4.1 一般要求事項

15.02.27
レイシオ様からお便りを頂きました。

過去のこと
今、「規格解説教育希望」という部署がいたので、本HPを参照させて頂きながら教育資料を作っていたのですが、ふと過去の面白い指摘(良好点という評価だったのですが)を思い出してしまいましたので、もう時効かと思い、連絡させて頂きます(笑)

今から5年ほど前のコメントですが、4.1一般要求事項に対して「良好」との判定を頂きました。
内容としては、
「点検記録が訓練結果に基づいてメンテされていて、教育や防災訓練がキッチリ行われていて過去に事故を起こしたことが無い。これはトップマネジメントのいう汚染の予防に対して良好だ!」
というものです。

まだ、このHPと出会っていない時代の私でも、「なんかおかしいぞ」とは思ったのですが、まぁほめてくれてるんならいいか、と放置していました。
たぶん主任審査員だったので、同行審査員(うち4人で一週間とかきちゃいます)に、一般要求事項でも書けるんだ、と見せつけたかったのでしょう。
「御社はプラスの環境側面が手つかずだからそこを活動するともっとよくなるでしょう(キリッ)」と堂々と発言されていた方でしたから・・・

すみません、あまり面白くはないですね。

まず面白いか面白くないかということは、その人の立場によって違うと思います。
審査員が間違った事例は、企業担当者にとっては面白いことかもしれませんが、認証機関の幹部にとっては面白くないことでしょう。
まあ、外に出ようとしているトンボがガラス窓でバタバタしているのは見てる人にとっては面白く、ご当人のトンボにとっては死活問題というようなものかと・・
ということは面白い話ほど立場が異なる人にとっては面白くない話になるのかも?

本題ですが、2004年版において「4.1一般要求事項の不適合」というものは少なくはありますが、珍しくはありません。
私が過去5年くらいの間に拝見したものだけでも両手両足では足りません。おっと、レイシオ様の場合はお褒めいただいのですからまだまし、私の知っているものは不適合!とか改善しなくちゃダメな観察!ってなものばかりでした。
改善しなくちゃダメな観察っていったいなによ?

二三、例をあげてみましょう。

4.1 適用範囲の特定と文書化において次が不適切です。
  1. 適用範囲は、マニュアルの各項目(序文、環境マネジメントシステム体制図、事業活動記述)に記入されていますが、まとめて記載されていません。
  2. システムの利用状況の記載が具体的でない。
  3. 借地、借家の明記がない。

  1. 個人的に私は「適用範囲」は規格要求事項に対する不適合とするよりも、認証機関との契約に反するとした方が良いかと思います。とはいえ、そうなると既に審査契約を結んでいるのですから契約違反にすることもおかしなことです。だって、認証範囲が明確だから見積もりを出し契約し審査に来ているのですから。
    それを審査に来てからマニュアルに書いてないからダメという不適合にするのもおかしなことです。
    そもそもISO14001ではマニュアルを書けと言う要求がなく、その他の文書も含めて規格要求を満たしているなら文句を言うのは筋違いのはずです。
    まあ、厳密に言えば認証機関の審査契約書にマニュアルにすべて書けとあるかもしれませんが
    いやそれにしても文書を審査してOKになったから審査に来ているわけで・・・やはりおかしい
  2. システムの利用状況の記載ってなんですかね?
    そもそもISO14001:2004には「利用状況」という語は使われていない。あるのは「経営層は、環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、改善するために不可欠な資源を確実に利用できるようにすること」というところで使われている「利用」だけだ。
    ところで、システムというものが環境マネジメントシステムのことなら、ISO認証のためにわざわざ作ったはずがなく、環境だけ抜き出すのも不可能なはず・・・と言いつつ、そんなことを理解している審査員がそうそういるはずがなく
  3. 借地、借家ですか? 審査員さんは不動産も兼業していて、当社に工場とかを賃貸したいのでしょうか?
    まあ、冗談はさておき、知りたかったら説明しましょう。書いてないから不適合ですって? 家賃の滞納もないし、脱税もしていないし、ハテなんだろう?
    おっとISO審査は遵法とは無縁でしたね?
    地下水汚染などについて確認するというなら借地、借家に関係ないのではないか?
    まあ審査員ではないからわからない キリッ

4.1 適用範囲に、組織はその環境マネジメントシステムの適用範囲を定め文書化するという記述がされていない。

ええっと審査員閣下、ISO規格要求は「組織はその環境マネジメントシステムの適用範囲を定め文書化すること」を要求しているのであって、マニュアルの「4.1項にそういう文章を書け」というのとは違うと思うんですが・・・
審査員さんの規格にはそう書いてあるのですか?
ちょっと見せてください

4.1 一般要求事項の記載事項がマニュアル制定時に審議された記録がない。

    いろいろな反論があるとは思いますが・・・
  1. 不肖、私どもには審査員閣下の提示された文章の意図が見えません キリッ
  2. 有名な寺田さんをご存知ですか? おおご存知でしたか、それは良かった。
    偉大なる寺田先生は「一般要求事項にあることは個々の項番で決めろってことで、ここで特別に決めることではない」とおっしゃっていましたが、審査員閣下は寺田さんを超えたと理解してよろしいですね? キリッ
  3. つまりマニュアルを作るときに一般要求事項の項の要求事項が満たされているかを審議しなければならないということですか?
    しかし各項番において手順を定めており、その手順は文書化するときに組織の定める決裁ルートに基づき承認決定発行されているわけで、それを改めて一般要求事項としてまとめて審議決定しなければならないのでしょうか?
  4. ええっと、事前に審査員許諾伺いというのをいただきまして、審査員閣下にあらせましては審査員登録しているということでしたが、改めて登録証を確認させていただいてもよろしいございますか?

いかがなものでしょうか?

いやいや、こんなもので驚くようではこの商売やっていけません。某認証機関の取締役でしたが、次のようなスバラシイ不適合を出してくれたことがありました。
指摘事項
環境方針では「方針が組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される」ことを求めているが、会社のルールを守っていない人がいた。
これは4.2環境方針の指摘事項です。

イヤハヤ、これで審査員の仕事ができるなら、4.2以外の要求事項はすべていりません。文書管理が悪くても、是正処置が不十分でも、教育であろうと、資源であろうと、郵便ポストが赤いのも、ゼーンブ「4.2 環境方針に不適合」で済みます。嗚呼、ラクチンラクチン

とりあえず本日のまとめとしましては、4.1でも指摘事項はありますし、良好事例もあるのでしょう。それは実際の審査報告書でもって立証されました。
実証というのでしょうか?

それはともかく、4.1で出された指摘事項も良好事例も、言いがかりというか、因縁をつけたというか、まあいいかげんなものとしか思えません。
とりあえず4.1の項目を見たら、その審査員は力量がないと判断しても間違いないでしょう。
おっと、4.1で指摘事項を出して、かつ力量のある審査員がいるのかもしれませんが、ご存じの方、教えてください。

臭い臭い
臭い臭い
うそ800 本日の臭い
4.1で出された具体的指摘事項は知るかぎりアホくさいものばかりです。
とすると4.1の不適合は眉唾してチェックする必要がありそうです。
ところでアホ臭いってどんな匂いでしょうか?



レイシオ様からお便りを頂きました(2015.03.02)
お返事 ありがとうございます。
いや、4.1の不適合って2004年版以降たくさんあったんですね(笑)
とんでも審査員のとんでも指摘かと思いました。

郵便ポストが赤いのも
某おたく女子に言わせると、郵便車も消防車も赤い理由は「3倍速いから」らしいです。

レイシオ様 毎度ありがとうございます。
まあ、普通の方が想像するようなことは審査員閣下が既に実施済です。
タクシーは嫌だ、ハイヤーを頼め、お土産は○○がいい、そんなこともありましたね(遠い目)

ところで赤い理由が3倍速いとは、これは意外!
だって赤方偏移といって星が遅い方が赤くなる(波長が伸びる)ってことになってます。
いや、こりゃまた失礼(植木 等)


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