「たいむおーばー」で「れーす」に出れない間もいつもとやっていることは変わらない。
ひとりとだったりみんなとだったりで、何回もかけっこしたりする。
かけっこじゃなくて調教って言うんだけどねぇ。
高木さんがぽりぽりと頭をかく。
かけっこっていう言い方だとなんだか楽しく遊んでいるみたいだねぇ。
そう言いながらボクのほうを見ると、クスリと笑った。
でもまぁ、オラ君は調教しているときは楽しそうに走るもんねぇ。
かけっこみたいなものなのかな。
うん、走っているとなんか楽しい。
ある時、楽しいからいつまでも走っていたら、乗っている人に怒られちゃった。
あ、でも「はんろ」っていうやつは、あんまりスピードも出ないし、
なんか疲れるからちょっと嫌だな。
だって坂道なんだもん。
ははは、オラ君は坂路が好きじゃないか。
高木さんが珍しく大きな声で笑った。
で、でも、あ、脚に負担をかけずに鍛えるのには、いいんだよ。
ボクの背中からちっちゃな声が聞こえる。
ゲンちゃんだ。
最近はゲンちゃんがボクに乗って、「ちょうきょう」をしているんだ。
けっ、弱虫とチビ助たぁ、お似合いだぜ。
って大井さんが言ってた。
「おにあい」って何だろう?
「ちょうきょう」でたくさん走った後は、ご飯を食べるんだ。
おなかがペコペコになるから、とってもおいしいんだよ。
オラ君はいつ見ても食べっぷりがいいねぇ。
ほれぼれするなぁ。
ボクがご飯を食べている時に高木さんが来るといつもそう言う。
でも、体が大きくならないんだよなぁ。う〜ん。
そして腕組みして首をかしげちゃうんだ。