「三木君、こんなのをどう思う?」
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早苗が突然三木に声をかけてきた。 三木はハットして顔をあげた。早苗が数枚ものの書類を三木に手渡す。三木は受け取ってながめる。 見るとそれは昨年の審査報告書であった。 早苗が問題にするのは指摘事項だろうと見当をつけて斜めに読む。最近はどこでも勉強しているようで、環境側面を決める方法がどうとか、作成すべき文書記録が不足しているなんていう問題は少ない。じゃあなんだろうと・・ 軽微な不適合というところには3件の記載があった。
上記は2012年に某認証機関が出した実物の軽微な不適合である。 三木は斜め読みをしてあたりさわりないように応えた。 | |||||||||||||||||
「ええと、いろいろあるようですが、まず4.3.3の目的・目標がちょっと気になりました。PPCでしたらこの程度でも良いのではないでしょうか」
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「そうかい、他には?」
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「はあ? あとはまあよろしいかと思いますが・・・」
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「おいおい、俺はみっつともおかしいと思うよ」
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三木は改めて読み直す。二番目、三番目は何か問題なのだろうか? | |||||||||||||||||
「二番目は問題ありませんよね。規格改定の説明会でここが改定になったからという念押しがあったはずです」
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「そうかい? 確かに規格改定で『環境側面にどのように適用するか』が追加になったなんて、ええと寺田さんの書いた本にもあったなあ(参照:「ISO14001:2004要求事項の解説」)。 でもさ、それはそうしなければならないということであってさ、マニュアルとか手順書にその文章を書けということじゃないだろう」 | |||||||||||||||||
「ええと、でもですよ、マニュアルチェックというのがありますね。そのとき規格にあるshallに対応することがすべてマニュアルに盛り込まれていなければなりません」
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「うーん、それは須々木取締役や柴田取締役が言い出したことなんだが・・・三木君はそれが正しいとお考えなのかな?」
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「早苗さん、確かに規格にはマニュアルに書けということは書いてありません。それどころかISO14001ではマニュアルさえ要求していません。でも、現実問題としてマニュアルを作らなくてはならず、その中には規格にあるshallすべてに対応すると記述してなければ不適合としなければならないでしょう。この認証機関ではですが・・」
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「うーん、まあ三木君がそういう考えで行動しているならそれでいいだろう。ただもしどこかの会社からそれはおかいいと抗議を受けた時は良く考えて対応した方がいいよ。へたにもめると大変だからね」
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「おっしゃることは分るつもりです。気を付けます」
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「それから三番目だが、これはまったくの間違いだよね。ウチだってそんなことは言っていないよ」
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「はあ! そうなんですか? 規格に読みやすくとあるのは間違いなかったと思いますが・・」
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「確かに読みやすくとはあるけれど、それは読んでわかりやすいという意味じゃない。英語はlegibleだから、判読しやすいというか明瞭であるということだ。だからこの要求事項で不適合になるのはコピーを繰り返して文字が読めないとか、紙が破れたり汚れたりあるいは黄変して文字が読めないという場合だ」
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「え、そういうことなのですか?」
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「実はさ、これは俺が出向する前に会社で教育を受けたんだ。そのとき教えられたことなんだけど」
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三木は早苗の話を聞いてデジャブのような、以前も聞いたような話だなと思った。どこで聞いたんだろうと思いだそうとした。 早苗はそんな三木の心を知らずに、問わず語りを続けた。 | |||||||||||||||||
「その教育のさ、指導役が俺より年下だったけど厳しいというか嫌味な奴でさ、鬼軍曹と陰で呼んでいたよ」
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三木は鬼軍曹と聞いて、六角を思い出した。六角と早苗は同じ会社から来たのだろうか? | |||||||||||||||||
「早苗さん、似たような話を聞いたことがあります。六角さんとおっしゃる他の認証機関にお勤めの方と面識があるのですが、彼も出向する前に指導を受けた方を鬼軍曹と呼んでいました」
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「六角だって!いや懐かしい名前だなあ。そうだよ、そうだよ、六角さんとは同じ会社で認証機関に出向する前に一緒に教育を受けたんだ。三木君は彼と知り合いかね。元気にしているのだろうか?」
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「ツクヨミ品質保証機構で審査員をされています。つい最近も新幹線の中で偶然お会いしました。元々六角さんの奥さんとウチの家内が友達でした。それで私が審査員に出向しろと言われたとき、いろいろと教えていただきました」
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「ほう、そんな関係だったのか。彼は私よりもひとつかふたつ上のはずだから、定年を過ぎたはずだけどまだ審査員をしていますか?」
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「今も審査員をされています。契約審査員かどうかは伺いませんでした。電車の中でしたから当たり障りのないことを話しただけで・・・」
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「そうですか。そうか六角さんも元気にやっているのか」
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「あのう、そのときの六角さんのお話では審査で苦情を受けたとか」
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「苦情を?」
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「なんでも審査のとき失礼があったとかで、審査した会社から苦情を受けたとかおっしゃっていました」
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「六角さんは紳士だったんだが・・・実を言って、私はそうではなかったので鬼軍曹からだいぶ厳しく言われたよ」
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「はあ、どんなことでしょうか?」
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「おれは工場の環境課長だったもので、仕事の相手は現場の部下と下請け会社とか廃棄物処理業者だけ。だから言葉使いも態度も乱暴だったね。問題があったりすると机の脚を蹴ったりしてたものさ。それで敬語を使えとか、座ったとき足を組むなとか言葉使いがとか、いやはや鬼軍曹にいろいろと教えられたね。鬼軍曹は丁寧に教えてくれたのだが、当時は気に入らなかった。今は笑い話だが、あのときは本当に憎かったね。まあ客観的に言えば俺が田舎者で礼儀というかマナーがなっていなかったのだが。 六角さんは営業出身で紳士だったのだがなあ〜」 | |||||||||||||||||
「それじゃ六角さんは仕事に慣れてきたので、言葉使いがぞんざいになったとかあるのでしょうか?」
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「いやそれはわからんがね、他山の石として我々も注意せんといかんな。 しかしなんだなあ〜、マナーがなっていないと厳しく言われた俺がマナーで問題を起こす代わりに規格解釈で悩み、ISO規格を知らなかった六角さんが規格で悩まずマナーで苦情を受けるとは、皮肉だね」 | |||||||||||||||||
三木はあいまいな笑いを浮かべた。 | |||||||||||||||||
「ともかくさ、その鬼軍曹がISO規格とはこう読むのだということを我々に教えてくれた。それはまっとうな考えだと思う。だからここに来てから、ナガスネ流の規格解釈を教えられてだいぶ不満が積もったよ。俺だって郷に入れば郷に従えというのは分っていたから表だって反発はしなかった。変なことをすると総スカンだからな」
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そういって早苗はあたりを見回した。幸い周囲は空き机があるだけで人はいない。 | |||||||||||||||||
「主任審査員になってからは、俺がまっとうだと考えている基準で審査してきたつもりだ。人の審査まではどうこう言わないがね」
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三木は早苗もいろいろと苦労して丸くなってきたのだろう、そしてナガスネの規格解釈は根本から変えるとかいうことは無理なんだろうと思う。三木自身も当面おとなしくして、やがて権勢をふるえるようになったら自分だけでもまともな考えで審査をするしかないのだろう。とはいえ、それでさえ簡単なことではないと思う。 | |||||||||||||||||
「まあ、こんな報告書をながめるだけでも、いろいろとおかしなことはあるものさ。この報告書は先方が同意しているからもうどうでもいいことかもしれないが、記録に残るわけで、後でまっとうな人が見たらナガスネの恥であることは間違いない」
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「早苗さんは今回の審査で前回の不適合の是正確認はどうするのですか?」
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「来週、俺がここに審査に行くんだが・・・当然、この三つの不適合の是正を確認しなくちゃならない。 さてどうしたものかと、俺も悩んでしまうよ」 | |||||||||||||||||
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三木は東北新幹線に乗っている。隣には須々木取締役が座っている。最近では三木もベテランと呼ばれるようになり、取締役に対してもそんなに気を使うこともなくなった。● ● いまどきは情報漏えいが厳しい時代だから、公の場、電車とかレストランで資料を見るとかパソコンを使うことはご法度だ。だから二人はアイソス誌とか文庫本を読んで時間を潰していた。 東北新幹線は白河を過ぎて左右の窓の外にはのどかな田園が広がっている。 社内販売が回ってきたので三木が須々木に声をかけた。 | |||||||||||||||||
「取締役、ホットコーヒーはいかがですか?」
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須々木ははっとしたように本から目を離して一瞬考えた。
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「ああ、ホットをお願いする。ミルクも砂糖もいらない」
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二人はコーヒーを飲みながら窓の外を見る。だんだんと天候が崩れてくるようだ。今日はホテルに泊まるだけなので、それまで天候が持ってくれれば良い・・明日は明日の風が吹くだろう。
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「三木君は審査員になって3年経ったよね。もうベテランだね」
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「なにをおっしゃいますか。まだまだ未熟者です。今でも規格解釈で悩むことが多いです」
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「規格解釈だって? どんなことが悩みなんだ」
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「もっとも典型的なのは著しい環境側面を決定する方法です。ナガスネでは一般の研修でも審査員の5日間研修でも、いろいろな方法があるということを教えていますが、実際問題として点数法以外どんな方法があるのかわかりません」
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「環境側面の決定方法か・・・あれを考えたのは私というか私たちなんだがね、当時はナガスネ創立時でまったくなにもないという状況だった。取り巻く環境は経団連がISO9000の轍を踏むな、乗り遅れるなと発破かけていたし、我々の業界もとにかく世に先駆けて業界団体の認証機関を作ろうとしていたし、なによりも他に先んじてISO14001の認証を出さねばと気負っていたね」
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須々木は懐かしいような顔をして話す。話は止まらないようだ・・・ | |||||||||||||||||
「我々は、そうだなあ二月くらいイギリスに行ってたと思う。向こうで審査の見学とか、規格の説明を受けたり、それだけでなくイギリスの貿易産業省というところに行っていろいろと認証機関設立について教えてもらった。略称はDTIだと思ったが、ウチが最初に出した登録証にはDTI認定と書いていたように思う。当時はそのDTI、日本で言えば経産省のようなところが認証機関の認定をしていたんだ。その後UKASができてそこが認定するようになった。 当時、我々は寝食を忘れて頑張ったよ。君たちには分らないだろなあ〜」 | |||||||||||||||||
三木はそんな話を聞いていささか嫌になった。三木が入社したのは1972年、高度成長期の終り頃だった。その当時も先輩から「俺たちは24時間働いた」とか「製品かついでアメリカ大陸を渡り歩いた」なんてことを場末の酒場で聞かされたものだ。確かに先輩は日本の高度成長期1960年代に頑張って国内、国外に物を売り歩いていたのだろう。その行動や結果を認め尊敬することはやぶさかではない。だが、それは三木たちの世代を貶めることとは違うだろうと三木は思う。そしてそんな方法はこれから通用しないだろうと思った。 もちろんそんな先輩ばかりではなく、しっかりと指導し厳しく評価してくれる人もいた。やがてオイルショック、ニクソンショックが起きて、高度成長期の幸運で生きてきた先輩たちはどんどんとどこかに消えて行った。あの頃はまだ就職に困ることなんてなかったから社会問題にならなかったのだろう。今騒がれているリストラと何ら変わらない厳しい選別もあったのだが。 ともかく三木は須々木が昔話をするのを聞いて、製品を担いでアメリカ中を渡り歩いたと語った先輩の顔が浮かんだ。まさに浪花節的思い入れというか、自分の行動に酔いしれているようだ。それは須々木にとっては心地よいのだろうが、三木にとっては心地よいものではなかった。 須々木の演説が少し収まったところで三木が口を挟んだ。 | |||||||||||||||||
「取締役、いろいろご苦労されたのですね。その環境側面を点数で決めるという方法もそういった訪問先で学んできたのでしょうか?」
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「おお、環境側面の話だったね。うん、イギリスで認証機関だったか研修機関だったか忘れたが、環境側面を決定する方法の解説を受けた。その人はどんな方法でも良いという」
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「どんな方法でも良いと言いますと?」
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「資料を前にいろいろ議論してまとめるというのもあったな。過去に事故が起きたりその危険があったものを取り上げるという方法の説明も受けた。とにかくいい加減だという印象がある。その中に今我々が指導している点数で決めるという方法もあった。我々、イギリスに出張していたメンバーは、日本に帰って来てからその点数法の形を整えて今のようなものにしたわけだ」
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「なるほど。他の方法に比べて論理的であったということですか」
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「そうだ、何も知らない人、つまり環境管理に携わったことのない人でも、必要なデータを入力すれば自動的に結果が出てくるようなものにしたかったわけだ。防災や予防医学でもこういった発生確率と発生したときの重大性を掛け算するという方法は広く使われている。自信作だな」
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「最近は雑誌やウェブサイトでこの点数法が間違っているといいますか、適切でないという主張が多いようですね」
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「まったくバカがいるものだよ。私もそういったものには目が行くのだが、環境側面というものが話し合いとか多数決で決めるなんて語っているのを聞くと虫唾が走るよ」
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「私は環境側面とは管理しなければならないものと考えています。つまり法規制を受けるとか事故の可能性があるとか、損害が大きいとかいうものでしょう。とすると、その決定は計算をするまでもないようにも思いますが」
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須々木は呆れたような顔をして三木を見つめた。 | |||||||||||||||||
「三木君、君はそんな理解不足で良く審査ができるね。環境側面は客観的で誰が行っても同じ結果にならなければならないんだよ」
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「でもISO規格にはそのようなことは書いてありません。むしろ詳細なライフサイクルの評価などをしなくても良いとありましたよね(ISO14001:1996 A3.1)」
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「私は君を信頼していたのだが、この話を聞いてちょっと考えが変わったよ。俺たちはなにもないところから仕組みを作り、関係機関と契約書を英文で作り、ウチの事業を立ち上げてきたんだ。そういういきさつを知らないで皮相的なことを言うのは止めたまえ そう言えば、君はまだ転籍していなかったね」 | |||||||||||||||||
三木はいやはや、このジイサンは手におえないなといささか呆れた。まあ、取締役といっても山内取締役もいることだし、それにまだ定年までは数年あるからそれまでには須々木取締役は代わるだろうと深刻には思わなかった。 | |||||||||||||||||
「取締役、そういうこととは違うのではないでしょうか。今私たちは論理的に環境側面を決める方法がどんなものがあるのかを話し合っており、私は点数法だけではないのではないかと申し上げただけです」
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「あのな、世の中で大多数が点数法を採用しているということ、それだけで点数法が正しいという証拠は十分だよ」
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三木は、審査で点数法以外だと不適合にするという無言の圧力を加えてきた結果がそうであるに過ぎないと言いたかったが黙っていた。そしてこのままではナガスネの将来は暗いなあと思った。 |
世の中で大多数が点数法を採用しているということ、それだけで点数法が正しいという証拠は十分だよ なるほど。「マクドナルドは世界中にあるというのが、マクドナルドが世界で最も旨い証拠だよ」と同じ理論ですな。 |
名古屋鶏さん マクドナルドを例にとるとおかしいことが明白ですね でも、ISOに関してはおかしいと感じないのがデフォなんですよ どうしてなんでしょうか? |