ISO改定とは何なのか? 08.11.09

さんざん90年代の日本のバブル崩壊を嘲笑っていた欧米であったが、アメリカのサブプライムローンの破綻(というよりその懸念)から起きたバブル崩壊で大騒ぎでございます。日本のバブル崩壊と異なり、その影響は全世界に波及しアイスランドは国家経済が破綻、韓国は瀕死の重傷、中国の株価は1年前の3分の1から4分の1、はたしてこれからどうなるのでしょうか?
ピークオイルと言われて石油産出量は山を越して、これからは採掘される石油は減る一方だなんて言われていました。それで08年初め1バレル(樽)60ドルくらいだったのが夏場には150ドル弱、いよいよ石油文明も終わりかと思われたのに、このバブル崩壊を受けてあっというまに60ドル台までに低落。まさにおごれるものは久しからず諸行無常の響きです。もちろん原油に限りはありますから長期的にはまた上がるのは間違いないでしょう。
ところで上がった!とか下がった!と言われている原油価格ですが、これはNYMEX(ナイメックス)という原油先物市場の価格なのだそうです。ここで取引される量というのはハンパではなく、実際の需要の何倍にもなっているそうです。つまり実際には100しか消費されていないのに、売買されているのは300とか500という量なのだそうです。ここでは原油とは製品・原料というしろものではなく金融商品にすぎません。つまり今ここにお金があるので銀行に預けるより率の良い運用はないか? 国債にしようか!あるいはドルに両替しておこうか。どちらが半年後に高くなるか、どちらが儲かるかというようなものなのです。そして為替取引でも動いているお金の量というのは、実際の貿易の決済に必要な金額の10倍と聞きました。マネーゲームと言いますが、まさに現実離れしたゲーム!
パソコンのゲームと違うのは現実のお金をかけたばくちということです。
FXで稼ぎましたなんて方も大勢いたようですが、今回は大損した方も多いのではないでしょうか?
汗水たらして働くことだけが尊いとは言いませんが、汗水たらして働く人がいなければお金を持っていても食べるものもなく着るものもなく、生きていけないのは間違いありません。お金は使うためにあり、使う必要のないお金は持っていても意味のないことかもしれません。
おおっと、私にはもともと大金どころか小銭も持っていませんので、必要があっても使うことはありません。 
本日はいつもと違い格調高く、グローバルなことから書き始まったのですが、グローバルスタンダードと称するISOマネジメントシステム規格を語るには、これくらいの序章が必要でしょう。 

ISO規格とかJIS規格なんてたくさんあります。私のような製造業に携わっている者は、これら工業規格に基づいて品物を作り、取引しております。
JISそのものが日本工業規格の略だからJIS規格といったら日本工業規格規格となっておかしいじゃないかなんて突っ込みは禁止。言葉として話すときJISだけでは座りが悪い。ここでは、あえてJIS規格といいます。
さて産業の基本、取引の共通の物差しとなっている、ISO規格もJIS規格も原則として5年ごとに見直され必要があれば改定されます。
「見直し」と「改定」は似ていますがまったく違います。見直しとは「これで良いかを再確認すること」であり、改定とは「仕組みや手順を直すこと」です。
世の中はどんどんと変わり、新しい技術も出てきますので、5年前に作られた規格が現在でも有効なのか? 改定した方が良いのかを検討することが「見直し」でありまして、その結果変えなければならないとなりますと「改定」ということにあいなります。

今まさにISO9001が2000年版から2008年版に改定されようとしております。
「お前、ISO規格は5年ごとに見直しと言ったのに8年とはなんだ?」と言われても私は知りません。改定にあたって議論が白熱すればなかなかまとまらないこともあるようです。ちなみにISO9001は制定が1987年、第一回改定が1994年でその間7年、第二回改定が2000年でその間6年、第三回の今回は2008年ですから8年ということになります。なおわが愛しきISO14001は2004年に改定されましたが、今のところ次回改定は2015年の予定だそうです。まあ世の中そんなものでしょう。
そして今まさに巷ではISO9001の2008年改定について、関係者が口角泡を飛ばして大議論の最中であります。「ここはこう変わったのでこうせにゃいかん」「それは違う、こう解釈するんじゃきに」「いやいや・・」まあみなさん大変な騒ぎでございます。 

しかし不思議だと思うことがあります。
先ほど言いましたことから皆さんも不思議なことに気がつきましたでしょうか?
ISO規格は12,500、JIS規格は10,000と言われています。そうしますとISO規格は毎年2,500件、JIS規格は2,000件見直しされ改定されるものも相当数に上るはずです。実際に毎年300件が新規制定され、400件が改定され、1100件が確認、100件が廃止されているそうです。
確認とは見直しした結果、改定不要と判断したもので見直しした記録が付記される。
さて不思議なことというのがお分かりですよね? これほど制定されたり改定されたりしているのに、ちまたでISO規格改定されたので対応が大変だあ! とか改定されたJIS規格の解釈が大変だあ!なんてことは・・あまりというかまず聞いたことがありません。
私は機械製図工として社会にでました。一人前になる前に転身に次ぐ転身でありましたが、一応二級技能士の銀バッチを持っております。機械製図のJISは昔はJIS-B0001とかJIS-Z8302とかいろいろありましたが、あれから40年、もう何度も何度も改訂され、寸法の記入方法からIT公差までまったく変わってしまいました。変わらないのは三角法であることとメートル法であることくらいです。私が工業高校で機械製図を習ったとき、寸法は寸法線を間を切って記入しました。その後寸法線を切らずにその上に寸法を記入するようになりました。CADの発達と普及によって、隠れ線の記入方法が変わったり地異天変の変化がありましたが、この改定のつど寸法の書き方をどう解釈するべきか? 過去に作成した図面をどう扱うかなんて議論は・・・ありませんでした。
ISO9001いやマネジメントシステム規格というものだけが大騒ぎしているような気がするのは私だけでしょうか?
なぜISO9001だけ大騒ぎするのでしょうか?

ところで裸の王様の子供のようなことを言わせてもらいます。
ISO9001ってなんなのでしょうか?
本来は商取引において品質保証の基準として作られたものです。しかしこれも諸般の事情と言いますか、換骨奪胎といいましょうか、2000年版では会社の品質マネジメントシステムを決めたものなのだそうです。
果たしてそのようなたいそれたものを簡単に作ることが可能なのか? 不思議でございます。ましてその適合性審査とか有効性審査とか、経営者が聞いたら腹を抱えて笑うような話でございます。
いずれにしても、そのような規格が仮に可能であったとしても、その規格が改定されることが大騒ぎすることなのでしょうか?

まあ、そのような高尚で意味深長な経営の規格があったとして、それは会社の仕組みの設計や運用において使われるものなのでしょうねえ〜
それが巷で解釈とかいろいろと語られている主張、議論は先ほどの先物取引とか為替取引と同じようなバーチャルなものではないかと思うのです。
もちろん直接かかわっている人々にとってはバーチャルではなく、お金儲けに直結していることではあろうとは思います。 
まず認証機関(審査機関)は規格改定になったので審査が規格の言葉に沿って変わりますので、マニュアルを変えてください、会社の仕組みを見直してくださいなんてウェブにアップしています。
各種研修機関は規格改定に対応していますなんてこれまた墨痕鮮やかに大書しています。
いいですねえ〜、これでまた講習会の参加者が確保でき、最近閑古鳥が鳴いていた講習会もドル箱になるでしょう。
まあ半年の間は
そういう団体や企業ではない非営利のウェブサイトやブログでも似たようなことを書いています。
ISO規格の教育機関の講師と思われる人が開設している半分どころか10割方自分が働いている研修機関の宣伝をしているウェブサイトでも、今度規格が変わったのでみなさん研修機関の講習を受けないと時代についていけないよと精一杯の宣伝を行っています。
コンサルタントがマニュアルひな型や会社の手順書を販売しているところもある。
正直言いますが、私は今年もそんなものがいかにすばらしいのか知りたいと思って大枚をはたいて買ったことがあります。
答えはもちろん屑でした。
はっきりいって、私が作ったマニュアルとか手順書の方が100倍良いことは確実だ。なぜならそれらはすべて実在の会社で使われ実務において検証されているから。みなさんも、会社を良くしようとするならそんなもの買っちゃいけません。すぐに認証しようとするならお買い求めください。
彼らの生活がかかっているのですから、役に立たないなんて絶対に言っちゃいけません。
そんなところでは2008年版対応のマニュアルやひな形を売り出している。いや商売繁盛、結構なことです。
おっと、大変なことに気がつきました。
ISOそのものについてですが、
今回の改定って最近のISO9001の評価の低下と認証件数の減少に対応したビジネスの立て直しが2008年改定の本来の目的だったのでしょう。
100歩譲ってISO9001の2000年版が品質経営のグローバルスタンダードだと仮定したとして、それが会社の経営に役に立たなかったから、いや失礼、一層役に立つように改定しようとしているのでは決してないだろうと考えるのだ。
本音を言えば、規格改定はIAF、JAB、認証機関、審査員研修機関、コンサルタント、規格類の出版社、そしてそれをとりまく人たちのお金儲けのためなんでしょう。
異議ある人いらっしゃいますか?


本日のまとめ
原油の先物取引や為替取引が実体経済から離れたマネーゲームであるように、ISO9001も実際の工業規格としての用途ではなくお金儲けのためのバーチャルなゲームに陥っているのではないでしょうか? 




のんきなとうさん様からお便りを頂きました(08.11.12)
ISO改定とは何なのか
内容はないんだから金儲けにまちがいありませんね。
「次の改定までに間があるから、一丁、儲けておけ」なのでしょう。
老舗のISOISOフォーラムでも「改訂版を購入すべきか?」という問いが回っています。
中東のクエートで9001:2000年版を購入していないと言う理由で不適合をくらったケースがあったそうです。
「変な審査員とごたごたが生じるのを避けるためにも買わざるを得ないのか」と溜息をついている人もいます。
「2008版に移行してください。2000版は無効になります」、と登録企業は脅かされています。
規格は著作権で護られ、オンライン化されていませんので、審査機関もコンサルタントも、ガイドブックや解説本、ホームページでの解説で企業を惹きつけるのに事欠きません。オンライン化すると、このバブル、はじけてしまうだろうと思うのですが・・・
ISOは競争相手がいないので、バブルであろうがなかろうが、気にすることはないのかも。

のんきなとうさん様 毎度ありがとうございます。
私の本職は監査、あちこち出歩いており返事が遅くなりまして誠に申し訳ございません。
しかしきついご意見でございますね・・・実を言いまして私も同感なのですが 
何か改正の方向が現在のあまたの問題解決のためではなく、理想を追求するだけのように思えます。
現実を見ていないのか? 見ても対策しないのか? マスターベーションで喜んでいるだけなのか? どうなんでしょうか?
いずれにしても、このような改定を繰り返しても社会からは尊重されないと思います。
おっと、でもですよ、ISOの認証が信頼できないからという理由で私のような社内監査員が存在でき、お足をいただいているという事実は、ISOの無力に感謝すべきなのかもしれませんね。
アリガタヤ アリガタヤ


ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(08.11.16)
ウチでは、今回の規格改定を意味のあるものとして評価していません。
なぜなら新たな要求事項がないからです。ないのなら、マニュアルその他の何をも変更する必要などありません。
そんなわけで、世間はいざ知らず私は何ら文書改訂に忙殺されることはありません。2008年版のJIS規格票も、たぶん買わないでしょう。旧版があるのに、モッタイナイし。
とはいうものの、来年の中ほどには更新審査の時期を迎えます。審査の申し込み時には、当然のごとく審査機関から2008年版への移行を求められます。つまり、審査機関は2008年版で審査するということになります。
はあ、お好きにどうぞ。もともとウチには○○年版準拠とかいう考え方がないので、マニュアルにも「○○年版を適用する」という記述もありません。つまり、ウチが規格改定を意識するしないに係わらず、自動的に2008年版への移行が完了するということになるわけです。
(ISO関連の)世間では、規格改定への対応準備をしたり、解釈を巡って議論したりといろいろ動きがあるようですが、ご苦労なことです。
なんか、まるでお祭りのような賑々しい雰囲気を感じるのは私だけでしょうか。
景気のリセッションがいよいよ現実味を帯びてきた昨今、こんなことで時間を割く余裕があるというのは、ある意味羨ましいかぎりです。

ぶらっくたいがぁ様 いつもご指導ありがとうございます。
おお!このたびは拙者の愚考にご賛同いただきありがたき幸せに存じます。
しかし、心配ごとが・・・
まずマニュアルに2008年版と書いてないとそれ自体が不適合とされるのではと懸念いたします。  なにしろそれしか見ない審査員もいるという噂
ネットではISOの規格を購入していないと、それも不適合になるとかいう風説も 
いやはや、ISO規格改正とは日本規格協会を太らせ、研修機関に儲けさせ、コンサルに一息つかせるためのものでござったか?
たいがぁ様のところでは、お祭りではなく、通夜のように静かに淡々と乗り越えてください。
通夜というのは悪い意味はありません。昔40年くらい前のこと、経営学の本で「現場はお祭りのように管理部門はお通夜のようであることが望ましい」と書いてあったのを覚えております。


ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(08.11.18)
まずマニュアルに2008年版と書いてないとそれ自体が不適合とされるのではと懸念いたします。
心配いただき、ありがとうございます。
およそ実務的な視点から見れば取るに足らないどうでもいいことですが、これを不適合と判定するかどうかでその審査員の力量というものが測れますね。
・記述がないことをもって不適合と判定した ⇒ アホ
・不適合とはいいがたいが、観察事項とした ⇒ 並み
・記述の有無など一切関係ないとした ⇒ 正常

さて、審査で不適合というからには、審査員は規格要求事項に違反していることの根拠を示さなければならないわけですが、「○○年版」という表記がないことはいったい規格要求事項の何に違反しているのでしょう。
2008年版(FDIS)の4.2.3(文書管理)には、「品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書を明確にし、その配付が管理されていること」とあります。根拠として挙げてくるとすればこれでしょう。
しかし、2000年版では「どれが外部で作成された文書であるかを明確にし、その配付が管理されていることを確実にする」とあるので、規格の意図としては外部文書と社内文書を区別することに主眼を置いていると考えるのが妥当です。今回の規格改正は要求事項の変更はないのですから、この意図はしっかり踏襲されているはずです。また、2008年版(FDIS)の文言はJIS Q 14001:2004の4.4.5のf)項とほぼ同文ですから、つまりこの変更は14001との整合性を高めるためのものであると考えられます。

以下、アホ審査員との想定問答です。
「JIS Q 9001は、“品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書”である。つまり、QMSを展開するにあたって貴社が適用を決めた外部文書であって、それを“明確に”するためには何年版であるかを明記しなければならない」
「弊社のマニュアルには『JIS Q 9001を適用する』と明記してあります。
たしかに何年版とは書いておりませんが、これでは“明確”ではないと?」
「(波平口調で)左様」
「そういう理屈なら、例えば外部文書には顧客からの注文書がありますが、これらは全て受注規定の中では“何年何月何日発行の注文書”と明記しなければならないということになりませんか?」
「! ・・・それは屁理屈というものである」
「どっちも外部文書という点では同じなんですけどね。じゃあ、法令も全部に何年何月何日という記述がいるのですか?
JIS規格票だけが発行年度を明記しないと“明確”でないとおっしゃる理由は何ですか?」
「むむむ・・・」
「ま、いいや。百歩譲って○○年版と追記したとして、弊社にはどんなメリットが生じますか?」
「特にないとは思うが、明記することでデメリットもないでしょう」
「大有りです。今回のように今後も要求事項には変更がない改正があった場合、都度マニュアルや関係文書を改訂・再配付しなければなりません。その労力とコストは不利益そのものです。そんなムダでバカバカしいことはしたくありません」
「しかし、○○年版と表記することは半ば常識というか、どこでもやっていることですよ。従ってもらわないと困る」
「それは審査側の都合というものでしょう。2008年版に基づく審査をするためにはマニュアルに2008年版という文言がないと、あなたが困るんでしょう?
こっちは何も困ることはありません」
「・・・(もはや言葉がない)」

こうした対立が生じる根本原因は、両者のスタンスの違い、意識の違いにあるように思えます。
 審査側 組織にメリットがあろうがなかろうが規格への適合性が大事。
 組織側 規格への適合性は、自社にとって実益のあることが前提。

 審査側 適合していることの根拠を示す責任は組織側にある。
 組織側 適合・不適合の根拠を示す責任は審査側にある。

 審査側 審査してやっている。
 組織側 審査させている。

 審査側 規格が“主”であり、組織のマネジメントシステムが“従”である。
 組織側 自社のマネジメントシステムが“主”であり、規格が“従”である。

国内に認証機関は50ぐらいはあると思われますから、組織側のスタンスに立って審査することのできる認証機関を選びたいものです。
うーむ、ちょっと待てよ。。

まず認証機関(審査機関)は規格改定になったので審査が規格の言葉に沿って変わりますので、マニュアルを変えてください、会社の仕組みを見直してくださいなんてウェブにアップしています。

そもそもこれがオカシイと思います。
組織が自主的に組織自身の意思でもって、今回の改正をきかっけにして今まで気づかなかった規格の意図があるかもしれないから見直してみようというのならわかります。
しかし、認証機関の解釈でもってマニュアルの文言を替えなさいとか、会社の仕組みを見直しなさい、そうしないと次の審査で不適合を出しますよ、などと上から目線で高圧的に指導まがいのことをするのはいかがなものでしょうか。
要求事項そのものには何ら変化はないのですから、本来組織側は何もする必要はないはずです。それなのに、次の審査で不適合を出されるのがイヤなら今のうちにしっかり見直しをしておきなさいとばかりに、見直しを声高々に唱えるのは明らかにオカシイ。
もし組織が見直しをしなかったとしたら、認証機関は次の審査で、やれこの事項は2008年版によるとこういう解釈であるから不適合だ、などと言い出すことになります。
しかし、よく考えて欲しい。従来のマニュアルと仕事の仕組みが規格要求事項に適合しているとして認証したのは、紛れもなく認証機関自身です。
ということは、認証機関自身が今まで誤った解釈の元に認証していたということになるではないですか。
しかも、次の審査では認証機関自身でその誤りを認めたことになります。
欠陥商品ならぬ、欠陥認証です。フザケンジャネーヨ、金返せ!ってなもんです。

認証機関がこぞって2008年版の解釈セミナーなんてのを顧客向けに無償でやりだしたのは親切心でも何でもなく、自身の誤りが次の審査で明らかになる前に、都合の悪い部分を組織に“自主的に”直させてしまおうという小ズルイ思惑があるからに相違ありません。
中には無償どころかカネを取るシタタカなところもあるでしょうから、こうなると盗人猛々しいというよりも、盗人に追い銭ということにあいなります。

そこで、提案です。
・“審査のための”2008年版対応作業などというバカバカしいことは、労あって益なし。ムダだし、腹が減るだけなので止めましょう。
・そして、審査で不適合と判定されそうになったら、規格の中身は同じなのになぜ不適合になるのかをとことん質問しましょう。
・それでも強引に不適合と判定されたら、誤った解釈に基づき認証した“認証機関自身の不適合”に対して是正処置を要求しましょう。
(認証機関も組織から見れば購買先の一つです)

たいがぁ様 大論文をありがとうございます。ゆうに3000字以上、へぼ審査員が書く審査報告書二つ分はあります。お互いにお金にもならないことをして何の足しになるのでしょうか? たいがぁさん流に言えば「腹が減ってしまいます」
ところで私が過去に経験したことから考えると審査員との応酬は違った展開が想像されます。
「JIS Q 9001は、“品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書”である。つまり、QMSを展開するにあたって貴社が適用を決めた外部文書であって、それを“明確に”するためには何年版であるかを明記しなければならない」
「弊社のマニュアルには『JIS Q 9001を適用する』と明記してあります。
たしかに何年版とは書いておりませんが、これでは“明確”ではないと?」
「(波平口調で)左様」
「拙者考えますに、ISO規格やIAF基準にそういう要求がないのですから年度という表記がないのを不適合とする根拠はなさそうです。」
「そういうことになっているのです。屁理屈を言うんじゃありません。私が判定委員会に説明できないでしょう。」
「・・・(もはや言葉がない)」

スタートと終わりのセリフは同じですが、絶句する方が変わりました。
まあ、現実の審査はこんなものです。


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