エコストア 07.12.16

2007年エコプロダクツ展に行った。
エコプロダクツ展、略してエコプロ展とは(社)産業管理環境協会と日経新聞が主催しその他大勢の機関が乗り遅れるなと参加している日本最大の環境に関する展示会で、毎年12月に東京ビッグサイトで三日間開かれる。
簡単にいえば各社でエコプロダクツを展示し、環境やCSRに力を入れているというイメージアップを狙ったイベントである。
来場者は企業関係者だけでなく、家族づれ、小中学校の校外行事としても利用されていて、ものすごい数の大人と子供たちで混みあう。どこでも商売気抜きで、エコ製品のサンプルやおみやげをくれるので年配の夫婦連れも多い。通勤時とまではいかないが、日中の山手線よりは混んでいる。毎年15万人とか16万人の入場者があるそうだ。主催者・出展者冥利に尽きるだろう。
まあ行ってみて、これほどたくさんエコプロダクツを作っている会社があるのか!と感心した。
もっとも、エコプロダクツとは何か?となると定かではない。
「環境製品」あるいは「環境配慮製品」といっても「環境に良い製品」をいうのか? 「環境に良いと語って売っているもの」あるいは「環境からいただいてきた製品」をいうのかもわからない。
仮に「環境に良い製品」としたとしても、すべての企業は損益改善・売り上げ拡大のために日々製造販売している製品の材料削減、加工費(エネルギー)削減、輸送費削減に努めているわけで、ならばすべての製品・商品はエコ商品と言えるのではないか。
ということで、やはりエコプロダクツとは一体何であるか謎である。

それはともかく、某大手小売り業がエコストアという概念というかキャッチフレーズを打ち出していた。
エコストアとは一体何だろう?
エコファクトリーとかエコオフィスという言葉は従来から使われている。
エコファクトリーとはどのようなものをいうのだろう? その定義、基準はなんだろうか?
エコオフィスとはどのようなものをいうのだろう? その定義、基準はなんだろうか?
とこれも私にはわからない概念であるが、エコストアとはさらに理解困難な言葉である。

もっとも考えることもない、その大流通コンツェルンのブースではエコストアとはこういうものだという説明と展示があった。
変革と技術革新
学習と協同情報発信

ハード面では
・省(創)エネルギー
・環境効率
・自然環境
・景観、生物多様性
ソフト面では
・安全、安心、環境配慮
・廃棄物の地域循環
・情報開示
・21世紀型コミュニティ
なんだそうだ。
と聞いても、全然イメージが思い浮かばない。
ご安心ください。ちゃんとエコストアの模型もあるし、具体的事例も示してありました。 エコストアの模型もあった。
太陽光を活用して照明用電力の低減、外気を利用して空調電力を削減、なるべくフラットの建屋にして昇降機(エレベーター・エスカレーター)をなくす。駐車場から店舗までの緑化などなど
どれも悪いとは思わない。明日にでも実現していただきたいと思う。

しかしである。
もちろんエコスーパーマーケットという概念ならそれでもよいだろう。しかし、私はそういうものをエコストアというのではないような気がする。いやエコスーパーマーケットとかエコストアにとどまらず、エコ小売業というものを考えてほしい。
小売あるいは流通というものの存在意義はなにかと原点にかえって考えないと、部分最適、全体見当違いなことになってしまう。
そもそもスーパーマーケットなんて昔からあったものではない。それは社会のインフラや人々の生活スタイルと関連している。関連しているというよりそれらの従属変数なのだろう。
今の日本において、一般市民が車を持ち、また流通・運輸が発達し、電気をはじめとするエネルギーが相対的に安価であり、家族で買い物することがレジャーとなり、大規模小売店で買い物するという生活スタイルが広まったということにすぎない。
アメリカに発生したことは何年か遅れて日本に広まることは多いが、それは自然法則なんかではない。アメリカが車社会でエネルギーが安く農産物をはじめとして大量生産社会だったからスーパーマーケットが発生したのである。仮に日本で流通のエネルギーが高くあるいは流通システムが未整備であれば今でも地産地消の形態だったに違いない。
日本が世界がエコに目覚めて、いやエコを実践したときにスーパーストアが存在するのか、あるいは存在すべきかということから考えるべきである。

流通というのは製造者と消費者をつなぐ機能であるが、昔からさまざまな形があった。そして提供する製品にはさまざまなものがある。生鮮食料品もあれば衣料品もあるし書籍もおもちゃも化粧品もそして本来は無体である音楽やソフトウェアや情報もある。
既に音楽やソフトウェアはインターネットでの販売が急増している。店舗販売はその分減少している。ネットからダウンロードする販売形態は何事も急ぐ現代にマッチし、かつ流通エネルギーの削減だけでなく、廃棄物の削減などまさにエコである。もちろん形ある物を電線を通して送ることはできない。しかしこれもネット販売が大きく伸びている。
人が大きな店舗に行きたがるのは、品ぞろえが豊富でいろいろな商品を比較し選択できることもある。そしてウインドウショッピングそのものもレジャーである。だが今はIT技術があるのだから出かけなくても、見るだけでなく、触る、嗅ぐという五感を使った商品選択ができるなら出かけなくてもよい。既にネットの世界では品物を一方からだけでなく、見る角度を変えることができたりするのが増えている。そうした店舗なら現存するいかなる店舗よりも多くの商品を備えることができるだろう。
日用品や食料品などはもっと小規模でも個々人の住宅に近いところにあったほうがよいかもしれない。
スーパーで買い物した商品をご自宅に送るサービス(ビジネス)がさかんであるということは、考えてみればお客様が店に行くも、品物を送るエネルギーも無駄である。昔日本中でみられた、田舎では今でもあるトラックの荷台に食品や日用品を積んだ販売形式のほうが良いのではないか。
昔の八百屋や魚屋、いやもっとさかのぼれば職業ならぬお店の分化が進んでいなかった田舎ではよろず屋であって、金物から食べ物まで扱っていたのである。最新のIT技術や商流を利用して省エネルギーのウインドウショッピングを楽しめるビジョンを提供してほしいものだ。

エコというものがどのような尺度・指標で図られるの理屈は分からない。
資源採取や製造を省いても次のような範囲が想定される。

小売業に関わる
環境負荷
流通における
環境負荷
店舗設置・運用の
環境負荷
お客様の来店
購入品運搬
の環境負荷
商品廃棄の
環境負荷

この部分だけ減
らしてもだめです

しかしこの総和をミニマムにすればよいのかといえばそうではない。
買う楽しみ、つまりいろいろ商品を探し楽しみ、見比べる楽しみ、ただ商品を眺める楽しみ、買うという行為などの楽しみ喜びも重要である。
だからエコストアと称するなら単なるエコロジー店舗でなくエコストア指数を最大化するソリューションを提案するべきである。
エコストア指数と勝手なネーミングをつけたが、イメージは次のようなものである。

エコストア指数


買物の楽しみ



小売業に関わる環境負荷


来年のエコプロ展においてぜひそういったエコストアのソリューションを提案してほしい。
アイデア不足でしたらいつでも御相談に応じます。

さて、エコプロダクツ展には民間企業以外にも種々の団体、機関が出展している。
大学、NPO、政府機関、財団法人、社団法人・・
巡り歩いて私が欠かさずいただくのは法規制のパンフレットである。恥ずかしながら、というよりも恥ずかしくもないが、法律を読んでもわからないことはあるし、そもそも法律を読んだだけではわからないことが多い。それでもって法規制のパンフレットをいただいて読むほうが分かりやすい。そしてこれを手がかりに法律本文を読んだほうが楽である。


本日の収穫

環境法規制のパンフレット ひと抱え




VEM様からお便りを頂きました(07.12.16)
エコプロダクツで私が感じたこと
エコプロダクツ2007に行ってきました。規模の大きな展示会の活気が好きで、今年はモーターショー、やトラックショー、介護福祉やITソリューションの展示会を見てきました。エコプロダクツの特徴は机1つパネル1枚の小さな出展者がとても多いことだと思います。ベンチャーというとIT産業のイメージがあります。介護福祉には情熱ある新規参入者が多い気がします。それらの展示会よりもエコプロクツには極小セルがはるかに多く感じました。大メーカーでなければ参入できない自動車業界とは比べるべくもありません。実際の出展者数や、企業数などの数字がどうなっているのかを知る由はありませんが、会場の活気と混沌は感じることができました。個々の出展内容の是非はともかく、この活気と混沌があるということに自信と誇りを持ちたいと思いました

VEM様 お便りありがとうございます。
私が皮相的、批判的な文章しか書けないのは、きっと私がひねくれ者だからでしょう。
とはいえ、各ブースを見ているとおもしろいですよね?
    気がついたものを二三あげますと・・
  • トウモロコシはたくさん作れるからプラスチックに使えるよね
    と某電気メーカーは電子機器の筐体にバイオプラスチックを使ったことを宣伝していました。
    既にバイオプラスチックのために食糧が不足するといわれているのにのどかですね。私は子供たちがトウモロコシがたくさんあるなんて信じないでほしいです。
  • 電解水による洗浄力とマイナスイオンによる殺菌力がすごい
    これもまた別な電気メーカーの宣伝です。
    電解水とは次亜塩素酸を含んだ水のことでした。マイナスイオンってなんなのでしょうか?
  • 当社の紙はエコです
    と某製紙メーカーのブースに大書してありました。
    エコってなんでしょうか?
  • バラスト水を浄化して生物汚染を防ぎます
    微生物を拡散させるといわれているバラスト水をろ過して排出する設備を開発したそうです。
    濾過した汚泥をどう処理するのかとお聞きしましたら、今のところ処理方法がないそうです。
  • スーパーマン(?)が地球を救おうと子供たちに檄を飛ばしていました。
    掛け声をだすと地球は救えるのでしょうか?
    あまり安易なことを言わないほうが良いと思います。
  • 植物油は自然のものですという表現は、石油は自然のものではないという意味なのでしょうか?
私は心情的環境保護は環境保護にならず、環境破壊とまったく同じであると考えています。
何を言おうと勝手だとは言えないのです。正しいことを子どもたち、一般の方に伝えなければ、この地球は一層悪くなるでしょう。
多くの企業は生産高比炭酸ガス排出を減らすといっていましたが、一部の電機メーカーは絶対量を減らすと表明しています。当たり前と言えば当たり前ですがすばらしいことです。
自動車メーカーはハイブリッド、電気、水素と夢のような話をしていますが、ぜひ製品となった車からの毎年の炭酸ガス排出量を制限し、それを超えたら車の生産を止めるようなことを考えるべきです。そういうことを考えずに単にリッター当たりとか電気自動車の走行距離を伸ばしても環境保護への貢献は少ないでしょう。

といいましても感激したこともあります。
CWニコル氏がいらっしゃいましたので、「本物ですか?」と声をかけて握手をしてもらいました。


同僚から意見を頂きました(07.12.18)
あのね、スーパーの電気を無駄というのはどうかなあ〜
家族で買い物に来るということは、ご自宅のエアコンは止まっているでしょう。スーパーの電気が家庭の千数百倍といっても来店者が5000人も来ればそれだけのご家庭での電気使用はないわけなのでだから、これは社会的に全体で考えないといけないのよね。
レジャー施設と考えれば、これは社会福祉施設ですよ

わかりました、わかりました
さすがに私の周りには理屈っぽいのが多いようです。
でも転んでもただでは起きない私のこと・・・それから思いついたことですが・・・
タイにいたとき、休日の日系デパートはものすごい人込み、みなさん自宅にエアコンがないのでデパートに来て涼んでいるのです。さすがに通路に座ったりすると店員がやめろと言いますが、まさか買わないとわかっていても店を追い出すわけはありません。
じゃあ、夜デパートが閉まった時はどうやって涼むのかといいますと、もう家族そろって道端に座り込んでいるんですよ。生暖かいけれどわずかでも風があれば家のなかよりもよかったのでしょう。
あれからもう10年になります。今ではみなさんエアコンなどをお持ちになったのでしょうか?
とはいえ、エアコンが増えるとエネルギー危機になるし炭酸ガスも増えるし、フロンの漏れも多くなるのでしょうね。
中国なんてエアコンバンバン増えているっていいますが、これも地球環境問題ですね。
日本のスーパーがエコストアなんてことを目指してもあまり意味がないような・・・
おっと、また突っ込みが入りそうですからやめときましょう。


上々様からお便りを頂きました(07.12.21)
エコストアについての文章を拝見いたしました。
九州のはずれのわが町にも数年前に相次いで2店舗の大型ショッピングセンターが開店しました。その一つがよくCMでも環境と唱えているところです。
その開店以来、旧市街地の古い個人商店がとどめを刺されるように閉店しました。
それまで徒歩や自転車で買い物に行けたおばちゃんたちは仕方なくショッピングセンターに息子や娘の車で連れて行ってもらってようやく買い物ができる状況に陥りました。
住民全体の買い物と言う行為にかかるエネルギー総量は増加しているものと思います。これを無視して木を植えていますだの、レジ袋を削減だのと言われてもね。
日本を悪くしている相当の部分は流通産業の寡占化にあるものと思っています。

上々様 お便りありがとうございます。
おっしゃるとおりですね、簡単に生活スタイルの変化なんて言えませんね。
大勢が好めば少数の弱者は切り捨ててよいというわけではありません。しかしこの変化は昨日今日のものではなく、私の小さい時から継続しているものでしょう。ほとんどの業種で規模の拡大、寡占化が進んでいます。いまだ大企業の寡占が進まないのはスケールメリットの少ない床屋くらいでしょう。
コンビニは発生したとき道路を倉庫にしたという効率性が称えられました。トヨタもジャストインタイムという倉庫をなくしたわけですが、そのことはトラック輸送の増加、いったん事故などが起きると生産は止まるという環境にも悪くリスクもあるということになったようです。
ただ昔はよかったといっても始まりません。現代に合った新しい形態のお店なんていう限定されたものでなく、移動手段を持たない人にやさしい商流をどう構築するかということが本当のエコストアなんだろうと思います。
まあ野党党首もだした小売コンツェルンのことですからそのうち期待に応えてくれるでしょう。(定かではありませんけど)


右顧左眄様からお便りを頂きました(08.01.30)
エコストア
会社の環境に関する仕事を2004年から始めました。全然畑違いへの異動でしたが、そのとき足元を照らしてくれたライトの一つが「うそ800」でした。
ひさしぶりにサイトによってみたら、店構えが大きくなっていてうれしくなりました。指数が高くなりましたね。
(エコストア指数 = 買物の楽しみ/小売業に関わる環境負荷)

でも
「今はIT技術があるのだから出かけなくても、見るだけでなく、触る、嗅ぐという五感を使った商品選択ができるなら出かけなくてもよい。」
というのはちょっと違うかなって思います。体の機能を使わない習慣がつくりだす社会が恐ろしいのです。「WII」程度のものですべて充足されてしまう世の中になるかもしれないとおもうとw

「足元を照らしてくれたライトの一つ」ありがたいお言葉です。感謝に堪えません。
確かにおっしゃるとおり恐ろしい社会かもしれませんね。
でも私は毎日通勤電車でそのおそろしい社会を観ております。
周りに関心なく、ひたすらヘッドホンステレオを聴き、ゲームに興じている会社員
となりの子供と携帯のメールでコミュニケーションをしている小学生
つまみを食べ酒を飲む会社員
ひしと抱き合ってディープキスのおふたり
ああ!世も末だ


しおん様からお便りを頂きました(09.07.31)
ISO14001の4.3.1について
いつも事ある度にに利用させてもらっております。
とうとう初めて質問させていただきます。
この度、監査にて以下の質問を受けました。
 1.環境の変化の定義を知っているか
 2.環境影響の定義を知っているか
以上の2点です。
その時はISO14001の4.3.1に書いてある内容をそのまま答えてしまいましました。
先生ならばどう答えますか??

しおん様 お便りありがとうございます。
まず、しおん様 勘違いでございますよ、私は先生ではありません。会社では「ジイサン」と呼ばれておりますし、家では「あんた」と呼ばれております。
さて
環境の変化の定義・・
ISO規格では定義されていない言葉は一般的な意味を使うことになっています。一般語の「環境の変化」とは工場のまわりが開発されて住宅地になるとか、工場からの長年の害のあるガスの放散による森林の被害などを言うのでしょうか?
正直言いましてわかりません。

環境影響の定義
これはISOの定義そのものでしょう。
1と2が並んでいますので、「環境の変化」とは「環境影響」だとその方は言いたかったのかと邪推しましたが、それはちょっと意味が違います。
たとえば、騒音は環境影響でしょうけど、よほどの騒音が継続しなければ環境は変化しません。だからそれはない。
はたして何を言いたかったのでしょうか?
ISOは分からないことが多いですね。いや、分からないことを語る人が多いですね


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