第4話「ハンデ」


おや?
ある日おっちゃんがボクの体を手入れしている時に、ふと手を止めて首をかしげた。
そして、お前、骨が1本無いぞ!何したんだ?と、素っ頓狂な声を上げた。
何したんだって言われても、何もしてないよ、ボク。
不思議そうにおっちゃんの顔を見ていると、痛くないのか?とおっちゃんが聞いた。
痛いって何が?変なの?
おっちゃんは変な顔をしたままそそくさを手入れをすますと、何も言わずに帰って行った。
小父ちゃんにこの事を話すと、難しい顔をして黙り込んじゃった。みんな変なの。
それからしばらくして、おっちゃんが獣医さんを連れてきた。
しばらくボクの体を見ていたと思ったら、おっちゃんとぼそぼそと何か話し込んでいた。
骨折じゃない、とか、生まれつきの、とか聞こえてきたけど、何を喋っているのかは聞こえなかった。
あんまり退屈なんであくびが出た。

獣医さんが帰った後、おっちゃんがボクのところへ来て言った。
お前は生まれ付き骨が1本欠けているそうだ、それにな、実は蹄の形が「さゆうたいしょう」じゃないんだ、
だって。
「さゆうたいしょう」って何だ?右と左で形が違うんだ、って言われたけど、それって変な事なの?
う〜ん、おっちゃん時々難しい事言うから嫌だな。
帰り際に、買手がつくか、それ以前に競走馬に・・・って独り言言ってたな。
何かボク悪い事でもしたのかな?

これは後で知ったんだけど、ボクが生まれる前から、お母さんの「うまぬし」さんだった人が、
ボクの「うまぬし」さんになるはずだったらしい。
だけど、ボクの体の事がわかって、その話はなくなってしまったんだって。
おっちゃん達はボクの事でずいぶん悩んでいたらしいけど、そんな事を知らないボクは相変わらず
遊びまわっていたんだ。

おっちゃんおっちゃん



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