ボクの次の「れーす」が決まった。
ボクはいつも以上にたくさん「れんしゅう」した。
相変わらず大きくはならないけど、最近は体が強くなってきたねぇ。
「ちょうきょう」から帰ってきたボクに向かって、高木さんが微笑んだ。
稽古を強くしても、疲れが残らなくなったよねぇ。
そう言いながらボクの体のあちこちをさする。
確かに最近は「ちょうきょう」で走るのが、いつも以上にとっても楽しい。
今までも楽しかったし、楽しすぎていつまでも走っているから怒られたりしたこともあるけど、
その時よりもっと楽しいな。
「はんろ」で走るのも楽しくなってきたんだよ。
今回はもしかするとそこそこいい走りができそうだねぇ。
高木さんがうなずく。
は、はい。は、走り方がだいぶ柔らかくなっているように、か、感じます。
ボクの背中でゲンちゃんが小さな声でしゃべる。
オラ君、が、頑張ろうね。
うん、ボク頑張るよ。
ボクは二人ににっこりと笑った。
そしていよいよ「れーす」当日になった。
お、オラ君。
今日もいつも通り、た、楽しく走ろう。
「げーと」の中で、ゲンちゃんがそう言いながらボクの首をさわった。
さ、さあ、スタートだよ。
お、落ち着いてね。
ガシャン。
よーし。行くぞー。
次の瞬間、ボクの目の前に緑の「しばふ」が飛び込んできた。
そして、星が光った、ような気がした。
あれ?何かおかしいぞ?
ぐっ、というゲンちゃんの声が、背中じゃなくて前の方から聞こえた。
ゲンちゃん、なんでそんなところにいるの?
ボクはつまずいて、「てんとう」していた。