環境側面に関すること 2007.11.23

有益な環境側面という言葉がある。
だいぶ前のことであるが、ISOTC委員に直接「有益な環境側面という概念があるのでしょうか?」とお伺いしたことがある。この方著名な方で、ずうずうしい私もさすがに三歩下がってご神託を伺った。
有益な側面があれば、無益
な側面もあるのだろうか?


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すると、「なものあるわけがない。」とのお言葉
私もずっとそんなものがあるわけがないと考えていましたのでそれを聞いて安心しました。
しかし、有益な環境側面という発想がおかしいという前に、有益な環境側面を語る人々はそもそも環境側面とはなんぞやという捕らえ方がずれているのではないか? ずれているから有益な環境側面という発想がでてきたり、人が有益な側面などと語るのを聞くと煙にまかれてしまうのではないかというふうに考えております。
たとえば、廃棄物処理業者というのを環境側面に取り上げている企業は結構あります。
はたして廃棄物業者というのは環境側面なのでしょうか?
そして廃棄物業者を環境側面と捕らえる考え方を持てば、有益な環境側面という発想に至るのは間違いないというか必然のような気がする。
それだけではなく、緊急時の側面とか定常時の側面という発想になり、だんだんとずれてきてしまうのではないだろうか?

まず、規格本文では環境側面に緊急時も非定常時もありません。
環境側面はもれなく把握しなさいというだけです。
いやしくもISOに関わっていますというからには規格を暗記しておきましょう 

要求事項ではない規格のアネックスにおいて、環境側面をとらえるには定常時だけでなく緊急時とか非定常も忘れるなとあります。
これは要求事項ではなく説明文ですが、どう読んでも定常時の環境側面を把握せよ、緊急時の環境側面を把握せよなんていう意味ではないことは明白です。
第二に、緊急時の環境側面とか非定常時の環境側面があるのではありません。環境側面によって定常時が有意のものや非定常時に有意なものがあるのだということです。 次に 環境側面が有意か否かを見るにあたって、緊急時とか定常時、非定常時においてどうかと検討するなら、まず緊急時とか非定常の定義をどのように決めているかということ次第でしょう。
そして定常時であれ、緊急時であれその環境側面をいかに管理するかということが4.4以降の役割となります。

4.4.7では緊急時が想定されるものについて、予防するための、発生した場合の対応手順を決めなさいとあります。そして「可能な場合」は実際にテストしてみなさいとあります。
訓練ではありませんよ テストですよ。
ここまでは教科書通りのことで、これは最低ご理解いただきたい。

規格に沿ったシステムであるならば、定常時であれ、緊急時であれ、手順書(規程や要領書)に理解すべきこと、対応すべきことなどが書いてあるはずです。書いてないとすると4.4.6の第一行違反です。
そしてそれに従って教育し、従事者が手順通りに仕事ができる体制を作り、従事者はいつもそれに従って仕事をしているはずです。
緊急時が予想されることについては、定期的にその要領書とおりにできるのかテストをします。テストとは手順が良いかどうかをチェックすることであり、習熟を目的にするのではありません。習熟については4.4.2で既に完了しているはずです。
ここを多くの審査員は勘違いしている。そしてすべてといっていいくらいの事務局が間違っている。
仮に従事者の力量が不足で緊急時の対応ができければ、それは4.4.3への不適合であって4.4.7の不適合ではないでしょう。
実際には4.4.7で不適合にしている審査員はたくさんいますが

ではなぜ緊急事態についてテストを求めているのか?
定常時については日常業務を行っている。だからその手順が適正か否かが日常業務において検証されている。だからわざわざ手順が良いかをテストしなくてもよい。しかし、緊急事態とは語意から言って日常発生しない。だから特別にテスト・試行する必要があるのだ。
定常時、緊急時のいずれの手順についても従事者が実施できなければならないことは4.4.2の要求以前に、企業の存続のためには当たり前の話である。

「非定常時は量的な削減、緊急時は発生リスク軽減が活動の対象で、非定常時は量の削減を行い緊急時の訓練は不要」なんて語るコンサルも審査員もいます。
正しいか否かと言う前に、まず前に述べたように非定常の定義を決めておかなくては話が進みませんね。
でも完全に間違っていることがあります。
規格では環境側面を管理することを求めていますが、改善することを求めていません。
方針を立てたらそれを粛々と実行改善することを求めていますが、それと環境側面はイコールではありません。もちろん方針や目的目標を決めるときに環境側面を考慮することを求めているだけです。
もっともちまたには環境目的は環境側面から選ぶなんて語っている審査員、コンサルのほうが、環境目的は環境方針の展開したものと語る人より多いことは間違いない。
ところでつい最近の実話でございます。

moudoku.gif
PCB

某会社の事務局の方とお話しする機会がありました。
「最近ときどきPCBが話題になりますね」と先方が持ちかけてきました。
「早期処理と国が掛け声かけてますが、肝心の処理施設がなかなか順調に動いていないようですね」と私
「実はね、当社にもPCBの入ったトランスがあるんですが、著しい環境側面になっていないのです。」
「別にPCBをひとつの著しい環境側面にしなければならないということはないでしょう。廃棄物というくくりの中に含まれていればよいわけですし・・」
私はなんでも断定とか思い込むということはしませんよ。要するに結果が適正であれば良いのであって、方法はひとつではなく教条的な考えとかアプローチはひとつしかないなんて決め付けることはありません。
しかしその方
「いえ、廃棄物にはPCBを入れていないんです。実は環境側面を数値計算で決めているんですけど、いくら係数をいじってもPCBが著しい環境側面にならないんです。」
もう、新井素子である。(ダジャレです。わからなくても悩むことありません)
私は黙っていた。
「ISO審査では審査員もそれじゃあしょうがないねと言ってくれてます。」とのこと
その審査員、そのまんまの力量なのか、あるいはその会社を哀れんでそう言ったのか・・・私にはわかりません。
ひとつわかることは、そんな会社いや事務局員は「ISOやってます」とか「環境配慮しています」なんて語ってほしくないと言うことです。
../mose.gif ISOの神様がいれば、神罰が下るでしょう。
残念ながら、ISOの神様がいないのか、いても厳しい神様でないためか、ISOの神様の雷(いかづち)に打たれて亡くなった人はいないようです。
だから私が預言者として語らねばなりません。 

しかしいつまでこんなくだらないことを叫び続けなければならないのでしょうか?

泉山様からお便りを頂きました(08.04.10)
定常時、非定常時、緊急時の区分け
はじめまして
私、ある部品を製造する子会社に勤め、ISO管理責任を任されている者です。
昨年、ISO14001を親会社の支援もあり、何とか取得し、現在に至っています。
現在、環境側面抽出での定常時・非定常時・緊急時区分にて頭が混乱しています。助言を頂ければ幸いです。
環境側面の抽出において、本当に定常時・非定常時・緊急時を必ず区分けしなければならないのでしょうか。
泉山様 お便りありがとうございます。
規格にどう書いてあるかということが出発点でございます。
ISO14001:2004の4.3.1を読みますと緊急時も定常時という言葉もないようです。
ごめんなさい、そういう言い方は不適切ですよね。緊急時も定常時もありません。
ただアネックス(付録)の中で「当然予知できる緊急事態とともに、通常及び非通常の操業状況、操業の停止及び立ち上げの状況を考慮すると良い」とあるだけです。
アネックスは要求事項ではありません。その証拠に「shall」ではなく「should」という言葉を使っています。
「環境側面にはもれなく取り上げなくてはならない」ということはISO14001の要求です。そのときに忘れないようにいろいろな見方を例示している中で通常、非定常、緊急というとらえ方があるよということでしょう。
もちろん、審査対応だけでなく貴社が事故を未然に防ぐためにもあらゆる観点から見て環境側面を抽出しておくことは大事です。
ただ、私は緊急時の側面とか定常時の側面という表現は少し不適切かと思います。いろいろな環境側面があって、これは緊急時に該当するのか、定常時に該当するのかという見方が適切なような気がします。
例に示すと、縦軸にいろいろな側面を並べて、横軸に定常時、非定常時、緊急時などの評価を並べて、それぞれに該当するかしないかの星取りをするようなイメージです。
例えば重油という環境側面を取り上げたとすると、定常時の側面としては炭酸ガス排出、資源枯渇、大気汚染などなどがあり、非定常時として給油時の漏えいその他があり、緊急時としては火災とか漏えいなどがあるととらえるべきかと思います。
イメージ図
環境側面定常時非定常時緊急時手順書
重油有意有意有意重油使用手順書
電気有意電気エネルギー管理基準書
廃棄物有意有意有意廃棄物管理基準書
OA用紙有意事務用品取扱規定
PCB機器漏えいPCB管理規定
・・・・・・・・・・
これを逆にすると、定常時の側面には重油があり炭酸ガス排出、資源枯渇、大気汚染などがあります。非定常時には重油の漏えいの危険があります。緊急時には重油による火災他が・・となって収拾がつかないのではないでしょうか?
その時手順書をどう作成するのかと考えると混乱します。
重油という側面と考えると、取扱手順書に定常時の注意、非定常時の注意、緊急時の注意とまとめやすいのではないでしょうか?
とにかく法を守り事故や浪費を防ぐためにどうすべきか、と考えればよいことと思います。
審査で、「緊急時、定常時、非定常時を考慮してますか?」と聞かれたら「もちろんですよ」と応えればよいと思います。
正直言いまして、規格制定から10年が経過した今どき、側面の特定方法が問題になることはないと思います。それよりも特定した側面が適切か、漏れがないかが審査というより、会社の仕事の上で重要と思います。


湾星ファン様からお便りを頂きました(09.07.19)
事務局講座
佐為さま 湾星ファンです。
問12についてですが、有益な側面を取り上げることが何故、減点になるのでしょうか。環境側面を有害、有益で分けること自体がおかしい、という主旨であるなら理解しますが、ISOの使い勝手=一般従業員への教育、という点から言えば、分けたほうが良いように思います。勤務先は製造業ですが、有益な側面の一例として歩留まり改善があります。14001の真骨頂は環境リスクマネジメントではありますが、従業員に業務の環境影響を意識させる、という点では効果あり、です。
湾星ファン様 毎度ありがとうございます。
私は、環境側面という言葉というか概念を一般社員全員が知ることもなく、理解する必要もないと思っていますが、それはとりあえず置いておきましょう。
湾星ファン様がおっしゃるように、私が 環境側面を有害、有益で分けること自体がおかしい と考えているのは事実ですが、それは規格にそう書いてあるから主張するわけではありません。ISO14001の本質は何か?と言えば、おっしゃるとおり環境リスクマネジメントであり、そのために環境側面を管理することです。しかし有益な側面という発想からは、環境側面を管理するという根源的なことを忘れてしまうおそれがあることを心配します。
まず多くの人々が有益な側面ということを語っていますが、その人たちが唱えるパターンは大きく次の二種類になります。
../fusha.gif @有益な影響のみをとらえていて、有害な影響を見逃しているケース
例えば風力発電はCO2を出さないから有益な側面であるという。ちょっと考えればおかしいことに気づく。バードストライクは以前から環境保護論者が問題視しているし、最近はヤギの大量死も報道されている。その他、騒音問題、景観問題、日照問題など悪い影響は多々ある。
もし良い影響と悪い影響を総合して有益だというなら、一般の有害といわれている側面についても有益な影響について配慮すべきでしょう。騒音を出す機械も、毒物・劇物も含めたすべての化学物質も、電気を使うエアコンも、すべてはトータルすると人間を含めた環境に有益な影響が大きいから存在しているわけです。
A環境改善活動と環境側面を勘違いしているもので、有益な側面と称する多くはこのタイプである。
例えば、古いタイプのエアコンをインバータエアコンに交換することを、有益な側面の例にあげている方がいる。似たようなものに、植林、廃棄物の分別管理、有害物質の代替、通勤を車から電車に変えることなどを有益な側面に上げている人もいる。だがそういったものは環境側面そのものではなく、環境側面についての改善活動だ。冒頭の例を考えれば、すべてのエアコンをインバータ化したら有益な側面はなくなってしまうのだろうか? あるいはいっそう高効率のエアコンが出現したら、インバータエアコンは突如有害な環境側面に降格されてしまうのだろうか? そう考えるとおかしいと思いませんか?

今あなたの会社で歩留まり改善を有益な側面としているわけです。これはAタイプの有益な側面のようです。歩留まり改善は有益な環境側面であるとすることに、大きな問題はないと思われるでしょうか?
私は大きな間違いだと思うのです。いえ、間違いであるだけでなく企業の活動を誤ってしまうと考えます。
歩留まり改善は悪いことではありません。そもそも歩留まりが低いより高い方が良いのはなぜかというと、まず仕事が減る、無駄なエネルギーを使わない、投入する資源が減る、廃棄物が減るなどなどの効果が期待できます。 しかしどう考えても歩留まり向上は環境側面ではないように思えます。湾星ファン様がおっしゃるように環境リスク管理ではないのではないでしょうか? 環境リスク管理というなら、管理すべきものは例に挙げた資源・廃棄物・エネルギーなどではないのでしょうか?
また、何事においてもトレードオフがあります。歩留まり向上を推進していくと資源・材料に高い要求をするかもしれず、それは環境負荷を増加させるかもしれません。製造条件が厳しくなったりエネルギー消費が増えるかもしれません。やはり本来の環境側面をどのように管理していくか、それを改善するのかというスタンスで考えるべきです。歩留まり改善は環境側面ではない、側面の影響を緩和するための方策の一つであると認識すべきでしょう。
極端な例ですが、製品のライフサイクルを考慮したら低質な材料を用いて歩留まりが低い方が環境影響が少ないかもしれません。部分最適、全体不適とはそういうことです。
社内的に説明がしやすいから有益な側面という言葉を導入するというのは、うそも方便的発想ではないかと思います。むしろ環境側面などという言葉を教えることなく、単に環境影響を低減しましょうではまずいのでしょうか?


湾星ファン様からお便りを頂きました(09.07.21)
佐為さま 湾星ファンです。長文のレスありがとうございます。
今回は、ご示唆いただいた内容に、全面的に同意です。
ご指摘の通り、環境側面と環境改善活動を混同しておりました。
長年、もやっとしていたことが、キレイに晴れたような気がしております。
これまで、歩留まり改善のような「有益な側面」を特定し、目的目標に掲げ、改善状況を進捗管理する、という方法は、外部審査で褒められこそすれ、そこに内包される問題点を指摘されたことはありませんでした。
なので、違和感を抱きつつも、それで良いと思い込んでおりましたが、「有益」と言ってしまった瞬間に、本来、規格で管理すべき項目が抜けてしまうリスクはあります。
弊事業所は、経営者の方針で、もとい、正直に白状すると審査会社の意向に逆らうことなく、環境保全活動は全員参加とすることとしているため、現場を持たないスタッフ部門で、目的目標をどう設定するか、といった場合に「有益な」側面として、歩留まり改善のようなテーマを掲げなさいと指導してきました。
けれど、規格の意図を考えると、これは邪道、ですね。身から出た錆、ではありますが、大きな組織(関連協力会社を含めると1万人を軽く超えます)ゆえ、全員参加をやめるか、という判断を含め、軌道修正に必要なエネルギーを思うと呆然としてます。が、規格の正しい理解とシステム改善の方向性が明確になった、という点を含め、ご指摘いただいたことに感謝しております。
ありがとうございました。
湾星ファン
湾星ファン様 毎度ありがとうございます。
あのうですね、そんなに恐縮することはありません。別に悪さしようとしているわけじゃないし、それどころか良いことをしようとしているのですから。
私は全員参加だって良いと思うし、またそういうテーマはたくさんあると思います。紙ごみ電気まで退化することはありません。
    とりあえずスタッフ部門に考えてもらうものとしては、
  • 製品という環境側面があります。
    設計部門は文字通りこれが該当します。この環境側面の悪影響を減らし、価値を高めることは終わりがありません。資源を少なく、特に希少資源や今後規制が厳しくなる物質を使わないこと、製造工程の条件を少しでもゆるくても良いようにすること・・歩留まり向上もあるはずです。ただ出発点として製品という名詞(環境側面)なのか、歩留まり向上という動詞(活動)なのかの違いは大きいですし、製品としてとらえれば広い視野で見ることができ、歩留まり向上はその手段のひとつという見方ができるでしょう。
  • 購買とか調達という環境側面もあります。
    購買先の環境負荷低減支援、輸送エネルギーの削減、モーダルシフトや運搬ルートの検討など、輸送中の危険性防止、これも終わりがありません。
  • 調達先、外注先、子会社の管理という環境側面もあります。
    若干前者と重なりますが、環境影響の低減、EMS構築支援、遵法やリスク管理の支援、製造方法、化学物質の代替化支援など、今まさに行っているでしょう業務そのものが環境活動ですし、環境側面の管理であり環境影響の低減です。
  • マーケティングあるいは顧客とのコミュニケーションという側面もあるでしょう。
    営業はお客様へ製品の使い方提案、つまり環境負荷を減らす方法・・それは使用時の費用低減でもあるはずです。製品廃棄時の注意事項の伝達、お客様の声を吸い上げて前工程に伝えること、市場調査などマーケティング活動と事業へのフィードバック。営業部門がしていることそのものです。
    生産計画の精度を上げて生産計画の変更を少なくしたり、モデルチェンジや廃棄する部品などを少なくすることはズバリ環境負荷低減ですし、利益拡大です。
  • イベントという側面もあります。
    展示会において廃棄物削減や適正処理、単に自社製品を宣伝するだけでなく環境意識向上と自社ブラントの向上(これがなくちゃ意味がありません)
そこから言えることはスタッフ部門は仕事そのものが環境側面であり、仕事を改善することイコール環境活動イコール利益拡大だということです。
環境側面の把握というかまとめ方はその組織に合わせて行うべきで、決まりがあるわけではありません。つまりその会社が環境側面を管理するうえで都合がよい大きさにして良いのです。
たとえばたくさんの機械がある時、一台づつを環境側面としてもよいし、あるいは機械の種類ごとに側面としても良いし、あるいは特定施設とまとめて環境側面にしても良いです。要するにその会社が管理するうえで、つまり手順書、教育、記録などでどうまとめれば良いかということで決めればよい。そして一般的に間接部門の仕事は大ぐくりになるのが普通です。現場の仕事と違い担当者の裁量範囲が広いし、また事務系はそれなりに頭を使って仕事をするので業務を細かな環境側面に分けることは不適切なのでしょう。

一つ提案です。
環境なんて言葉をすっぱりと止めてしまって、あなたの仕事を見直して、楽に早く良い成果が出せるようにしましょうといえば良いのです。
そう考えると有益な側面どころか、環境側面という言葉も、いや環境配慮なんて言葉を使わなくても間に合います。 環境を良くしましょうなんて言うこともありません。
私たちは事業発展のために仕事をしているのです。もちろん社会の要請や自然保護も配慮します。環境配慮製品でなければ現在は売れません。環境法違反をすれば・・別に環境法だけでなく、輸出管理の外為法違反でも、セクハラせも談合でも社会から糾弾されるのは同じです。事故を起こせば社会的批判され、最悪の場合は事業はおしまいです。
ね、そう考えると環境だあ!と考えることさえおかしなことなんです。

つまらない話ですが・・私の話はあちこち飛びます。
少し前、どこかの新聞社(分かるでしょ)が有名企業に対してCSR部門があるかというアンケートをしました。
多くの会社にはCSR部とか社会貢献なんとかという部門があったそうです。
しかしCSRの最先端を行く企業にはそういう部門はなかったそうです。なぜかと聞くと、そのような考えは会社の中に浸透しているのでわざわざCSR部門など不要だとのことでした。
環境部などもそういう性格ではないのでしょうか?
営業とか設計はラインですから事業をしていく以上不要にはならないでしょう。しかしスタッフ部門は、社員が社会的規範をしっかりと身につければ不要になってしまうのでしょう。当然、環境部門だけでなく、環境のためという発想も環境活動も不要になります。


湾星ファン様からお便りを頂きました(09.07.22)
佐為さま 湾星ファンです。慈愛に満ちた暖かい数多のご助言、誠にありがとうございます。
おかげさまで、だいぶ頭が整理できました。小職のエラーは、スタッフ部門の環境目標設定プロセスに「有益な側面の特定」というステップを入れたことです。
「歩留改善」のような課題は、「環境側面」を経由せず、「環境方針」を展開する(弊事業所では、「事業活動の全段階において環境汚染の予防に努める」という文言があります)中で目標設定しなさい、と指導すれば良い。これならば、それほど大きな軌道修正、姑息な言い方をすれば素人にはわからない程度の微修正に過ぎません。
このやり方は、厳密には4.3.1a)項に不適合、というのは承知ですが、現業部門の環境側面は、とてつもないものが多数ありますので、スタッフ部門は相対的に影響が小さいから、事業所全体では無視しうる、で外部審査は突っぱねるつもりです。
昨日、呆然としたのは、スタッフ部門の活動を丸ごとISO14001の枠組みから外す必要があるかな、と思ったからです。
ISO14001は、環境事故の予防や被害拡大防止と、コンプライアンス徹底にのみ限定して適用するのが正しい使い方であって、巷の審査機関や業界紙が撒き散らかしている「経営に資する」なんて大言壮語を鵜呑みにすると、既存の経営システムに悪影響を及ぼすことになります。「有益な側面」で感じていた違和感は、「歩留改善」のような課題の解決に有効な枠組み、仕組みを規格は一切、提供していないことでした。これは、当たり前のことで、規格本来の主旨を逸脱し、無いものねだりをしていた、ということに改めて気付きました。ありがとうございました。
湾星ファン
湾星ファン様 毎度ありがとうございます。
小職のエラーは、スタッフ部門の環境目標設定プロセスに「有益な側面の特定」というステップを入れたことです。
そのように思います。なにも環境側面とか有益とか魔法の言葉を使わずとも、昔からの日常語で十分間に合うことだと思います。

現業部門の環境側面は、とてつもないものが多数ありますので、スタッフ部門は相対的に影響が小さいから、事業所全体では無視しうる、で外部審査は突っぱねるつもりです。
若干異議あり
現業部門の側面は大きく多数あるということは同意です。
しかしスタッフ部門の側面だって、それと同等であることを認識すべきです。
SONYが電源コードに含まれていたカドミのために数百億の損を出したというのは有名な話です。
しかし大ごとにならないけど類似な事例は多々聞いております。
たとえば、公告のフレーズで騒ぎになった事例もありました。それは「この製品は省エネだから電気代を気にしないで使えるわ」というようなものだったように記憶しています。
公害を出すと大変だ!というのは事実ですが、それと同じように資材、営業、宣伝あるいはどんな部門だって重大な環境側面を持っていると認識すべきでしょう。


YOSHIDA様からお便りを頂きました(2012.11.17)
定常・非定常・緊急の件
お教えいただきたいのですが
環境側面の特定において、定常・非定常・緊急 を想定するといったことが行なわれています。
しかしながら、この3つの基準が分かりません。
例えば
 定常=通常の生産
 非定常=故障によって停止した状態
 緊急=漏電により火災発生
という具合に考えればよいのでしょうか。
一方で、ネット上で見つけた他の会社様の環境側面では
 定常=給油されている状態
 非定常=油が漏洩している状態
 緊急=火がついた状態
となっていました。
油が漏れた時点で、緊急のような気がするのですが・・・。
この3つの分類に明確が定義があるのかをお教えいただけないでしょうか。
なにぶん初心者ですので、質問の仕方のまずさもあるかと思いますが
ご指導のほど、よろしくお願いします。

YOSHIDA様 お便りありがとうございます。
お名前を拝見して一瞬、ギョッとしました。かの吉田敬史大先生からツッコミがあったのかと・・
そうでなければよろしいのですが、もし吉田大先生ご本人であれば、私の稚拙な説明を笑ってお許しください。
ISO14001では定常も非定常も言及していません。アネックスではいろいろな状況を良く調べてもれなく把握しなさいということでしかありません。
ですからその会社や担当者の趣味(好み)によって、定常時、非定常時という切り口で考えても良いでしょうし、一つのもの、例えば重油の定常時、非定常時という切り口で考えてもよろしいでしょう。
それがまずあります。
次に、ISO規格では非定常時という言葉そのものがありませんから(アネックスは単なる参考です)その会社で非定常時と決めようが、緊急時と決めようがそれも趣味(好み)です。
ところで環境側面を定常時、非定常時、緊急時と分けている会社が多いですが、これって国語的にはおかしいと思いませんか?
定常時ならその反対語は非定常時ですが、緊急の反対は平常でしょう。このへんはどうでもいいと言えばどうでもいいのですが、定常時、非定常時、緊急時とランク付けというか階段状になるとは思えません。命名者はどのようなことをおもっていたのか、私にはわかりません。
肯定語反対語
定常一定していて変わらないこと、またそのさま非定常さまざまな現象において、ある安定な状態に到達するまでの過渡的な状態。定常の反対概念
平常いつもと同じであること緊急即座に対応なければならないこと、またはそのさま
なお、過去にも似たようなお問い合わせがありましたのでそちらもご参考までにお読みください。




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