監査員の素質 09.06.14

『ISOのため』の内部監査とか内部監査員というものを、私はあまり好かない。素直に考えれば内部監査なんて品質も環境もないはずだ。会社の内部牽制として会計だけでなく業務監査が存在するだけだと思う。とはいえ、ISOが出現してから内部監査と言えば監査部が行うものより、内部品質監査などが有名になってしまったのは事実のようだ。
大昔から顧客による品質監査というものはあったが、あれは内部監査ではなく二者監査である。
さて、内部監査をするにはどのような素質が必要か? いやどのような人が適切なのだろうか?
多くの企業では内部監査員研修を受けた者なんて決めているようだが、そんなことは全く意味のないことだと私は考えている。おっと、私が考えるだけだからちまたの研修機関で数日の講習を受けた人なら力量があるのだという主張に反論する気はない。間違っても営業妨害だなどと言わないでほしい。

内部監査に限らず、監査や審査を行う人に求められるものは何か?なんて考えることもない。そんなことはISO19011で規定されている。まあ、ISO19011が絶対正しいということもないし、企業によっては特有の事情もあるからそればかりを尊重することもないが・・
ISO19011の第7章で監査員の資質について述べている。
 7.2個人的特質
 7.3知識及び技能
 7.4教育、業務経験、監査員訓練及び監査経験
7.3と7.4はそれこそまさに教育と経験を積むことによって身に着けることができるだろう。(一応普通の社会人としての常識と熱意をもっていることを前提とする)
もちろん求められる水準はちまたの数日の内部監査員講習会、あるいは1週間の審査員になるための講習会程度で7.3と7.4が満たされるはずがない。JRCAの品質審査員に登録するには審査員の研修会修了だけでなく品質管理についての知識証明を求められるが、それにしても5日間の講習を受ければOKだったはずだ。しかしISO19011で求める知識がたった5日間の教育程度で間に合うはずがない。環境の場合は特段の有資格者であることは求められなかったと思うが、幅広い知識がなければ監査も審査もできるはずがない。環境法もあるし公害防止の技術、エコ製品、化学物質についての知識も必要だろう。
まあ簡単ではないが内部監査をしようという人は過去に業務経験や勉強をしてきたはずだからそのような知識・技能及び監査の技能は身につけていることにする。 

では個人的特質とは何だろうか?
本日はそこを考えてみる。
ISO19011 7.2では次のように列記している。
a)倫理的である。すなわち、公正である、信用できる、誠実である、正直である、そして分別がある。
b)心が広い。すなわち、別の考え方又は視点を進んで考慮する。
c)外交的である。すなわち、目的を達成するように人と上手に接する。
d)観察力がある。すなわち、物理的な周囲の状況及び活動を積極的に意識する。
e)知覚が鋭い。すなわし、状況を直感的に認知し、理解できる。
f)適応性がある。すなわち、異なる状況に容易に合わせる。
g)粘り強い。すなわち、根気があり、目的の達成に集中する。
h)決断力がある。すなわち、論理的な思考及び分析に基づいて、時宜を得た結論に到達する。
i)自律的である。すなわち、他人と効果的なやりとりをしながらも独立して行動し、役割を果たす。

いやあ、読んだだけで私には到達不可能な境地であることが分かります。 
もっともだいぶ前に某認証機関の取締役がISO19011を満たした人がいれば神様だと言ったので、日本にはそのような審査員は少ないのだろう。いやこの世に神様がいないように、それを満たした審査員はいないのかもしれない。
審査員になるためにはISO19011を満たしていないとなれないはずなので、そのへんはどういう理屈なのだろうか?
あまり問い詰めないとするか・・
しかしa)からi)まで抽象的であり具体的にはどんな資質なのか?どのような行動をとれる人なのかを考えてみよう。
正直言って必要条件を列記してあるべき監査員・審査員像を示すことは難しい。私は監査・ISO審査を受けたり、立ち会ったり、監査に行ったり、監査を指導したりしている。そんなときにこりゃだめだという事例とか、素晴らしいと感じた事例をあげてみたい。 というと今あげたようなことをしない人なら良い審査員、監査員になれるというわけです。
あれえー
倫理的で、心が広く、外交的で、観察力があり、直観がすぐれ、適応力があり、粘り強く、決断力があるとなると・・ISO19011の要件と同じようです。 

本日の謎
果たしておばQジジイはこの条件を満たしているのだろうか?

答え
そんなはずあんめ(東北弁でした)



Yosh様からお便りを頂きました(09.06.14)
ISO19011 7.2では次のように列記している。
a)倫理的である。すなわち、公正である、信用できる、誠実である、正直である、そして分別がある。
b)心が広い。すなわち、別の考え方又は視点を進んで考慮する。
c)外交的である。すなわち、目的を達成するように人と上手に接する。
d)観察力がある。すなわち、物理的な周囲の状況及び活動を積極的に意識する。
e)知覚が鋭い。すなわし、状況を直感的に認知し、理解できる。
f)適応性がある。すなわち、異なる状況に容易に合わせる。
g)粘り強い。すなわち、根気があり、目的の達成に集中する。
h)決断力がある。すなわち、論理的な思考及び分析に基づいて、時宜を得た結論に到達する。
i)自律的である。すなわち、他人と効果的なやりとりをしながらも独立して行動し、役割を果たす。

答: 詐欺師。
但しa)の項は“自己に”とか“自己が”が付します。

師匠 ありがとうございます
言われてみればまさしくそのとおり!
うーん、善であろうと悪であろうと、人間が持つべき資質は共通なのでしょう

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