「栃林秀作品集」

13.01.04
著者出版社ISBN初版定価巻数
栃林 秀
とちばやし まさる
双葉社4-575-45341-62012/12/182190円全一巻

年の暮れ、暇つぶしに電車で5つばかり行った街の本屋で立ち読みしていた。なぜ5つも先の駅まで行ったのかといえば、そこまで行かないとまともな本屋がないからだ。いかに私が田舎に住んでいるかということである。
私がみるのはまずはISO関係であるが、最近新しい本は見当たらない。まあISO認証自体が低調だから、それに関する本の出版も少ないのだろう。それどころかISO関係書籍の棚は本屋に来るたびに狭くなっているように感じる。感じるだけでなく、実際にそのようだ・・
ISOの棚を一瞥してから、何か面白いものはないかとゲームとかパズルとかフィギュアとかの本ながめていた。なにせ、私はそのようなジャンルが大好きなのだ。ゲームといっても囲碁将棋からルービックキューブに関するものまである。最近はルービックキューブといっても3×3ばかりではなく、4×4、5×5、6×6、更にはVキューブ セブンという7×7の面を合わせる超高度なものもあるらしい。私には3×3もできないのだから、そんな高度なものはとても無理だ。
そうしていて模型の棚で目に入ったのがこの本である。なぜ模型の棚にこれがあったのかは本屋の人でないとわからない。更に付け加えれば、これを本というべきかDVDと言うべきかは若干微妙である。
ちょっと高かったけどおもしろそうだと思って買い求め、年末年始にごろごろしながら観た。
お前はいつもヒマだろうってほんとうのことを言ってはいけない。

零戦 2001年公開のアメリカ映画で「パールハーバー」というのがあった。1941年の真珠湾攻撃を背景にしたラブロマンスである。沢山の日本の戦闘機、攻撃機が飛び交うが、そのほとんどはCGだ。
この本の著者である栃林さんがその映画を見て、飛行機が力学を無視した動きをしていると不満を感じて、自分ならもっと本物の飛行機らしく動かしてみせると思い立って作ったのが始まりという。その後、作成したいくつかの飛行機のCGをまとめたものがこの本である。いやまとめたDVDが付録になっているのがこの本である。

飛行機を描いたアニメのテレビや映画は多い。
例えば宮崎駿の映画は空を飛ぶものが多い。「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」など、しかし彼の映画は単なるアニメでリアルじゃない。背景の雲が流れて空を飛んでるというイメージがあるだけだ。まあ宮崎アニメの目的は、飛行機マニアのおめがねにかなうことではなく、なにも知らない子供に空を飛ぶという気分やイメージを伝えれるだけで良いのだろう。
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」(1987)てのもあった。その中で大空中戦の画面があるけど・・・これもまた気分だけというレベルで終了
「エリア88」のテレビアニメも映画版もイマイチだ。いやイマイチどころか全然ダメというのが本当だ。まず飛行機が本物らしくない。マンガ的なのだ。それにその動きもマンガ的。「ふたり鷹」のアニメもひどい出来だった・・・絵がうまい下手という以前に、メカを愛していないというかメカを理解していない人が絵を描いているのではないかと思う。
新谷かおるのコミックはすばらしいが、それがアニメになるとまったくの駄作になってしまうのが不思議だ。
アニメとCGは違うという意見もあるだろう。しかし上記したアニメには、細かな動きはともかくとして、絶対おかしいというところが多すぎる。
ファントム
この栃林さんの映像は飛行機が飛行機らしく飛ぶ、そして飛行機の振動を感じ、加速度で体が押し付けられるように感じる。その感覚はリアルそのものですごい。文句を言えば、一部を除いて人間が人間らしくない。これは要改善だ。
栃林さんはもちろんプロで、2007年の映画「俺は、君のためにこそ死にいく」、2011年「聯合艦隊司令長官 山本五十六」、2013年の「永遠のゼロ」などのCG制作に参画しているそうだ。

日本の第二次大戦の軍用機の映画も写真も非常に少ない。また現在飛行できる実物もほとんどない。私は子供の頃、零戦や隼などのプラモデルをたくさん作ったが、当時の飛行機の実物を見たのは、靖国神社の零戦と船の科学館にあった二式大艇だけだ。(今は鹿屋基地にあるという)もちろん当時の飛行機が飛んでいるのを見たことはない。
アメリカにある飛行可能な零戦が78年、95年そして2012年に日本に来て飛行したという。残念ながら、私はいずれも見たことがない。
だからこのようなCGの映像は貴重だと思う。日本にもこんな飛行機があったことを誇りに思う。

このDVDを見て、自分にも飛行機が飛ぶ動画を作れたらいいなあと無鉄砲なことを考えた。と言っても、一から作るのは無理だから、Google SketchUpに公開されているゼロ戦を借用して、動画を作ってみた。
この機体は、翼端に丸みがなく角ばっているので32型のようだ。
爆音が聞こえないって! あんさん、そりゃ無理っちゅうもんでっせ

私の作品である
(´Д`。) トホホ
GIFアニメでない動画ははじめてでしたが、これはチョチョイのチョイで10分で作りました。もちろん私の腕ではなく、スケッチアップが素晴らしいからです。
作ってから変な動きのところは動画ファイルの切り取りソフトで取り除き、その後MP4への変換ソフトでファイルサイズを小さくしました。みんなフリーソフトです。


スマホ(スマートフォン)の方へ
MP4はi-phoneでは問題なく再生できるのですが、Androidの標準ブラウザでは再生できないようです。MP4ファイルの中身の記述を何か所か修正すればよいらしいのですが、私の力量では無理です。
なお、アンドロイドでもグーグルクロムでは動画が再生できました。

稚拙なできを笑ってください。
まあ私の作品(?)はどうしようもないが、この栃林さんのDVDを見ていると、自分でも動画を作ってみようなんて、そんなことを考えてしまうほどの魅力(魔力?)がある。
あなたも自分で作ってみようかと思うかもしれない。いや、そう思うに違いない。

なおこのDVDを買うまでもなく、栃林氏の作品の一部は下記ウェブサイトに公開されている。
栃林秀の公式ホームページ
ぜひ飛行機が飛ぶ映像を見てほしい。素晴らしいの一言だ。
バトルオブブリテン




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