スカイクルー兄さんにはとっても憧れている馬がいるんだって。
どうやらそれはサイキョウ小父ちゃんみたいだ。
それってサイキョウ小父ちゃんのこと?
ボクがそう聞くと、兄さんはすっとんきょうな声を上げた。
お、おおお、小父ちゃん??お前、今、小父ちゃんって言ったか?
うん、兄さんの言っているすごい馬って、サイキョウ小父ちゃんのこと?
ボクが小首をかしげると、兄さんはぶふっと小さく鼻を鳴らした。
ちょっと待て、お前の言ってる小父ちゃんってのは。。。
それから、兄さんはしばらくボクにいろんなことを聞いてきた。
ボクがそれに答えていると、兄さんはやがて首を振って息をついた。
ま、間違いねぇ、お前の言ってる小父ちゃんてのはあのお方だ。
そして、ずいっと顔をボクのほうに向けた。
で、お前はなんであのお方を知ってるんだ。
なんでって一緒に住んでたんだもん、知らないほうがおかしいよね。
いっ、いいい、一緒に住んでたぁ?!
お前はあのお方と一体どういう関係なんだ?
うーんとね、小父ちゃんはボクのお母さんの従兄弟なんだって。
ごん、隣で大きな音がした。
見ると兄さんがずっこけて頭を壁にぶつけていた。
なんてぇこった。あのお方をよく知る馬とお近づきになれるなんて。
夢か、そうだ夢に違いねぇ。
いやいや現実だ、けど夢みてぇだ。
うわごとのようにつぶやいていたけど、そこで我に返ったようにふいっとボクのほうを向いた。
お前、良血なんだなぁ。
「りょうけつ」?
血統がいいってこった。
そういえば、そんなこと、あんちゃんも言ってたな。
けど、
そこで一度口をつぐんで、ボクをまじまじと見て続けた。
それにしてもちっちゃいなぁ、お前。