二重らせんと環境側面 10.08.06

現代では二重らせんといえば、DNAのことを意味する。DNAとはデオキシリボ核酸の略で、ウイルスを除く地球上のほぼ全ての生物はDNAで遺伝情報を伝えているそうだ。このDNAの形から二重らせんと呼ばれている。
性格が悪いのは生まれつきじゃない 科学の進歩はすばらしいというか恐ろしいというか、このらせんを構成している原子がどんなふうにつながっているかまで判明しているのだそうだ。そして人間とチンパンジーのDNAの配列のどこまでが同じでどこが異なっているかもわかっていると聞く。人間であれば、美人もそうでない人も、性格が悪いとか、気立てがいいというのは生まれよりも育ちの影響が大きくDNAとは関係がない。私の口が悪いのもDNAのせいではなく、60年間悪い上司や先輩や周りの人にいじめられてきたせいで、断じて遺伝のせいではない。

二重らせんではないが、ふたつのものがお互いに関連しているというものはたくさんある。
電場と磁場なんてのは、切っても切り離せない。電界だけくださいとか、磁界だけくださいというのはできない。電流が流れると磁界が発生し、アンテナからは電界と磁界がいっしょに発生する。それが電波だ。
ぐるぐる巻いた電線に電気が流れると電磁石になるから、電気と磁石は関係がありそうだということは直感的に納得できる。しかしどう考えても、距離と時間は無関係に思えるだろう。長さは物差しではかるし、時間は時計で測る。時間が経っても長さは変わらないし、遠くの国では時間の流れが変わることもない。時差とは単なる便宜上のものですよ、
でもアインシュタインによると、時間と空間は一体不可分のもので時間だけとか距離だけ存在することはできず、また片方が変化すれば他方に影響が及ぶという。私のように学のないものには理解できないが、そうなんだろうと信じるしかない・・

さて、本日はアインシュタインの向こうを張って、私が考えた新理論を説明する。よく聞くように、
オイ、後ろのほう聞こえるか?

私の考えることは、ISOマネジメント規格の関連しかない。さてその新説は「環境側面と環境法規制は一体である」というものである。
「あったりめーじゃねーか」とおっしゃる方もいるかもしれない。すみません、私の頭が悪くてここまでたどり着くのに時間がかかったのです。
「そんなことねーじゃねーか」とおっしゃる方がいるかもしれませんので、以下若干を説明申し上げます。

ISO14001の認証をしようなんて仕事を担当すると、まずはじめに環境側面にはどのようなものがあるか一生懸命に調べてリストアップする。このリストした数が少ないと、「もっとあるでしょう」なんて審査員に言われる。
シャラップ 会社のことは会社の人が一番知っているんだ。(LMJの言葉)
次にどの環境側面が著しいかを決めるロジックというか理屈を考えてリストアップしたたくさんの環境側面に軽重に付けて、重大なほうを著しい環境側面とする。これで4.3.1は完了だ。
実際に一度でもしたことのある方なら、ここまでたどり着くとホットしたことでしょう。
でもISOは厳しい、一山超えたらまた次の山が待っている。
次は環境法規制の把握です。まずは環境に関わる法規制をたくさん調べ上げる。環境に関わる法律は100本とも150本とも言われている。日本にある法律は1800本ですから、その1割が環境に関わっていることになる。
さて環境に関わる法規制をリストアップすると、その次にはそれらの法律が自分の会社や工場に関係するかどうかを一生懸命に調べる。俗に花占いとも呼ばれているが、「愛している、愛していない」の代わりに「関係する、関係しない」と花びらならぬ法律をひとつづつ延々と該否を判断していく。
本当はISO認証するときになって、そんなことをするようでは困るよね!
「法律は最低の道徳」とも言われている。先輩を尊敬しなくてもよく、狭い道ですれ違うときでも譲り合わなくても警察に捕まらない。
しかし法律を守らないとならないのは国民の義務。それに、環境法規制だけを守れば、安全衛生の法律は守らなくて良いとか、税法は守らなくても良いなんて理屈はない。環境も、セクハラも、税金も、輸出管理も、計量法も、日本の法律1800本全部守らなければならないんだよ。

ともかく、そんな花占いをして該当法規制を決めて、4.3.2は完了だと思っているのが一般的ではないだろうか?
 チョット、チョット、待ってください。
実はそれでは4.3.2の前半分のa)項だけです。b)項には「これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する。」とある。
このたった32文字を読み取れずに、「どのように適用するか」を怠っている会社が非常に多い。あなたの会社はダイジョウブですか?
平成18 年(2006)にISO 14001/4 翻訳・解釈WGというところが「ISO 14001 規格解釈に関する質疑応答」というものを出していて、その中の「質問3 4.3.2(法的及びその他の要求事項)について」というくだりでこの文章についての解説がある。残念ながら、日本のISO14001の審査では、この権威ある文書の意図は実現されていないようだ。

日本の多くの工場や会社では今述べたような方法で、著しい環境側面を決定し、適用される法規制を特定していることは私の経験と、見聞から間違いない。しかしこれは、法規制と環境側面が、時間と重さのように無関係な次元であれば良いが、電界と磁界のように一体不可分であるとすれば、誤ったアプローチであるといえるだろう。
DNA.gif
私は環境側面と環境法規制は時間と空間のようにお互いに二重螺旋を形作っており、法に関わらない環境側面はなく、環境側面に関わらない法規制はないと考えている。
規格文言に沿って正確に言えば、「適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項は、環境側面は相互に密接に関係しており、相互に関係していないものはない」
となると、環境側面を特定し、著しい環境側面を決定する段階において、適用可能な法規制の特定を同時に行わなければならないのである。
この側面に関係する法律はあるだろうか? おっと、あるある、アブナイアブナイ、じゃあこの環境側面は著しい環境側面になるね。
この法規制は適用可能(あるいは適用を受ける)だろうか? お、この環境側面と関わっている、じゃあ適用可能な法規制だね。
そのように相互作用を考慮し、双方向から環境側面の特定及び著しい環境側面の決定、並びに適用可能な法規制及びその他の要求事項の特定と同時に、どの環境側面とどのように関わるのかを同時進行で進めるべきではないだろうか?

というか、私の本心を言うとそれともちっと違う
どの会社でも法規制を守り、事故が起きないように、かつコストを削減するために一生懸命に努力していることは間違いない。ならば、過去より法規制を守り、事故が起きないように、損失が出ないように管理してきたはずだ。
違うとは言わせない 
とすると、環境側面の特定とか著しい環境側面の決定、あるいは法規制の特定などは本来無用のものである。だけでISO審査を受けるときは審査員のためにわかるように説明することが必要となる。だからわざわざ環境側面という舌をかみそうな言葉を使い、適用可能な法規制なんて適用したくなくても言わなくちゃならないんです。
いずれにしても、環境側面と環境法規制は独立したものではなく、相互に関連している。だから環境側面の特定と適用可能な法規制の特定作業は、現状の管理の実態から抽出することになるでしょう。しかしそのときでも一方を片付けてなんてシーケンスではなく、両方を見ながら仕事を進めていくというのがあるべき姿というか、それしかないと思います。
別々に調べたら・・・・それは別々のものと認識しているのだからアプローチが間違いであることは間違いない。
その結果が間違えると断定はできないが、間違える可能性も大きいだろうし、間違えてもそれに気がつかないだろう。
現実に真の環境側面を把握せず、適用を受ける法規制を見逃し、法規制及びその他の要求事項を環境側面にどのように適用するかを決定していない企業や工場は多数ある。
そのことが現在の問題の真の原因である。

さかのぼると、環境側面を理解していないからだろうか?
いやいや、ISO14001規格そのものを理解しないで、審査員をしたり、コンサルをしたり、認証を受けようとしたことにばちがあたったのだろう。
おなかがあたったのではないから命に別状がないのがせめてもの救いである。
でも第三者認証制度の命には関わっているのだよ。救いはあるのだろうか?

私はISOネタでほぼ毎日ブログを書いている。
この話は、昨日、通勤電車の中で二重らせんから頭に浮かんだもので私のブログに数行書きました。それを今日いろいろと考えめぐらし、もっといろいろと書き加えたいと思いここに掲載した。
ブログはほんの思い付きとか、日記みたいなもので、ウェブサイトには歴史に残ると言っては大げさだが、やはり人様に読んでいただいて何がしかの影響を及ぼしたいというものを書きたいと考えている。 



あらま様からお便りを頂きました(10.08.08)
佐為さま あらまです
この記事を読んで、暫く考え込んでしまいました。
まず、時間と空間との関係が二重螺旋であるか・・・
二重螺旋構造の意義として、まず第一に、DNAの構造が二重螺旋であることがわかり、それによって情報がコピーされていく様子がわかったようですね。
さらに、二重螺旋の効果として、たとえば、家庭用の電線が挙げられます。
平行コードをネジることによって 外部からの電磁波の影響を受けないようにすることがありますね。
オーディオ・マニアは、雑音防止のためにそんな対策を採ることがあります。
経済・産業界では、「賃金」と「価格」の二重のデフレスパイラルに悩まされています。
これは、渦を巻いて、排水口に吸い込まれていく様を表現したものですね。
そして、「現象」と「規制」とが、二重螺旋のような構造という理論には、覚醒させられた感じです。
新しい学問分野の登場ですね。

あらま様 何を感心しているんですか!
年寄りの頭に浮かんだ妄想に過ぎませんよ
ハハハハ・・・水戸黄門笑い


あらま様からお便りを頂きました(10.08.11)
モデルは自然から
佐為さま あらまです
以前から社会学などでは、人間社会の法則を、自然の法則をモデルにして説明しようとするわけですが、社会が複雑になるほど、自然をモデルにした説明の仕方も複雑になりますね。
しかも、その「法則」(情報) は コピーされ進化していくのですから、DNA転写をモデルに、「側面」と「規制」の関係を解き明かそうという試みは、「ハッハッハッ」と笑い飛ばしてしまうには惜しいと思います。
ところで、小生の甥っ子が大学でウイルスの研究をしているようですが、その彼が「ウイルスは情報の塊だ」と言っていました。
つまり、ウイルスの研究は、生物を研究しているというよりも、情報を研究していると言ったほうが正確だとも話していました。
そうした情報をコンピューターに掛けて解析すると、「新薬」が登場する可能性が出て来るんだそうです。
(これは、コンピューターウイルスに対しても全く同じことが言えるのだそうですね。)
ですから、佐為さまの「理論」がさらに発展すれば、環境分野にあらたな「処方箋」が生まれてくるのではないでしょうか。
残念ながら、小生にはその「力量」がありませんが、佐為さまの後に続く人が現れて、その研究をしたら、素晴らしい効果が望めると思いますよ。

あらま様 毎度ありがとうございます。
なるほど、ハハハと笑うのは逃げでござりましたか、反省いたします。
しかしお医者さんにも内科も、外科も、ウイルスの研究をする化学者のような方もいます。
ISOの世界では、私はアホな連中を片付ける力仕事が向いているようで、理論を考えるには不向きなようです。
やはり、ここはISOの切り込み隊長を勤めましょう。


上々様からお便りを頂きました(10.08.17)
二重らせんと環境側面について
二重らせんという言葉につられて読んでしまいました。
会社にいた頃はISOも担当しましたが、法規制をすべて調べ上げて環境側面と言うのは確かに正論ですが、まったく考えなかったですね。(難しすぎて)
是非詳しい実施方法を具体的に上げた指南書を書いて頂きたいものです。
ブログを書かれていたとは気付きませんでした。まじめな話はブログではなくこちらで書かれているとのことですね。
今後も心して拝見いたします。

上々様 毎度ありがとうございます。
まじめも不真面目もたいして変わらないというか、どっちにしても不真面目な私ですので、心して拝見されては恐縮してしまいます。
ところで、私は現在のISOのアプローチ方法すべてについて懐疑的です。
誤解なきよう、ISO規格に書いてあることは間違いだなどというつもりはありません。ただ、環境側面を調べましょう、重要なものと重要でないものに分けましょう。さあ、次は法規制を調べましょう。
そんなこと、バーチャルです、うそっぱちなのです。
会社というのは環境だけを切り出すことができないと同じく、著しい環境側面だとか、法規制だけ調査するとかいう発想がそもそもありえないはずです。
会社では大事なことをしっかりと管理するということ、それしかありません。
是非詳しい実施方法を具体的に上げた指南書を書いて頂きたいものです。
と上々様はおっしゃいますが、チョット待ってください。
今まで御社ではどのように法規制を把握して、行政に届けとかしていたのでしょうか?
それをそのまま、ISOの審査で説明すること・・・それがあるべき姿であると思っております。
つまりそれが、是非詳しい実施方法を具体的に上げた指南書を書いて頂きたいものです。の回答です。
自然体、それしかありません。


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