっとしたら「おうかしょう」の権利も取れるかもしれないぞ。
「おうかしょう」って何?
「じーわん」のひとつでな、3歳の女の子の1等賞を決める「れーす」のひとつなんだ。
へぇ〜、そうなんだ。すごいな、お姉ちゃん。
そういえば。。。
ボクはきょろきょろっとあたりを見回した。うん、サイキョウ小父ちゃんは近くにいないな。
そういえば、お姉ちゃん「だーびー」に出るって言ってなかったっけ?
「だーびー」は「おうかしょう」とは違うの?
「だーびー」は特別だ。
その年に生まれた何千頭って言うサラブレッドの中の選ばれた18頭しか出れないんだ。
あんちゃんは急に遠い目になってつぶやいた。
それから色々とボクに熱く喋りまくってたけど、途中から眠くなってあまりよくわからなかった。
とりあえず、「だーびー」はお馬に関係する人みんなが目標にしていて、
出るだけで特別で、とにかくすごい「れーす」なんだっていうことだけは、わかった。
特に女の子だと「だーびー」に出るだけで大変なんだって。
でも、その「だーびー」を勝った女の子がいるんだってさ。びっくりだね。
そんな中、お姉ちゃんが次に走る「れーす」が決まった。
その「れーす」で2着までに入ると、「おうかしょう」に出ることができるんだって。
あんちゃんの「はないき」はますます荒くなっていた。
(正直言うと筆者はダービーに思い入れはない。
ダービーが特別だという思いや、ダービーを中心に1年が回っているという感覚も、まったくわからない。
競馬をやっている人間で、こんな奴はごくごく少数派だろう。っていうのか、いるのか、そんな奴?)