ある日、いつものようにお姉ちゃんと遊んでいると、「おきゃくさん」がやってきた。
ぶるぶる音が出る「くるま」って言う化け物に乗ってきたんだ。
あの「くるま」って奴は、おっきなくせになんか変に光ってて、時々ぶるるんって大きな音を出して、
そのくせ止まっている時は黙ってて、なんか嫌いだな。
遊ぼうよ、って言っても黙ってるんだ。変におすまししているんだな。ちぇ。
その「くるま」から二人の「にんげん」が降りて、おっちゃん達がいる「おもや」の方に歩いて行った。
一人はおっちゃんみたいな人だけど、もっとなんて言うか、綺麗な感じで、ぴかぴかする服を着ているな。
おっちゃんとかあんちゃんも、ああいう格好をすれば、もっとかっこいいのにな。
もう一人は女の子で、なんか影が薄いというか、本当にそこにいるのか不思議な感じだな。
実は目の錯覚じゃないかって思ったくらいだ。
もう一人のおっちゃんみたいな人が、「真矢」って呼びかけたから、錯覚じゃないってわかったくらいだもん。
一緒に遊んでいたお姉ちゃんが、あの人はサイキョウ小父ちゃんの「うまぬし」さんだ、って教えてくれた。
もうすぐ「にゅうきゅう」するお兄ちゃんの「うまぬし」さんでもあるんだってさ。へぇ。
遊び疲れたんで、「ばぼー」でごろごろしていると、誰かがやってきたような気配がした。
でも、なんの音もしないんで気のせいかと思っていたら、小母ちゃんが、あらいらっしゃい、と言ったんで
そっちの方を見ると、さっきの女の子、真矢ちゃんがいた。
「にんげん」の女の子を見るなんて珍しので、ボクは真矢ちゃんと方へ歩いて行った。
遊んでもらおうと思ったんだ。
ボク、オラって言うんだ、よろしくね。そう言うと、真矢ちゃんはこくり、と肯いた。
ねえ、遊ぼうよ。そう言っても、真矢ちゃんは相変わらず黙ったまま、ボクのことをじっと見るだけだった。
つまらないので、服をちょっと噛んで驚かしてやろうと思ったけど、それでも黙ったままボクをちょっと困った
ようにじっと見ているだけだった。
ボクも真似をしてじっと真矢ちゃんの顔を見ていたけど、飽きちゃったんで、
一人で勝手に色々お話をしたんだ。
真矢ちゃんは相変わらず黙ったままだったけど、ボクの話をじっと聞いてくれているんで、面白くなって
身振り手振り話に熱中しちゃったんだ。
すると、くすっ、と笑ってくれたんだ。ボクも楽しくなって、あはは、って笑った。
その時、小父ちゃんと小母ちゃんがびっくりした顔でこっちを見ていたんだけど、ボクは気がつかなかったんだ。
真矢