諸悪の根源は点数方式である 09.08.23

私は、環境側面は点数で決める方法は不適切だと常々語っていた。
しかし、本日はその考えを改める。誤解なきよう、点数方式でも良いというのではない。
点数方式は完全な間違い、それどころか第三者認証制度崩壊の第一歩であるということを主張する。

「環境側面とは何ぞや」といえば、ISO14001 3.6定義によると
「環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」である。
これでは何が何だか良くわからない。少なくても私は理解できない。だから規格本文で環境側面についてどのように書いてあるかを見てみよう。本文でも環境側面とはこれこれであるとは書いてない。その代り環境側面についてどうしなければならないかが書いてある。
それらを総合すると、環境側面とは、
「マネジメントシステムを確立するとき考慮するもの、環境法規制に関わるもの、教育訓練をしなければならないもの、内部外部コミュニケーションをしなければならないもの、管理するために手順を決めなくてはならないもの」ということになる。

さて計算方法とは、環境側面を決めるにあたり、化学物質やエネルギーなどの使用量や危険性などの和や積、つまり足し算したり掛け算したりして決めることをいう。
算数の得意な人は足し算・掛け算だけでは足りず、対数を取ったり、関数をあてはめたりする人もいる。いやあ、私のような無学な者にはできそうありません。
簡単平明に説明できず、こじつけているというのが本当のところだろう。
具体的には次のような方法である。
項目使用量/保管量危険性発生可能性計算結果評価
PPC用紙100万枚
5点
危険ない
1点
常に発生
5点
5×1×5=25点著しい
電気第二種該当
4点
温暖化が怖い
4点
常に発生
5点
4×4×5=80点著しい
PCB機器2台
1点
重大
5点
多分起きない
1点
1×5×1=5点著しくない
バカバカしいったらありゃしない 
女の子が花占いをしていたらかわいいと思うだろう。
しかし、大の大人が会社で、著しい、著しくないと番町皿屋敷のようなことを言っているのは現代の怪談である。

さて、あなたは計算方法で環境側面を決めることができると思いますか?
計算することによって、環境法規制に関わるのか、教育訓練が必要か、コミュニケーションしなければならないか、手順書が必要か、分かるとお思いでしょうか?
はっきり言う、そんなことが計算で決まるはずがない。
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審査員の中には「削減を図ると、著しいものが著しくなくなるような仕組みが良い」などと意味不明なことを語るお方がいる。
めっきのシアン使用量を10キロから1キロに減らしたら、著しくなくなるとでも思っておるのか?
PCB機器3台のうち2台をJESCOに処理委託したら、著しくなくなるとでもいうのか?
そんな会社があれば、危なくて近づきたくない。
そんなアホを語る審査員は、環境とか法律に関わった仕事をしたことがないとしか思えない。
ISO規格はファンタジーとかオママゴトを語っているのではない。組織は法を守るために、事故を起こさないために、環境に配慮するために何が重要なのかをはっきりさせろと言っている。組織が管理しなければならないものを、しっかり把握しろといってるのだ。
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シアンはたとえ微量でも、使用している限り著しい側面だ。
PCB機器どころか、汚染物がひとかけらあっても法規制を受ける著しい側面なのだ。
いやしくも審査員を名乗るならそのくらいは知っていてほしい。
計算で管理しなければならないものが分かると考えている人がいるなら、その人は環境業務に就いたことがない人、あるいは自分の頭で考えることができない人であるに違いない。
そして、数多くの本で計算方法を説明していること、ほとんどの講習会で計算方法を教えていること、審査では審査員が計算方法なら良い方法だと判断していること、などなどを思うと、日本でISOに関わっている人の多くは、環境(管理というべきかもしれない)について全然知らないことが明白である。
現実に2009年の日本で「当社はISO14001認証しました」なんて看板をあげている会社や学校その他の半分は、点数方法で行っていることは間違いない。
これは呆れるとか悲しいことというより、トンデモナイゆゆしき事態、大問題である。
点数をつけて上位何件までとか、何点以上を著しい側面にするなんてことが、まっとうだと思っている人は、今すぐ環境担当を外れてほしい。そしてそんなことを語っている審査員やコンサルは、即刻ISOの世界から足を洗うべきだ。なぜなら、そんなこっちゃ、いつかは事故を起こし、違反を起こすだろう。
いや実を言うと、私は現実に違反をした企業、事故を起こした企業は、そういう環境側面の把握をしていたのではないかと考えている。それこそが第三者認証の問題点ではないかと思う。

著しい環境側面とは管理しなければならないもの。だから管理しなければならないものが抜け落ちていれば、法違反が起き、事故が起き、汚染が起きるだろう。
世の中は因果応報である。環境側面とは環境影響に作用するもの(定義)であると同様に、環境側面を決める方法が法違反や事故の発生に直結する。
違うと思うなら反論願います。

ともかくある程度の知識・経験のある者が重要だと考えるものが、「著しい環境側面」になっていなければならない。どう考えても重要じゃないようなものとか、点数が低いからとPCB、めっき、劇物、マーケティング、製品、あるいは工事が落ちているようじゃだめだ。
ほとんどの会社で、PPC用紙を著しい環境側面に入れている。全員参加にするために、紙を入れていると語る人もいる。理由はいろいろあるのでしょう。しかし、その会社では紙を使うことを本当に重大なことと考えているのだろうか?
もしそうであれば、株主は株主代表訴訟を起こさなくてはならない。だって、たかが一人当たり年間数万円のものを重大だなんて考えているような経営者には、会社を任せておけない。もっと重要事項である、事業拡大とか利益拡大、環境配慮、事故予防、コンプライアンスを考える人を取締役に据えなければならない。
私の知る限り、多くの会社では著しい環境側面をしっかりと把握していない。これは驚くことではない。まず計算方式という前世紀の方法では、正しい結論が得られない。それは保証する。
ダメだと保証してもしょうがないけど

「MS 信頼性ガイドライン対応委員会 報告書」では組織が故意の虚偽で説明されたら審査でそれを見つけることができないと語る。
それって本当でしょうか?
ISO14001なら、著しい環境側面がちゃんと把握しているか、それをマネジメントシステムに織り込んでいるか、関係する法規制を順守しているか、教育訓練をしているか、内部・外部コミュニケーションをしているか、管理手順を決めているかを点検していけば、審査で虚偽の説明を受けても、おかしな点、矛盾に必ず気がつくだろう。
それができなければ審査員の力量がないだけだ。
それとも「故意の虚偽説明」は見つけることができないけど、「過失の虚偽説明(ミス)」あるいは「善意の虚偽説明(審査員におもねること)」は見つけることができるのだろうか?
該当報告書による「故意の虚偽説明」の定義
受審組織が、意図的に認証機関に対して認証登録の判定に重大な影響を与えるような誤った情報を提供すること又は意図的に真実の情報を隠蔽すること

本日の新説
環境側面を計算方法で行うことが、日本の第三者認証制度を揺るがした真の原因である。
まさに、ペキンの蝶々である。

本日の解説
なぜこの駄文を書いたのかというと、JABやJACBが出した「MS 信頼性ガイドライン対応委員会 報告書」というものが発行されて、それを読んで中身に呆れたからだ。
今、ISO第三者認証制度というものの社会的信頼が低下しているという現実がある。それを打開しなければならない。それは分かる。しかしこの報告書では不祥事を起こした企業は速やかに認証を取り消しましょうと言っているにすぎない。
例えであるが、抜取検査といっても方法はいろいろある。供給者が多数あり、悪いところを切り捨て良いところを使うことが許される場合と、供給者が限定されていて、悪くてもそこを使わなければならない場合では、抜取検査の方法が変わる。詳細はJIS参照のこと。
同じく、第三者認証制度において認証してほしいという企業が数限りなくあるとき、不祥事が起きたら切り捨てという方法は、認証の価値を一層高めることにつながるかもしれない。しかし認証したいという企業が少なくなりつつある現在、悪いところは切るぞ!と見得を切るのはいいけれど、それだけでは認証件数がドンドン減って認証機関、認定機関は自分で自分の首を絞めるだけではないだろうか?
悪い組織しかなくても、それを教え育てていかなくてはISOビジネスは崩壊するばかりだ。
審査で教えることはできないなんて利いた風な口をきいてはいけない。審査で適合・不適合を提示することそのものが指導であり、経営に寄与することではないのか?
まあ、審査の質が質ではね


しょうちゃん様からお便りを頂きました(09.08.23)
おばQさま、いつもお世話になります。しょうちゃんです。

計算方法とは、環境側面を決めるにあたり、化学物質やエネルギーなどの使用量や危険性などの和や積、つまり足し算したり掛け算したりして決めることをいう。

との仰せですが、これは本などに載っている形式的なやり方です。
本当に実践する場合は、計算する前に予め「著しくしたい環境側面」つまり

「マネジメントシステムを確立するとき考慮するもの、環境法規制に関わるもの、教育訓練をしなければならないもの、内部外部コミュニケーションをしなければならないもの、管理するために手順を決めなくてはならないもの」

を事前に”何らかの手順”で決定しておき、この「著しくしたい環境側面」とこれ以外の「著しくしたくない環境側面」が出来るだけ完全に分かれるように『点数のウエイトを配分する』のが真の点数法なのです。
この分離の制度が悪いと、管理や教育すべき側面が著しくなくなったり、どうでも良い側面が著しくなって、管理や教育対象になってしまいます。

点数配分だけで調整しきれない場合には、計算方法まで変更してなんとか帳尻を合わそうとするため、
算数の得意な人は足し算・掛け算だけでは足りず、対数を取ったり、関数をあてはめたりする人もいる。


ということになります。

結局のところ、「著しくしたい環境側面」が「著しい」ということを、後付で正当化するためだけの作業です。
前述の「著しくしたい環境側面」を決定した”何らかの手段”をそのままルールにすればそれで済むのにね。 (^^)d

しかし侮る無かれ!
この後付の正当化を最重要事項として審査しているおばか審査機関もあるんだぞ!

しょうちゃん様 毎度ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりであります。
不肖おばけのQ太郎も、その事前に”何らかの手順”で決定しておき、この「著しくしたい環境側面」とこれ以外の「著しくしたくない環境側面」が出来るだけ完全に分かれるように『点数のウエイトを配分する』ことを行っておりました。
今では過去いかに悪事に手を染めたかと懺悔の日々であります。 
こんなことでは、ISOが良くなるわけがない。
そんなことをしていては、第三者認証制度が長続きするはずがない。
そんなことをしていては、第三者認証制度が長続きしてはいけない。


けんのお父さん様からお便りを頂きました(09.08.29)
佐為 様
けんのお父さんです。
ホームページを拝見いたしまして、あいからずお元気そうでうれしく思っています。
久しぶりにホームページを拝見いたしました。最新版管理?(^^がされていて、とても読みやすくなっています。
ところで「ISO17021」以後、以下のような審査があるんですか。あったら教えてください。
「諸悪の根源は点数方式である」を読んで、びっくりしております。
私はOHSMSもしておりますので点数方式については、佐為様とは見解を異にしますが、(すいません、何しろ厚生労働省からの指針もありますし、数値化は見える化としては有効と思っています。)現在の審査で、点数方式でないことを理由に不適合にする審査は考えられません。あきらかに著しくならなければならないものが、管理がされていない状況では、審査員は決定方式の矛盾について言及する必要があります。しかし、決定方式そのものを指摘する理由は認証機関にはないからです。
しょうちゃん様の言う「何らかの手順」が、確認できないなら、審査機関は「後付の正当化を最重要事項として審査」するしかありません、バカと言われようがそうするしかないではありませんか。しかし、それは「何らかの手順」を審査して、点数制度でなければならないということにはつながらないと思います。
本来、著しい環境側面とは、環境的にリスクの高いものをあげるべきで、当然ながら法規制とは連動すべきものと考えています。例えば、OHSMSでは死亡災害につながるものは、可能性が少ないからと言って登録リスクから外れることはありません。当たり前のことですし、そのようなことがあれば会社としてMS以前で不適合です。
しかし、環境に目を転じると、特定部門では法規制での運用として重要だが、会社としては著しくはない。いやそれどころか法規制登録の必要ない。という不思議な理屈も、またまかり通っている現状もあります。これは会社のすべてを把握してジャッジを下すべき経営者にとっては不幸なことと思っています。

けんのお父さん様 毎度ありがとうございます。
点数方式の是非とか効用、妥当性について議論を始めると膨大で大変なことになりますので、とりあえず
点数方式でないことを理由に不適合にする審査は考えられません
についてのみ論じたいと思います。
これは別にISO17021になったからということとは全然関係ありません。それ以前のガイド66においても、JABRE300でも「G5.3.21 著しいかを特定するための基準を設定しこれを行うための手順を開発するのは組織」であると定められていました。
同時に 点数方式でないことを理由に不適合にする審査 は私の知る限り存在しなかったと思います。
しかしそれは点数方式でないと徹底的にその論理性を追求し・・あたかもナチスか旧ソ連が反政府分子に対して行ったように・・厳しい審査が行われ、実質的に点数方式に誘導していたという事実を否定するものではありません。
点数方法以外で行っていた組織に対しては「著しい環境側面を決定する方法が論理性に欠けます」とか、「決定する手順の妥当性が不明確です」なんていう表現の不適合を出していたということは、実質的に  点数方式でないことを理由に不適合にする審査  であろうと考えます。
なにせ、私は1997年から相対する審査員に、かようなくだらないことについて常に査問、尋問を受けてきました。困り果てて私は雑誌でお名前を見かけたISO-TC委員にメールを出して、点数方式は必須なりや?と質問したのが、この因果な商売にのめりこんだきっかけです。その委員は「そのようなことはない、それはISOを冒涜するものだ」と回答してくれました。そんなふうに審査員とチャンチャンバラバラして、髪の毛を失っておばQになってしまったというわけです。
ところで現実に行われている点数方式に論理性などあるはずがありません。元々、この方式は当時のJ△○Oの鈴△氏が広めたという噂も、柴■氏が広めたという説もありますが、私はその真偽は分かりません。実を言いまして、私は97年に鈴△氏が講師の審査員研修を受けたのですが、彼は心底点数方法が正しいと信じているようでありました。
いずれにしても他の方法で行っている場合、その方法の根拠、妥当性をゴリゴリと突っ込み、方法を変えるように誘導していた人が多かったこと、21世紀の現在でもそういう審査はまだまだ見られるということは事実です。
けんのお父さんも現役審査員と推察いたしますが、今時点の審査においても点数方式を推奨している認証機関も審査員も数多くいます。私が認証を指導するときは、必ず認証機関を決定する前に「おたくは点数方式でなくてもよろしいですか?」と確認しています。点数方式至上主義の認証機関の場合、予防処置として点数方式を採用することはコンサルのあるべき姿でしょう。(笑)そして現実に「点数方式が好ましい」と回答する認証機関がいくつもあるというのが現実です。
けんのお父さんの所属する認証機関ではいかがでしょうか?失礼ですが、ご同僚に「オイお前は点数方式なんて言ってないよな?」とご確認してみたらどうでしょうか?
ところで「環境側面評価」と表現する、書籍、コンサル、審査員が数多くいますが、違和感を感じませんか?
似たようなものには
 ・有益な側面が必要
 ・管理責任者は監査責任者を務めてはいけない
 ・3年間の目標が必要
 ・目的とは3年後の目標
 ・すべての部門で環境目標が必要
 ・目的の実施計画と目標の実施計画が必要・・これを語る審査員は多い
 ・自覚の記録が必要
なんてのもティピカルです。
おおっと、「環境方針に社外に公表すると書いてないので不適合!」というのを、今年私が指導した会社でいただきました。
私の道は険しく遠いです。
ぜひともけんのお父さんも日本の審査をまっとうなものにするためにご協力ください。
私が独断、独善に陥る恐れも大いにあるわけです。それは十分にあり得ることですから、私は分からないことはそのままにせず、ISOTC委員に問い合わせたり、主要な認証機関に問い合わせて、確認しております。JABに問い合わせたこともあります。
みなさん親切丁寧に回答してくれます。ありがたいことです。


リス様からお便りを頂きました(09.09.19)
著しい環境側面について
はじめまして。
6年間の内部監査員を経て、今年ISO事務局になりました。
上司は全く別の仕事をしており、私一人が事務局のため、相談する人がおらず、いろいろ困っています。
おばQ様にお会いできて、たいへん嬉しく思っています。
先日、定期審査を受けたのですが、著しい環境側面の抽出について、ふつふつと疑問がわいてきました。
あまりにしつこく質問していたので、上司に「執念を感じた」みたいなことを言われてしました。
それ以来いろいろ調べており、先日も名古屋鶏様のところで質問させていただきました。
丁寧な回答をいただいたのですが、おばQ様のご意見もお伺いしたいと思い、お便りさせていただきます。
おばQさまのサイトで、「環境側面」に関連すると思われる記事は一通り拝見しました。

さらに質問です。
「著しい環境側面」は事故や違反が起きないように管理しなければならない項目と書かれていますが、「環境側面」のほとんどが法規制の対象になるように思われます。
今まで、環境評価影響シートというスコアリング法を用いてきましたが、その表の一部に「関連法規制」という欄があって、あてはめていくとほぼすべての環境側面に法律が当てはまります。
これらはすべて「著しい環境側面」なのでしょうか。

おばQ様のご意見を拝見していると「環境側面」で悩んでいるのがばかばかしくなってくるのですが、なし崩しでなく、しっかり区切りをつけて、新しい方法に移行していきたいと思っているので、よきアドバイスお願いします。

ちなみに、当社にこられる審査員は、いつも全社のとりまとめが必要といわれます。

リス様 お便りありがとうございます。
あなた様のウェブを拝見しました。そこに
今まで『著しい環境側面』とは、環境影響の大きい活動であると認識していましたが、今日の審査員の方によれば、『環境改善重点項目』と言ったほうがよいとのことでした。
内容は点数の高いものではなく、改善できる項目をあげるべきとのことです。ですから、電力のことを言おうとすれば、『機械稼動電力』ではなく、『無駄な電力(使っていないときに電源を切るなど)』をあげるのが正しいやり方です。
審査員の方によれば、無駄な電力を減らすことも大切だけれど、もっと前向きな取り組みの方が重要とのことです。

とありますが、上記にはまちがいがたくさんあります。
『著しい環境側面』とは、環境影響の大きい活動 というのは正しいでしょう。
審査員の方によれば、『環境改善重点項目』と言ったほうがよい これは完ぺきにまちがいです。環境側面と改善は関連はあるでしょうけど、イコールじゃありません。いつも私が書いていますが動詞と名詞のように性質が異なるものです。
点数の高いものではなく、改善できる項目をあげるべき これも完全な間違いです。
何事においても 前向きな取り組みの方が重要 ではありますが、環境側面には前向きも後ろ向きもありません。
全社のとりまとめが必要 ではありません。その会社がまとめた方が良いと思えばまとめればよし、各部署でしっかり管理することというならそれまでのことです。会社には中央集権型の統治方式もありますし、事業部制もあります。別にどちらが良い悪いということはなく、業種業態、企業文化、リーダーシップなどによって違って良いのです。というか必然的に決まってくるものでしょう。

環境側面は法規制を受けるものとイコールか?という質問にはNOです。著しい環境側面とは何か!といえば、重要管理項目です。法規制を受けるものは著しい側面になるでしょうが、法規制を受けないものでも著しい側面になるものがあります。
このあたりの説明はアイソスという出版社の「ISO14001:2004対応 環境マネジメントシステムの構築と認証の手引き」という本があります。本屋では売っていませんが、出版社に注文すると買えます。別に宣伝料をもらっているわけではありませんが、この本はISO14001に関してはもっともまっとうな本です。
この本では「法規制を受けるもの」「事故が起きる危険性のあるもの」「事業上重要と判断したもの」は必ず著しい側面にしなさいと書いてあります。
そのとおりだと私は考えております。まっとうな審査機関をいくつも知っていますが、どこもこの考えを外していません。
ところで、環境側面をどのくらいの大きさにするべきか?という問題もあります。
工場にたくさんある機械ひとつひとつを著しい側面ととらえてもおかしくない。工場の特定施設をまとめてひとつの側面としてもおかしくない。もしリス様が本社にいるなら、工場とかではなく、工場を管理するということを側面としてもおかしくない。要するに環境側面なんていう考えがまずあるのではない、そうじゃなくて会社の仕事としてリス様がどういうふうな管理をしているのか?会社はどういう管理をしなければならないのか?という観点で側面を取り扱うということになります。
いや、私は大きな間違いを言いました。
環境側面なんて存在しないのです。会社では管理しなければならないことがたくさんあります。労組対策、顧客管理、大株主対策、そして工場では公害を出さないように、事故が起きないように、そういうものが重要な管理項目であり、その中の環境に関わるものをISO14001で著しい環境側面なんて造語で呼んでいるにすぎません。
リス様は点数方式を脱却したいというご意向のようですね?
それに反対はしませんが、認証機関によっては点数じゃないとイヤというところもあります。そんなところとケンカしてもしかたないし、わざわざ審査員を教育指導することもありません。認証機関を変えるというのもありますし、もうそんな人を相手にするのも月給のうちと割り切るのも一法です。
どんな方法でも会社の遵法をしっかりする、リスクを最小限とするよう管理するということをすればよいかと思います。
もっともリス様が認証機関に方法を変えるけど文句を言わないで、とネゴシエーションに行くならお伴するのはいといません。本当に声をかけてください、同行します。


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