速いんだねぇ
と、ボクが感嘆して言うと、スカイ兄さんは鼻をぴくぴくさせてちょっと得意そうな顔になった。
おうよ、ちったぁ速いぜ。そこらの奴らにゃぁそうは負けねぇ。
ただな、
そこで口をつぐむと首をちょっと振って、ぶっと小さく鼻を鳴らした。
まだまだだ。
もっとトレーニングして重賞を取って、ゆくゆくはG1も勝ちてぇんだ。
そして目線を上に向けてつぶやいた。
あのお方にちょっとでも近づきてぇ。
そこでふぃっと僕のほうを向いた。
だから、オラ。お前もこれから頑張ってトレーニングするんだぜ。
うん、ボク頑張るよ。
ボクは力強くうなずいた。
そしてちょっと首を傾げた。
あのね。。。
おっ、まだ聞きたいことがあるのか?なんだい。
あのお方、って?
おお、あのお方のことか。
そう言うと、兄さんはまた目線を上に向けた。
おいらが尊敬するすごく強い馬だ。
おいらは最強馬だと思っているぜ。とにかくすげぇんだ。
お前も名前くらいは聞いたことがあるんじゃないか?
幻のダービー馬といわれたサイキョウさんだ。
おいらも実際にこの眼で見たことはねぇが、勝っても負けてもとてつもなく強いレース振りだったらしいぜ。
おいらはあんな風になりてぇ。
兄さんはうっとりとした顔になって、ボクの存在を忘れてしまったみたいだ。
すごいなぁ、そんなにすごい馬がいるんだぁ。
んん?ちょっと待って、サイキョウ?
もしかして、それってサイキョウ小父ちゃんのこと?