4.4.2 自覚

11.11.19
チキン南ばん様からお便りを頂きました(2011.12.19)
自覚の教育訓練?

おばQ様
以前、投稿させていただいたのですが、もしかしたら文字化けして読めなかったのかもと思い、再投稿させていただきます。
メアドがわかりませんので、ココに分割してお送りさせていただきます。

正直いいまして、このサイトで非難轟々の「目的は3年、目標は1年ぜよ」、「実施計画は目的と目標の両方必要ぜよ」をいまだにやってる会社です。ヘンだヘンだと思っていたことが、このサイトへ来て確信にかわりました。前任者をわるく言うつもりはありませんが、この10年間、全くといっていいほどEMSの中身がかわってませんでした。私がどこまでかえることができるかわかりませんが、ISOのためだけの仕事、文書、記録から早く脱したいという思いを強く抱いています。
ちょっと前置きが長くなりましたが、おばQ様のご意見をお聞かせいただきたいと思い、書き込ませていただきました。聞きたいことは ISO9001(JIS Q 9001)の 4.4.2 力量、教育訓練及び自覚 のことです。
力量に関しては、規格では、適切な教育訓練などをやって力量を確実にして、これに伴う記録を保持せよとあります。一方、自覚に関しては、自覚させるための手順の確立し、実施し、維持せよとあります。
力量のほうは当然といえば当然のことで、ISO9001(JIS Q 9001)でもほぼ同じことが書かれています。意味もわかり、そのように実施もしています。
自覚のほうは、意識していようが無意識だろうが、ちゃんとわかってて仕事していれば自覚している、というのが、ここ最近、私がたどり着いた考えです。もちろん何らかの形で自覚させる必要がありますが、これは、その仕事をさせるために教育訓練などをやることで身につくでしょうし、身についてもらわないと困ります。自覚させるためだけの教育はなくてもいいと思います。
ですので、規格では記録の要求もないことから、自覚させたことや自覚したことを記録で残す必要もない、と理解したのですが、いかがなものでしょうか。
じつは今の当社の規定では、自覚のための教育計画をつくり、環境方針に適合することの重要性とか、EMSに適合することの重要性とかのありがた〜い教えを熱く語り、その記録を残すことを毎年やらせています。(大きな声では言えないぐらいハズカシイことですが)
これはちょっとムダではないかと思い、規定から削除しようと考えています。ご意見よろしくお願いいたします。

チキン南ばん様
お便りありがとうございます。
以前、あなた様からメールをいただいた記憶がありませんので、以前おだしになったメールが不達だったかもしれません。
私は誓っていただいたメールには必ずご返事を差し上げております。

メールの中で、ISO9001の4.4.2とありますが、これはISO14001の4.4.2でしょうか?
それと、ISO9001ではawareを自覚ではなく認識と訳していると思います。

ということでISO14001の4.4.2の自覚ということで話を進めます。
都合が悪かったらまたメールください。
まず、自覚とは日本語の自覚ではありません。元々awarenessのことですが英語の普通の意味とも違うようです。
普通、日本語で自覚といえば「自分が悪かった」とか「未熟を認識する」というような意味でしょうけど、ISO14001では規格本文にありますように、方針や会社のルールを守ることの重要性を理解することなどを言っています。教育の前段階といいますか、そのための心構えのようなものかもしれません。
意識していようが無意識だろうが、ちゃんとわかってて仕事していれば自覚している
というのがイコールなのか、否か、ちょっとなんとも言えませんが、単に仕事をやれと言われたからするということではなく、仕事の目的や意味を知るということでしょう。
規格では自覚させるための手順をつくってそのように働かせなさいとあります。この部分の翻訳は若干あいまいになっているように思います。
記録については、ISO規格では要求していません。だから規格上は不要です。必要か必要ないかはその会社が決めればよいでしょう。
自覚のための教育計画というのはあまりききません。自覚というのは教育というよりも、しつけに近いのかと思います。

なお、私は明日は飲み会で、その次は出張、その次もと今週は予定がありまして、ご返事できるのは金曜日以降と思います。ご了承願います。


チキン南ばん様からお便りを頂きました(2011.12.20)
おばQ様
チキン南ばんです。さっそくのお返事ありがとうございます。

以前おだしになったメールが不達だったかもしれません。
もしかしたら「投稿」ではなく、誤って「リセット」を押していたのかもしれません。おばQ様のクイックレスポンスは他の方の投稿をみてよく存じ上げております。

メールの中で、ISO9001の4.4.2とありますが、これはISO14001の4.4.2でしょうか?
すみません、そのとおりです。ISO14001が正解です。ISO9001は誤入力でした。
ちょうど今、品質監査の時期に入ってまして、ついISO9001と書いてしまったようで。(^^;

教育の前段階といいますか、そのための心構えのようなものかもしれません。
そうですね、そのように考えると、かなりスッキリします。過去の教育記録を見てみると、どこの職場も、品質方針から記録の管理まで、同じことを同じ人に毎年説明していました。(説明したように記録しているだけのかもしれません。もちろんちゃんとやっている職場もあることはわかっていますが)
自覚させるためだけに時間を割くことを極力なくようにもう少し工夫してみます。

記録については、ISO規格では要求していません。だから規格上は不要です。必要か必要ないかはその会社が決めればよいでしょう。
この件はもう一度考えてみます。規格上は記録は不要ですが、何らかの形で残したほうが会社にとって良いのなら、残し方を見直してみます。

またわからないことがありましたら投稿させていただきます。ありがとうございました。

チキン南ばん様 毎度ありがとうございます。
私は正直言いまして、ISO規格の文言を正しく解釈しようという発想といいますか、スタンスとは違います。
会社のどの仕事、なにに該当するのだろうという発想です。だって、私は会社が儲けるために仕事していますが、ISO規格を実現するためには働いていません。
ということで、規格解釈にこだわる気はなく、アバウトでいいと思っています。
気が向いたらまたメールくださいな

4.4.2 自覚

12.01.15
ISO14001に自覚という要求事項がある。
自覚とは「私が悪うございました」ということではない。
自分の責任とか役割を理解することのように受け取っている人は多い。
あるいは著しい環境側面に関係ない人が最低限理解すべきことと受け取る人も多い。
しかし原語はawarenessで、意識とか認識とかいろいろ訳があるようだが、この場合自覚という日本語を充てるのがよかったのだろうか?
規格では自覚すべきこととして、いろいろ書いているけど、そこに書いてあることは、日本語の自覚とはちょっとというか大いに違うのではないかと言う気がする。
私の理解だが、なにごとかを人に実施させるとき「こうしろ」といっても、その目的や動作の意味を理解しなければ動きにくいだろう。だからこういう理由だからこういうふうにするのだよと教えなければならない。まさに山本五十六である。
仕事をさせるとき、その目的や、動作の意味、不具合が起きたときの対処などを教えれば、教えられた人は自信をもって仕事ができるだろう。
そういうことをawarenessといったのではないだろうか?
だから教育訓練を必要としない人に対する基本教育とは違うだろう。著しい環境側面に従事する力量を要する人だって、その仕事の意味を理解しないと正しく仕事はできない。だから単に技能を持たせるだけでなく自覚が必要なのだ。
そう考えると、日本なら昔からOJTで教えていたことのように思う。
いまだに自覚とはなにかと悩んでいる人もいる。
ただ規格では「環境マネジメントの要求事項」とか「要求事項との適合」など難しい表現をしているので分かりにくくなっているのは事実だ。原文もそうなのだが・・
もっと単純に、ルールを教えるだけでなくルールの意味を教えること、ルールを守らないとどんな問題があるのか、ルール通り仕事をしてほしいという期待を伝え同じ気持ちを持たせることとでも翻訳すればよかったのではないかと思う。


かたこり様からお便りを頂きました(2012.10.23)
ISO14001 他企業の従業員への自覚?
ISO14001審査において、4.4.2項 組織のために働く人には、アウトソース先(もちろん自社敷地外、100km離れてる会社もあります)で働くアウトソース先の従業員を含めることを規格が要求していることを説明され、自覚させる手順を要請されました。当社は製造業で、業務内容から、メッキ処理などを外注委託しております。当社では、外注監査において法順守状況や汚染リスク・品質面を含めた処理工程の管理状況を定期的に確認しています。
理解できないのが、アウトソース先の「従業員」への自覚を促す手順です。審査員は、文書を作成して送るようなレベル、また、記録は必要ない、と言ってましたが、これでは会社への要請であって、他力本願であり、外注先がくだらないと思って従業員に展開しなければそれまでですし、こんな意味のないことを規格は要求しているのでしょうか?それとも、アウトソース先の従業員を含める説明がそもそも間違っているのでしょうか?

火災と環境
火災が発生すると、燃焼ガスが発生する。大気を汚染する。廃棄物が発生する。こういう連想は間違っているわけではないと思います。ただ、テレビで火事の報道を見たときに、また、自宅近所で火事があったときを想定しても、知り合いや幼い子が亡くなっていないか?という気持ちはあっても、大気汚染じゃないか!と、非難することはないと思います。
火災が発生すれば、会社のリスクとしては大きい。だから、消防・防火というリスクマネジメントを実施する。これで十分。
しかし、ISO14001の審査の場では、審査員が上記連想を掲げ、「環境マネジメントに火災を含めてないのは不適合」と言われ、何を言っても話にならなかったです。個人的には「こじつけ」に思えてしまいます。常識的に、火災って環境汚染なのですか?当方の感覚がおかしいのでしょうか?地域住民・近隣企業への迷惑という視点であればわかりますが、無理に環境マネジメントに関連させる必要性はあるのでしょうか?


かたこり様 お便りありがとうございます
うそ800の主宰者、おばQでございます。
私も最近かたこりがひどくて、これは40肩でもなく50肩でもなく、60肩に違いない…全然お呼びでないですか
1960年代のバラエティ番組、シャボン玉ホリデーを思い出してほしいのですが

お問い合わせの件 その1
組織のために働く人とはその企業のために働いている人全部の意味ではありません。組織の一員として外部からみなされている人と言えばよろしいかと思います。
当事者からいえば、組織の看板を背負っている人になります。
具体例をあげますと、工場の警備をガードマン会社が請け負っていても、そのガードマンはその工場の人と周りはみなすでしょうから組織のために働く人になります。
出入りしている廃棄物業者は、外部から見てその工場の人ではありませんから、組織のために働く人ではありません。単なる委託業者です。
環境ではありませんが設計やソフトウェアなどを外注している場合、その担当者がその会社の人間として調達先や客先と対応することもありますよね。そういうとき外部の人はそういった派遣であろうと請負業者であろうと、会社の人間とみなしますから、組織のために働く人になります。
まあ、工事関係者とか清掃請負なんてことになると組織のために働く人か、調達先なのかと微妙ですが。
そんなことは私が言うのではなく、ISO規格を読めばそうであるということがわかります。わからないと困ります。
「組織のために働く」という語句は日本語のJIS規格ですが、原文は「on behalf of」の個所で、英和辞書を引くと・・『のために』だけでなく『に代わって』『代表して』などの訳があります。つまり一般的な意味であなたのために働くということではなく、あなたに代わってとかあなたの名前で何かの行為をすることを意味します。
つまり「その会社の人間として働いている」という意味です。正社員だけでなく、アルバイトであろうと、派遣社員であろうと、その会社の人間として会社の看板を背負って働いている人で、問題が起きたら会社の責任になるということです。 ということは部品を納めている人も、出荷を頼まれた運送会社の人も、廃棄物処理を頼まれた廃棄物業者も、環境方針カードの印刷を請け負った印刷屋も、御社の看板を背負っているわけじゃありませんので、御社のために働いている人ではありません。

ただ調達先の扱いはISO規格で無視しているわけではありません。ISO規格の4.4.6の最終箇所c項に定めていることをする必要があります。
「組織が用いる物品及びサービスの特定された著しい環境側面に関する手順を確立し、実施し、維持すること、並びに請負者を含めて、供給者に適用可能な手順及び要求事項を伝達する」というところです。

お便りには
「メッキ処理などを外注委託しております。当社では、外注監査において法順守状況や汚染リスク・品質面を含めた処理工程の管理状況を定期的に確認しています。」
とありますが、それをすることは大変結構だと思いますが、規格要求はちょっとそれとは違います。
規格では「どういうことをしろとか、注意しろということを定めて伝えろ」ということです。
ですから「管理状況を定期的に確認」する前に、「どういう管理をしなければならないか」を定めて伝えなければなりません。規格では確認することまでは要求していません。現実問題として相手先企業に入り込んで点検あるいは監査を行うことができないことが多いでしょう。
具体的な例としては、メッキ前の洗浄には有機塩素系溶剤を使うなとか、クロムの6価を防ぐためにペーハーを管理しろとか、混入しないよう薬品や部品の識別やトレーサビリティとか、まあいろいろあるでしょう。

ということで、その審査員様には「一昨日(おととい)来い」というべきか、「味噌汁で顔を洗って出直せ」というべきか、あるいは認証機関に「もう少しましな審査員を派遣してよ」とか、選択肢はいろいろあると思いますが、私がどうすべきというのははばかられます。かたこり様にご検討していただきたいと思います。

お問い合わせの その2
異常時の環境影響は考慮する必要があるといえます。
環境側面は平常時と異常時(緊急時と同じではないが近い)などいろいろと考えないといけません。
火災によって二酸化炭素が発生し地球温暖化を促進するというようなことは普通は無視するでしょう。でも、燃焼によって有毒ガスが発生したり、高温が発生したりあるでしょうから、そういった環境影響を認識して、その対応を考えておくことは必要です。また消火についても禁水とか電気火災とか注意すべきことがあるでしょうから、そういうことも把握しておくことは必要です。
これは審査員の言葉がどういうニュアンスだったのかわからないのでうかつなことは言えませんが、常識で考えて、単に二酸化炭素が発生するだけのオフィスの火災とかであればわざわざ考えることはないと思います。

そのようなことでいかがでしょうか。



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