第48話「高木厩舎」


あんちゃんが言ったとおり、馬運車に乗っている時間は長かった。
お外が見えないからよくわからないんだけど、途中で「ふぇりー」とかいう
馬運車よりもっと大きな化け物に乗って、海の上を走ったりもしたんだって。
海の上は、走る、とは言わないな。
あんちゃんが口を挟むけど、ボクそんな難しいことわかんないよ。

ああ、でも。
あんちゃんはそう言うとクスリと笑った。
外が見えていたとしたら、フェリーに乗り込むとき、多分お前大変だったと思うぞ。
なにしろ馬運車が飲み込まれる感じだからな。
うわ、あんちゃんやめてよ!

馬運車よりもっと大きな化け物が海に浮かんでいる。
すると、その化け物の先っぽのほうががぁーっと大きく開き始めた。
そのぽっかりと開いた大きな口に馬運車が飲み込まれて。。。

うわーっ!
もう、あんちゃんがそんなこと言うから、馬運車がもっと大きな化け物に飲み込まれることろが、
頭に浮かんじゃったじゃないかぁ。ぶるぶる。
でも、「ふぇりー」ってどんな化け物なんだろう。ちょっと気になるな。
ちょっと見てみたかったかも。

どれくらい乗っていたんだろう。
よくわからないけど、何回か目の退屈でたまらなくなった頃に馬運車の口が開いて、
お外の明るい光が入ってきた。
ようやく目的の場所に着いたんだね。
疲れたぁ。

馬運車を出たところで知らない男の人が微笑みながら立っていた。
やあ、よく来たね。調教師の高木です。これから宜しく。
そう言うとボクの鼻をなでてくれた。
そして君の世話をするのが、あれ、どこに行ったかな。
その時、横のほうで、けっ、という声が聞こえた。




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