ボクの「にゅうきゅうさき」が決まった。
実は坂石のおいちゃんが「うまぬし」さんになってから、ボクの「にゅうきゅうさき」が決まるまでが結構大変だったらしい。
色々とおいちゃんが苦労したらしいよ。
時間がかかったって言うのはボクでもわかる。
だって、もう「はる」になってるもん。
え?「にゅうきゅうさき」って何って?
そ、そんなこと、ボクに聞かれても困るな。 ボクもよくわかんない。
「にゅうきゅう」はわかったけど、「にゅうきゅうさき」はまた違うんだよね。
うむむ。
名前どおり入厩する先だ。
お前がレースに出るための練習をしたりするところだな。
サイキョウ小父ちゃんがボクの「ばぼー」ににゅっと首を突き出してきて言った。
まあ、かなりざっくりした言い方だけどな。
ふうん。
でもなぁ。
小父ちゃんはボクをちらりと見てから首をかしげた。
お前の入厩もまだまだ先だろうなぁ。
オーガお兄ちゃんみたいにボクもちっちゃいから?
小父ちゃんは頷いて、そしてまた首を振った。
小さいだけじゃなくて、体もまだまだ出来てないだろ。
同じ年の頃のオーガと比べても、お前はあまりにも子供だな。
うむむ、小父ちゃんにそういわれるとちょっと心配になってきたぞ。
それに、お前は晩成っぽいなぁ。
「ばんせい」?
成長がゆっくりなことだな。本当に力がつくのが年をとってからになるってことだ。
年をとってから強くなるかもしれないのか、なんか格好いいぞ。
あれ?ちょっと待って。
勝つ力がつく前に「れーす」に出られる期間が終わっちゃうかもしれないのか。
最悪そういうこともあるかもってことだ。
そう言うと小父ちゃんはにっと笑った。
とりあえず今はよく食べてよく遊んでよく寝ることだ。
あ、それならボク得意だよ。