第86話「懸念」


年が明けて僕は4歳になった。
ボクはすっかり元気になっていたので、このあいだ「れーす」に出たんだ。
「ふっきせん」ってやつだね。
ボクまた新しい言葉を覚えたんだよ。
でももう自慢なんてしないんだ。大人だからね。

けっ、なにが大人だ、それが自慢じゃねぇか。
大井さんだ。
むむ〜ん、確かに憎まれ口は変わっていない。

それはそうと、お前は弱虫が鞍上じゃねぇと、やっぱり駄目だなぁ。
ため息をつきながら手を休めてボクを見る。
そうなんだ、ゲンちゃんはけがが治りきっていないんで、
「れーす」には別の人がボクに乗ってくれたんだ。
でも、なんかうまく走れなかったんだよ。
結局、「ぶーびー」ってやつだったんだ。

昔みたいに走りがバラバラだったよな。
お前はちっちぇえから、ちょっとした重心の違いとかでバランスが崩れちまうのかなぁ。
うーん、ボクもよくわからないよ。
ま、お前で分かるくらいだったら、苦労はしねぇか。
むむ、ボク、馬鹿にされているぞ。

まあ、弱虫も回復は順調だから、そろそろ調教に乗り始めるらしいぜ。
ただなぁ。。。
そうつぶやくと大井さんはポリポリをあごをかいた。
筋肉は戻ってきたが、競馬に乗るにはだいぶ体重を落とさないとならねぇだろうなぁ。
減量か、奴にはきつそうだなぁ。




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