第47話「入厩」


いよいよ「にゅうきゅう」の日がやって来た。
その日もあの化け物がやって来た。馬運車だ。
いつものようにぶるぶると大きな音を立てて、騒がしいと思ったら急に静かになる。
おすまし野郎め、もう怖くなんかないぞ。
するとまたぶるぶると音を立てて、いつものように大きな口をあけ始めた。
む、むむむ〜ん、ま、負けないぞ。

ボクが目を白黒させながら強がっていると、
サイキョウ小父ちゃんがにゅっと首を突き出してボクのほうを見た。
いよいよだな、頑張って来るんだぞ。
今度はメリーフローラ小母ちゃんが首を突き出してきた。
元気でやるのよ。怪我とかしないようにね。
うん、頑張る。
うん、元気でやる。

さあ、そろそろ行くか。
あんちゃんがやってきて、ボクに引き綱をつける。
そして馬運車のほうにボクを引いていった。
化け物は大きな口を開けて、静かにじっと待ち構えている。
近づくにつれて、その口がだんだんと大きくなっていく。
こ、怖くないぞ。うむむむむ。。。
や、やっぱりちょっと待った。

こら、オラ、もうあきらめろ。
立ち止まったボクにかまわず、あんちゃんはぐい、と引き綱を引いて、馬運車の方に引っ張っていく。
むうーん。
ボクは馬運車の中に押し込められてしまった。
まあ、中に入っちゃえば怖くはないんだけどね。
ふぅ〜、やれやれ。

今回は乗っている時間が長いからな。辛抱してくれよ。
あんちゃんがボクの首を優しくなでてくれた。




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