第58話「秋天」


「てんのーしょー」の日になった。
スカイ兄さんとメリーポピーお姉ちゃんは、どっちも予定通り「しゅっそう」する。
うーん、結局どっちを応援するかは決まっていないんだ。
でもどっちかだけを応援するなんてできないよね。
だから、どっちも応援すればいいんだな。
うん、そうだ。どっちも頑張って。
ふたりとも勝ってね。

メリーポピーお姉ちゃんは「いちばんにんき」になってるんだって。
うわぁ、今頃あんちゃんのすごい「はないき」がぴたりと止まって、
おっちゃんおっかちゃんと3人で変なうめき声をあげているんだろうなぁ。
そう思ったらなんかちょっとおかしくなっちゃった。

スカイ兄さんも「あなにんき」っているのになっているらしい。
ここでは「ぼくじょー」にいるときみたいに「てれび」を見に行くことができないから、
ちょっと遠くから聞こえてくる「らじお」を聞いて応援しよう。
実を言うと、朝の「れんしゅう」をしてご飯も食べて、ちょうど眠くなってたところだから、
肝心の時にちょっと寝ちゃったんだけどね。えへへ。

結果は兄さんは6着。
それも勝った馬とほとんど差がなかったっていうんで、厩舎はまたまた大騒ぎになった。
そしてお姉ちゃんは、なんと勝っちゃったんだ。
うわぁ、びっくりだ。すごいなぁ。
そして、あんちゃん達がどんなことになっているか、ちょっと心配になった。
息が詰まったりしてないかな?

いやぁ、お前んとこの姉ちゃんがぽんと出てそのまま突っ走っていって、
他の馬もつられて後を追って行って流れが速くなったもんだから、
おあつらえ向きだって思ったんだけどなぁ。
直線向いて満を持して追い上げたんだけど、なかなか姉ちゃんとの差が詰まらねぇ。
おいら達後ろのほうで力をためて追い上げた連中とほとんど差はなかったけど、
あの姉ちゃんは強えぇぜ。
例えゴールがまだ先にあっても、たぶん誰も追いつけなかったんじゃねぇか。

厩舎に返ってきたスカイ兄さんが感心したようにそう言った。




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