もう嫌だ、もう嫌だ。。。もうごめんだ。。。
耳元で聞こえる耳障りな音で目が覚めた。
音がするほうに目を向けると、大井さんが青ざめた顔でぶるぶる震えていた。
あれれ、大井さんどうしたの?
大井さんはボクの声も聞こえないらみたいで、同じ言葉を繰り返していた。
その隣で高木さんがめずらしく難しい顔でボクを見ていた。
おや、気が付いたね、オラ君、これからお医者さんに診てもらうんだよ。
少し我慢していてね。
声はいつも通り優しいんだけど、顔がとっても怖かった。ぶるぶる。
そうだ、ゲンちゃんは?
わからない。意識がなくて病院に運ばれている。
そういえば、ゲンちゃんが馬運車とは別の化け物に食べられていたのを見たような記憶がある。
あの化け物も大きな口を開けていたなぁ。
人間も化け物で運ばれるのか、大変だなぁ。
なんかそんなとりとめもないことが頭に浮かんでは消えていった。
そんな思いが何回かぐるぐるした後、高木さんの声がかすかに聞こえてきた。
ちょっとした剥離骨折ですんだみたいだよ。
これから手術だ、もうちょっと我慢していてね。
なんかほっとしたような声だ。
ねえ、「はくりこっせつ」ってなあに?
「しゅじゅつ」は無事に終わった。
ちょっと走るのを我慢すれば、今まで通り走っていいんだって。
やれやれ。
ただ、ゲンちゃんは、違った。
「のうしんとう」と「さこつ」と、えーと、どこかの骨折とかで、
しばらくお休みしなければならなくなったんだ。