第7話「オーガナイト」


メリーフローラ小母ちゃんの子供、お兄ちゃんの名前は「オーガナイト」。みんなにはオーガって呼ばれている。
なんかわからないけど強そうだなぁ。
でもお兄ちゃんちっちゃいんだ。雰囲気はサイキョウ小父ちゃんそっくりなんだけど、ちっちゃいんだ。
400きろちょっとしかないって言ってた。400きろってどれくらい?ボクとおんなじくらい?
お前よりはでかいよ、ってお兄ちゃん言ってたけど、じゃあボクはどれくらい?
ボクもよくちっちゃいって言われるよ。えへん。

お兄ちゃんの「にゅうきゅう」の日が近くなってきた。
「にゅうきゅう」って「とれーにんぐせんたー」に行ってお勉強することなんだよ、ボクも少しお利口になったでしょ。
それはちょっと違ぞ。あんちゃんが言う。まあ、でも似たようなもんか、確かにレースに出るための勉強をするような
もんだ、オラに難しい事を言ってもわからないもんな。だって。馬鹿にすんない、ボクだってわかるよ。
じゃあ、と言ってあんちゃんは説明を始めた。
え?「きゅうしゃ」?「ちょうきょうし」?「げーとしけん」?「おいきり」???ごめんなさい、ちんぷんかんぷんだよ。
あんちゃんは、ほらな、といって笑った。ちぇっ。

ある日、とんでもない化け物がやってきた。ぶるぶると大きな音を立てる山のような大きさの化け物だ。
「くるま」みたいな感じだけど、そんな大きさじゃないんだ。恐かったけど近くに寄ってみた。
君は誰?声をかけてみた。でも、さっきまでぶるぶるうるさかったのに、止まっている今は黙り込んだままだ。
わかった、こいつも「くるま」の仲間なんだ。おすまし野郎なんだな。でも、なんか頼もしい感じだ。ちょっと尊敬できるかも。
そう思いながら化け物を眺めていると、突然、ぶるぶるとまたうなり声を上げはじめて、後ろのほうで急に大きな口を
開けはじめた。うわ、あんなのに食べられたらひとたまりもないや。やっぱり頼もしくなんかないな。

ふと横を見るとお兄ちゃんが「ばぼー」からあんちゃんにひかれて外に出てきていた。
そして化け物の後ろの大きな口の中に。
お兄ちゃんが化け物に食べられる!うわー!!

こらこら、こいつは馬運車といっておまえたちを運ぶ乗り物だよ。
オーガは競走馬になるためにこれから「にゅうきゅう」するんだ、しばらく会えなくなるからお別れを言いなさい。
あんちゃんがボクの頭をぺしりと叩きながら言った。
お兄ちゃん「れーす」に出るんだ。すごいなぁ。
「れーす」に出るのはまだまだ先だけどな。サイキョウ小父さんのように「じゅうしょう」を必ず取ってくるぞ。
お兄ちゃんはそう言うと力強くうなずいた。かっこいいなぁ。
でも、ちっちゃいんだけどね。




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