第69話「お祝い」


ボクが勝った「れーす」のなんにちか後に、坂石のおいちゃんがやってきた。
真矢ちゃんもいっしょだった。

すみません、無理を言って二人で押しかけてしまって。
レース当日は、競馬場までは間に合いそうになかったので。
おいちゃんの声が聞こえる。
いえいえ、お仕事ですし、しょうがないですよね。
それに、真矢ちゃんが馬主さんですからねぇ、
保護者はついてこなくちゃ駄目ですよねぇ。
それにこたえる声は高木さんだ。

真矢ちゃんに会うのは久しぶりだな。
元気にしてるかな?
ボクはちょっとうきうきした気分になった。
真矢ちゃんたちの姿が見えた。
真矢ちゃん、ひさしぶ。。。
ボクが真矢ちゃんに声をかけようとした瞬間、
おいちゃんがボクの首に抱きついておいおい泣き出した。
うへぇ、おいちゃんの涙と鼻水で、ボクの首がべちょべちょだ。
そういえば、こんなことが前にもあったな。

おいちゃんはひとしきり泣いた後、ボクの顔をあらためて見て言った。
ああ、すまない、お祝いがまだだったね。
オラ君、初勝利おめでとう。
そしてかたわらの真矢ちゃんを見て言った。
ほら、真矢。
お祝いを言うんだろう?

真矢ちゃんは、ちょっともじもじしたような風になって、そっと手を伸ばした。
そしてボクの鼻に触ってちょっとなでてくれた。
その顔はちょっと赤みがかっているようだった。




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