「Make:technology on your time」

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
オーム社4-87311-360-92008年3月26日1500円シリーズもののNo.4


正直言います。この本は面白い!
いつも推薦する本と言いながら推薦していないが、この本は絶対の一押しです。
もちろん誰にでも向くとかお勧めというわけではない。家庭の主婦とかお年寄りには合わないかもしれない。しかし若い人、学生、子供・・そう特に中学生や高校生にぜひ勧めたい。

私は金は持っていないが、ウィンドウショッピングは大好きで、ヨドバシアキバによく行く。大型テレビとかパソコンとかパソコン関係のパーツとかを見て、歩き疲れると上階にある本屋に行って立ち読みする。昨年の暮に行ったとき、この本を見つけた。何冊ものシリーズであるが別に続きものとか起承転結があるわけではなく、内容を見て面白そうなものを2冊ほど買った。

内容は読んでもらえば一目瞭然。
「あなたのお暇な時間に作ってみよう!」というタイトル通りで、机や椅子ではないいろいろなもの、科学技術を使ったあまり実用的でないものを作るのに挑戦しようという、はっきり言ってバカバカしいものが盛りだくさんのテンコ盛りである。

例を挙げると
アメリカ某所で、カボチャをどこまで遠くまで飛ばすことができるかというコンテストがあるそうだ。
カボチャとは食べるカボチャ、冬至カボチャのカボチャである。
もちろん飛ばすのは人力ではなく、機械を使うのだが、飛ばす方法は自由
ある人は投てき機、つまりパチンコの大きなものを作って飛ばそうとする。
ある人は遠心力、簡単にいえばバッティングセンターと同じ方法で飛ばす。
ある人は空気銃の原理で飛ばす。
なんと飛ばした距離の最高記録は1マイルまであとちょっとという。
恐るべしカボチャ投げ! 
しかし、それはハンパなことではできない。当然ながらカボチャ投げ機の製造と運用のために、お金もかかるし時間もかかる。なんと七万ドルも一つの機械にかけた人もいるという。機械の工作や整備にはグループで一年間かけて次のシーズンに備えるという。
そういう記事を読むとすごい!と思う。設計や工作はおもしろそうだとは思うが、とても自分も一つやってみようかといえるような手軽のものではない。
もう、身上財産をかけた大プロジェクトである。

テーブルトップエビ生存モジュール製作というのもある。
ガラス瓶にエビと小魚と水草を入れて、外気と一切遮断して中に閉鎖的な生態系を作ったものを見たことがあるでしょう。いろいろな呼び名があるようで、バイオスフィアという実験からそう呼ばれることもあり、パーフェクトアクアリウムと称する商品になっているのもあります。
しかしこの本では、出来合いを買ってくるというのではなく、自分で作ろうというのだ。
ネットで検索すると、こういうのを自分で作ろうとするのは無理であるとか、自作してとうとう2か月も生存させることができるようになったなんてのが見つかる。
この本はその難題に挑戦する。それも単なるキットを組み立てるのではなく、材料や生物を買ってくるのではない。自分が材料を集め近くの池に行ってエビのような虫を探そうとか、適当な水草を集めてきて試行錯誤で作ろうってのですから、これもまたハンパじゃありません。
そしてそれを観察していると、自分が生態系を作った神となったことを知り、絶対者としての権力をどう使うべきかと悩むことになるとか・・ほんとにハンパじゃないのだ。

パソコンのマウスでロボットを作ろうなんてのもある。
../mouse.gif タイトルだけ見れば簡単そうだが、中身を読めば簡単じゃない。マウスは外形を使うだけ。中身の電子回路とアクチュエーターを作るのは骨であるのは一目瞭然
よく1000円もしないで電子虫とかいう名称で売られているが、あれを一から作るのはやはりそうとう技術があり半田付けと工作が得意でないと難しいと思う。

凧にデジカメをつけて地上の写真を撮ろうなんてのもある。
おもしろそうだと思うが、これも簡単でないことはまた明らかだ。
タコをあげるというのは結構な技術である。最近はビニールのシートを骨組みにはりつけてサッと揚がってしまうのもあるが、ヤッコ凧とか四角い凧をちゃんと揚げるのは難しい。凧を満足に揚げられなくては写真を撮るどころではない。

この本はシリーズで、一冊の中にそれぞれ十いくつものテーマがある。
どれも面白いしためになることは請け合いだ。
../fusha.gif
お金も時間もかからないものももちろん載っている。
ここに載っている中でも、手軽なギター作りとか風力発電くらいは子供にもできそうだ。今は電子部品も機械部品も安く手に入るのでやろうと思えばそれ以外のものでも安くできそうなものもある。電子的なゲームにはまっている子供たちに、手足を動かして物を作る喜びを実感してほしい。
といってもまともな音が出るか? 発電できるか? は定かではない。

本日のご注意
この本ではなんでも簡単にできるように書いているが、素人がすぐにできるはずがない。
実行に移す前に時間とお金の見積もりを行うこと!

それともうひとつご注意
老眼の始まった人には活字が小さくちょっとつらい 


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