![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
菅野 | 佐田 | 星山専務 | 伊東 | 武田 |
![]() |
「佐田さん、2か月と言われた件、どうしようかねえ〜?」
| |||
![]() |
「単刀直入にまだ記録が2か月ないと言ってみたらどうですか? なんでしたら、私が担当者として向こうに問い合わせてみましょうか?」
| |||
星山はしばし考え込んでいたが、しょうがないという顔をして言う。
| ||||
![]() |
「じゃあ、佐田さん頼むよ、うまく話してくれないか?」
| |||
佐田はすぐさま電話を取ってダイアルする。
| ||||
![]() |
「あ、私、大蛇機工の佐田と申します。いつもお世話になっております。品質保証部の五十嵐様をお願いしたいのですが」
| |||
![]() |
「五十嵐でございます」
| |||
![]() |
「お世話になっております。さっそくですが弊社に対するクシナダさんの品質監査のことでご相談なのですが・・」
| |||
![]() |
「それじゃ担当の 横山に代わります」
| |||
![]() |
「電話変わりました。大蛇機工の佐田様ですか、どのようなことでしょうか?」
| |||
![]() |
「実は弊社の問題なのですが、御社の品質監査を受けるときの条件として2か月以上の運用が必要ということを私の方で見落としておりまして、実は弊社で御社との品質保証協定書にあるシステムを運用してまだ2か月になっていないのです。それで2か月満たない場合はどのようにしたらよいのかというご相談です」
| |||
![]() |
「うーん、佐田さん、掛け値なしにどのくらい運用期間がありますか? なるべくだったら監査をしてしまいたいのですが」
| |||
![]() |
「正直申しあげて、監査時点で記録を残している期間が7週間というところです」
| |||
![]() |
「ああ、じゃあ全然問題ないです。それでいいですよ。予定通り品質監査を実施するということでお願いします」
| |||
![]() |
「ありがとうございます。それとですね、ええと、当日監査後に一席設けようかと考えているのですが、いかがでしょうか?」
| |||
![]() |
「それはありがたいですが、私どもも遠いですから早く帰りたいですね。お気持ちだけということで今回はご遠慮します」
| |||
佐田はお礼を言って電話を切った。 注:当時は監査に来ると接待するのは当たり前だった。今だって二者監査ならそうではないのだろうか? 1990年代前半はISO審査でも「今日はどこで飲むのでしょうか」なんて審査員が言うのは当たり前だった。審査が三日あれば三晩続けて接待した。マジメな話、接待する方もやりきれない。
脇で聞き耳を立てていた星山専務と伊東委員長は うそだなんておっしゃる方は、ISO認証が始まった頃はISOに関わっていなかったのだろう。 ![]() | ||||
![]() |
「お聞きの通り、予定通り実施です」
| |||
![]() |
「いやあ、良かったよかった」
| |||
![]() |
「それじゃ、いよいよもって確実に点検をしてケチの付かないようにしなくてはならないな」
| |||
![]() |
「それじゃ、品質監査対応の実施事項を確認しましょう」
| |||
| ||||
![]() |
「まず、専務さんには関係者のスケジュール確保をお願いします」
| |||
![]() |
「社長はどうしよう?」
| |||
![]() |
「先方のスケジュールを見ますと、お見えになるのは五十嵐課長と横山さんとありますので、格式からいって、こちらは星山専務がいらしたら十分と思います。 専務はこちらの代表というだけでなく、品質保証責任者としての役目ですから出席は必須です」 | |||
![]() |
「とはいえ社長が会社にいて顔を出さないというのもまずいだろう」
| |||
![]() |
「それじゃ先方が到着したとき名刺交換くらいでどうでしょうか」
| |||
![]() |
「そうか、あとは社長はいいのだな・・」
| |||
![]() |
「オープニングは会議室でよろしいですね。出席者は専務と我々だけでも良いと思います。ただ内部への意識付という意味でしたら、監査を受ける部門の長にも出てもらったらどうでしょうか」
| |||
![]() |
「そうだなあ、川田取締役と吉田部長、それに関係課長4人で6人、あと我々で11人か、まあいいだろう」
| |||
![]() |
「それから監査の場所と対応する者ですね。場所は各職場で用意してもらいます。場所は任せるとしても、どこでするかはこちらに報告してもらいます。そこに案内人が連れて行くことになります。出席者は各課の課長に決めてもらいましょう。 昼食はどうしますかね?」 | |||
![]() |
「ここらじゃまともな仕出しもないから、おれが車で近くのレストランに連れて行くのが良いだろう」
| |||
![]() |
「当日朝に、先方にその旨伝えましょう。ただあまり時間がかかるとまずいので、近場で予約しておくことが必要ですね」
| |||
![]() |
「私が適当なところを手配しておきましょう」
| |||
![]() |
「あまり露骨でなく専務さんがお店でなるべく時間を稼いでくれたらうれしいです。監査の時間が短くなった方が良いでしょう」
| |||
![]() |
「まかせておけ。飯を食べながら午前中の感想を聞いて、それを午後の職場に伝えるとしよう」
| |||
![]() |
「専務がみずから運転していくのもかっこ悪いでしょうし、1対2というのも変ですから、伊東さんが運転して4人でお食事されたらどうでしょうか?」
| |||
![]() |
「うーん、俺は午後の部の対策もあるから、吉田部長か川田取締役に行っていただいたらどうかなあ〜。安斉課長や鈴田課長はそれどころじゃないだろうし」
| |||
![]() |
「なるほど、もうひとりを誰にするかは来週の幹部会で決めよう」
| |||
![]() |
「現場でも質問するのだろうから、各職場で対応する作業者を決めておいたらどうだろう?」
| |||
![]() |
「そんなことできるのか?」
| |||
![]() |
「その人以外、手が離せないとか、現場から姿を消してしまえばいいじゃないですか」
| |||
![]() |
「いや、そんなことしないで、あるがままでいきましょう。それに従業員の皆さんもこのイベントに参加する権利がありますし」
| |||
![]() |
「参加する権利は私にもありますよね。佐田さん、品質保証のインタビューは私が対応したいです」
| |||
星山は驚いたようだ。
| ||||
![]() |
「いいですよ、頑張ってください。そうしていただけるなら、私はもう一人の方の案内人をしましょう」
| |||
![]() |
「おれはどうするんだあ?」
| |||
![]() |
「菅野さんと二人で、品質保証部門の監査を頑張ってください。 それと品証の監査が終わったら菅野さんがその方のご案内をお願いします。伊藤さんは事務所にいて、各職場からの問合せとかトラブル対応をお願いします」 | |||
![]() |
「わかった。俺が案内したんじゃ、全部おれが答えてしまいそうだ」
| |||
![]() |
「私はなにを・・」
| |||
![]() |
「武田君は、当日プレス工場にいて、生産でトラブルが起きたら素早く対応してほしい。工場巡回しているとき、機械を止めたりしてぶざまな風景を見せたくない。もし武田君が望まなければ、オープニングに出なくてもいいよ」
| |||
![]() |
「そいじゃ私はオープニングには出ないで、朝からプレス工場で待機しましょう」
| |||
佐田は先方から提示されたスケジュールに、打ち合わせた結果を盛込んでスケジュール表を作った。
|
時間 | 監査員A | 監査員B | ||||
9:00〜 9:15 | オープニング | 品質保証 | 全員 | ← | ← | ← |
9:15〜 10:00 | 品質保証体制 | 品質保証 | 星山専務 菅野、伊東 | 文書管理 記録管理 | 総務課 | 佐田 |
10:00〜 11:00 | 内部品質監査 | 品質保証 | 星山専務 菅野、伊東 | 教育訓練 | 総務課 | 佐田 |
11:00〜 12:00 | 客先での不適合対応 | 営業課 | 菅野 | 取扱・保管・出荷・梱包 | 管理課 | 佐田 |
12:00〜 13:00 | 昼食 | 星山専務 | ← | ← | ← | ← |
13:00〜 13:30 | 設備管理 | 生産技術課 | 菅野 | 顧客支給品の管理 | 製造課 | 佐田 |
13:30〜 14:00 | 計測器管理 | 生産技術課 | 菅野 | 工程管理 | 製造課 | 佐田 |
14:00〜 14:30 | 識別・トレーサビリティ | 管理課 | 菅野 | 受入検査 | 製造課 | 佐田 |
14:30〜 15:00 | 是正処置・予防処置 | 品質保証 | 菅野 | 工程内検査 | 製造課 | 佐田 |
15:00〜 15:30 | 不適合品の管理 | 管理課 | 菅野 | 最終検査 | 製造課 | 佐田 |
15:30〜 16:00 | 監査側打ち合せ | 不要 | 全員待機 | ← | ← | ← |
16:00〜 16:20 | 監査側との打合せ | 品質保証 | 全員 | ← | ← | ← |
16:20〜 16:30 | クロージング | 品質保証 | 全員 | ← | ← | ← |
それから関係部門への説明会をして、準備状況を確認して、とうとう明日が監査日になったのである。 佐田が来るだいぶ前に、 各員、それぞれ分担して各職場の最終点検を行うことにした。 ●
伊東と菅野は製造課の記録を確認することになった。● ● 製造課で作成している記録の一覧表をもって、現場でそれを適正に作成しているかを見る。今更という気もするが、念には念をである。 現場で機械設備の日常点検表を見ていると、壁際にあるボール盤と小さなハンドプレスに日常点検表がついていない。ハンドプレスとは動力ではなく手作業でハトメやピンなどのカシメを行うものだ。 製造係長を見かけたので菅野は声をかける。 | |||||||||||
![]() |
「係長さん、この二つの機械に日常点検表がないわよ」
| ||||||||||
![]() |
「うーん、これはめったに使わないから付けてないんだなあ」
| ||||||||||
![]() |
「そういった場合は日常点検表をつけないのでしょうか? それともつけておいて使用したときだけチェックするのでしょうか?」
| ||||||||||
![]() |
「規定ではどうなっているか分らん。とりあえずどうしようか?」
| ||||||||||
![]() |
「30センチ角くらいの板、ボール紙でもいいけど、『遊休機械』って書いて、ひもでぶら下げておいてくれよ」
| ||||||||||
![]() |
「わかりました。すぐ取り付けます」
| ||||||||||
機械の脇の作業台の上に載っていたマイクロメータを菅野が手にする。
| |||||||||||
![]() |
「まあ、このノギス校正期限がもう2年も前になっているわ」
| ||||||||||
![]() |
「おいおい、だいぶ前に期限切れは一掃したんじゃなかったのか?」
| ||||||||||
製造係長が近くの電話から計測器管理室に電話して状況を問い合わせた。
| |||||||||||
![]() |
「このマイクロは2年前に行方不明で、既に廃棄処分になっているそうです」
| ||||||||||
![]() |
「とりあえず隠したら問題あるか?」
| ||||||||||
![]() |
「明日だけなら大丈夫です」
| ||||||||||
![]() |
「そいじゃ、明日は隠す。明後日には計測器管理室に校正を頼むことにしてくれ」
| ||||||||||
![]() |
「いや、今すぐに計測器管理室に持っていかせます」
| ||||||||||
隣の機械に行くとピカピカのデジタルノギスがある。
| |||||||||||
![]() |
「これはまた立派なものだな」
| ||||||||||
と言いつつそれを手にすると、会社の資産の表示ラベルがない。
| |||||||||||
![]() |
「これはラベルがないぞ」
| ||||||||||
![]() |
「実は私が前の会社を辞めるときもらってきたんですよ。私物です、私物」
| ||||||||||
![]() |
「会社に私物を持ち込んじゃまずいなあ。これを使わないと支障があるのか?」
| ||||||||||
![]() |
「会社のノギスはバーニャ式でしょう。これの方が使いやすいですよ」
| ||||||||||
![]() |
「困ったなあ」
| ||||||||||
![]() |
「困ることはない。悪いがこれは今日持ち帰ってくれ。そしてお前の仕事でどうしてもデジタルノギスでないとならないというなら係長から計測器管理室に購入依頼をしてほしい」
| ||||||||||
菅野は、伊東が物事を素早く判断して指示するのを感心していた。
●
佐田と武田は現場事務所の点検をした。● 管理課の事務所である。 | |||||||||||
![]() |
「いやあ、とうとう明日になってしまったねえ〜」
| ||||||||||
![]() |
「そんなに緊張することはないですよ。鈴田君は | ||||||||||
![]() |
「いや、当時はおれは平だったから直接監査を受けたことはないんだ。みんな課長が対応していたからね」
| ||||||||||
![]() |
「俺が来る前に | ||||||||||
![]() |
「あった、あった。あのときは参ったねえ。サビの問題で来たのだけど、サビが出たのがこの倉庫だったので大変だったよ。結局保管基準がないということになって・・」
| ||||||||||
二人が雑談していると武田が二人を呼んだ。
| |||||||||||
![]() |
「ええと、管理課の会社規定集のファイルに欠落があります」
| ||||||||||
![]() |
「え、どういうこと?」
| ||||||||||
![]() |
「目次には『検査規定』と『建屋管理規定』の間に『設備管理規定』があるのですが、このファイルには『設備管理規定』がとじてありません」
| ||||||||||
![]() |
「誰か抜いてしまったのかなあ。そもそも配布されたとき、とじてなかったということもあるかもしれないよ」
| ||||||||||
![]() |
「発行したとき俺が全部点検したから、それはないと思う。ちょっと待てよ、『建屋管理規定』に鉛筆でいろいろと書き込みがしてあるなあ」
| ||||||||||
![]() |
「ああ、それはいろいろな例を書いておいた方が分りやすいと思ったんだ。いいだろう」
| ||||||||||
![]() |
「おいおい、それはまずいよ。規定は正式な文書だから書き込みしたり変更をしたりしちゃいけないんだ」
| ||||||||||
![]() |
「あのう、この掲示板に『設備管理規定』が貼りだしてありますよ。これがファイルになかったものでしょうか?」
| ||||||||||
![]() |
「ああ、思い出した。10日ほど前にフォークリフトや建屋の点検担当が製造課から新しくできた生産技術課に代わったので、それを知らせようと差し替える前に朝礼で説明して、掲示板に貼ったままにしていたんだ」
| ||||||||||
![]() |
「うーん、鈴田君、掲示板に貼りだすのもいいけど、それなら用が済んだら即ファイルするとか決めて実行してほしい。とりあえずはファイルするか、管理課のルールとして規定改定があったら一定期間掲示板に掲示してその後ファイルするとか決めておいてほしい」
| ||||||||||
![]() |
「今からじゃ決まりを作るのも間に合わないから、ファイルしておくよ」
| ||||||||||
鈴田は画鋲をとって規定をファイルにとじた。
| |||||||||||
![]() |
「おや、その後ろの『建屋管理規定』は改定記号がBのものとCのものがファイルされていますね」
| ||||||||||
![]() |
「ええ、まいったなあ。とりあえず問題があるのは分った。ウチで文書というものは会社の規定と課内のルールくらいだから、今から点検して不具合あれば直しておくよ」
| ||||||||||
●
星山専務は川田取締役と吉田部長を従えて、工場内を巡回していた。● 星山が「君たちもしっかり見ているとは思うけど、最終確認をしようや」と声をかけたのである。 川田と吉田はあきらかにやる気がない顔をして星山の後をついていく。 星山が急に立ち止まる。よそ見していた川田はあわや星山にぶつかるところだった。 | |||||||||||
![]() |
「川田取締役、ここを見て何か感じませんか?」
| ||||||||||
そこは出荷検査で、コロコンの上にプラダンがズラット並んでいる。
| |||||||||||
![]() |
「は?、以前に比べると物が少なくなって良くなったと思いますが」
| ||||||||||
![]() |
「そういうことじゃないんだけどなあ〜」
| ||||||||||
吉田部長はアットと気がついて検査係長を呼びに行った。 吉田部長が検査係長を連れて戻ってくる。 | |||||||||||
![]() |
「おい、ここを見て、どこまで検査をして、どこから検査をしていないかわかるのか?」
| ||||||||||
![]() | ![]() | ||||||||||
![]() |
「なんでそんな無駄なことをしているんだ? 後行程が怠けているのか?」
| ||||||||||
![]() |
「検査完了後のコロコンの上にパレット1個分のプラダンを置けないんですよ。倉庫係はパレット1個にならないとパレットに積みませんからね。ですから常にこうなってしまうのです」
| ||||||||||
![]() |
「わかった。川田取締役、どうもコンベアの長さが短くバッファがとれていないようだ。なんとかしてくれ」
| ||||||||||
![]() |
「なんとかしてくれとおっしゃいますと?」
| ||||||||||
![]() |
「検査の状態をはっきりしろというのがクシナダの要求だ。未検と検査済みをはっきり分けられないというのが倉庫側の問題なら、対策するのは君の仕事じゃないのか?」
| ||||||||||
川田はええっと驚いたものの、すぐに鈴田の事務所に駆けつけて、鈴田を呼んできた。
| |||||||||||
![]() |
「管理課長、すぐに検査完了の後ろ側のコンベアを伸ばしてほしい。パレット1個分をバッファできるようにしたい」
| ||||||||||
![]() |
「元々コンベアの長さはそのようにしていたのですよ。ところが素戔嗚からもらってきたコンベアでしょう。後ろの1本がサビがひどくてみっともないって思いまして取ってしまったのです」
| ||||||||||
![]() |
「あと3メートルあればパレット1個分になるのか?」
| ||||||||||
![]() |
「そうです。元々そのように設計しましたから」
| ||||||||||
![]() |
「じゃあ、そいつをもってきて、すぐに取り付けてくれ」
| ||||||||||
![]() |
「サビはどうしますかね? だいぶ汚いですが」
| ||||||||||
![]() |
「ワイヤブラシとサンドペーパーでサビを落とす。そしてペンキを塗れ。明日の朝までだ」
| ||||||||||
![]() |
「わかりました」
| ||||||||||
鈴田はおもしろくない顔をしていた。 吉田部長は自分は関係ないという顔でそのやり取りを見ていた。だがすぐに自分の番が回ってきた。 | |||||||||||
![]() |
「吉田部長、吉田部長」
| ||||||||||
![]() |
「ハイハイ、専務、なんでしょうか?」
| ||||||||||
![]() |
「これはなんだ?」
| ||||||||||
星山専務はコンベアの下にあるプラダンを指さす。 | |||||||||||
![]() |
「はあ、なんでしょうねえ〜」
| ||||||||||
吉田部長はしゃがんで中を覗き込む。中には紙テープが貼られた部品がいくつも入っている。 吉田部長はまだそばにいた検査係長に声をかけた。 | |||||||||||
![]() |
「検査係長、こりゃなんだね?」
| ||||||||||
![]() |
「今日出た不良です」
| ||||||||||
![]() |
「星山専務、今日出た不良だそうです」
| ||||||||||
![]() |
「おまえなあ〜、そんなこと俺だって見りゃわかるよ。 不適合品は良品と混ざらないように、ちゃんと区別して表示しておかなくちゃならんだろう」 | ||||||||||
![]() |
「と、おっしゃいますと?」
| ||||||||||
![]() |
「例えば床に枠の形に線を引いて、その枠の中に不良品を置くとか、看板をかけておくとか、あるいはプラダンに紙を貼っておくとか、頭を使ってくれよ」
| ||||||||||
![]() |
「あ、はいはい、すぐに、
検査係長、今専務がおっしゃった方法のどれかすぐにできないか。明日の朝までにだ」
| ||||||||||
●
夕方、工場を巡回してきた5人が集まった。
● ●
| |||||||||||
![]() |
「疲れたなあ〜」
| ||||||||||
![]() |
「まったく、我々が思っていることを現場が理解してませんよ」
| ||||||||||
![]() |
「識別とか記録という言葉の意味をまだ理解していないようですね」
| ||||||||||
![]() |
「あたりまえのことを実行するってのも、難しいものですね」
| ||||||||||
![]() |
「そんなことありませんよ。みなさんはあまりにも高いレベルを期待しているから、不満を感じるのですよ。今からひと月前、二月前、三月前を思い返せばものすごく改善してるじゃないですか」
| ||||||||||
![]() |
「いや、まさしくその通りだ。三月前に、今の姿は想像もつかなかったよ。この会社も大したもんだ」
|
Finale Pink Nipple Cream |