16.08.04
服装や髪形に流行り廃りがあるように、環境問題にも
流行 ( はや ) り
廃 ( すた ) りがある。過去20年くらいをとってもいろいろな流行があり、変化もあった。では本日は過去を振り返ってどんなことがあったのか思い出してみよう。
おっと、そんなことがどんなメリットがあるのかとか、銭になるのかなんておっしゃる人もいるかもしれない。まあ、昔から温故知新といいますんで、振り返るとこれからの流れが見えて投資とか資格取得とかあるいはなにかお役に立つかもしれません。全く役に立たないかもしれませんけど、夏の暑さを忘れて1時間くらい時間をつぶすのもよいではありませんか、
良くないという声が聞こえたようだが?
環境問題と言ってもいろいろある。ここでいくつかのポピュラーなテーマを取り上げてその語句をタイトルに含んだ書籍の発行数を25年間にわたって数えた。それをグラフにしたものが下図である。
実を言って調べたワードはグラフにしたものの他に公害(但し公害防止管理者試験問題を除く)、資源枯渇、SRIその他いくつも調べたが、25年間に出版された本の合計が10とか20と少ないしピークもはっきりせず、ばっさりと除外した。
ではこのグラフからどんな流行があったのかおしゃべりしましょう。
一番高いピークは
「放射能」 である。その時期はもちろん2011年、あのとき東日本大震災による福島第4の水素爆発で大変なことになりました。それで放射能に関する書籍が大量に出版されたのでしょう。
実を言ってその9割は、放射能が怖いよ、日本はおしまいだ、原発がなくても風力発電と太陽光発電で立国しようとか、放射能ならぬ放射
脳 だったようです。
しかし3月11日に地震が起きて、それから本を書いて出版となるわけですが、数か月のうちに雨後の筍のごとく出ているのには驚きます。9か月で80近いのはおそらく記録として残ると思います。放射能本を出したエネルギーたるや地震に負けず? とはいえ放射能本出版ブームも2013年までで、それ以降はパタッと・・・これはまたどうして? 人の噂も75日、放射脳の半減期は2年なのでしょうか?
そういえばセシウム134の半減期は2年、これは偶然です。セシウム137の半減期は30年です。
参考までに:
私もいい加減なことは語っていません。
義妹一家は避難地域から数キロのところに当時も今も住んでいます。彼女は放射能で鼻血が出たという人を見たことがないと言っています。
義母の近くには汚染地域からの避難者が多く住んでいます。義母もまた鼻血が出たという人を見ていません。
私は以前郡山市薫小学校 の近くに住んでいました。そこの校庭は放射能で汚染されたと当時は連日全国報道されました。当然その近辺も同じだったと思います。当時の隣人で連絡を取り合っている人に聞きましたが、鼻血を出した人はみたことがないそうです。
帰省するたびに親せき、友人たちと会っていますが、鼻血を出したという人はいません。
次に高い山が
「地球温暖化」 でピークが2008から2009年と2年間続きました。しかし東日本大震災のせいか、それとも欧州でロシアが機嫌を悪くして天然ガスがこなくなったために温暖化議論が静かになったせいか、2011年に突然下落しました。株ならば大暴落というのでしょうか。更に2013年以降は地を這うばかり・・・
ひょっとして地球温暖化が止まったのでしょうか? もちろんそんなことはないでしょうけど、地球温暖化本のブームが止まったのは間違いありません。
山本センセー頑張ってください
「持続可能性」 はピークというよりも連峰という感じで21世紀ずっと頑張ってきましたが、これも2013年以降はからっきし
すべては東日本大震災のせいなのでしょうか? まああの大災害で従来型の文明、産業論というものが疑われたのだから今までの持続可能性の論も疑われたとも思えますが、逆にだからこそ持続可能性の本質の議論がされてもよいはずなのですが?
ちょっと待て、持続可能というテーマも持続可能ではなかったのか?
「環境ホルモン」 なんて覚えてらっしゃいますか?
大騒ぎしたのはもう20年近く前のことです。SPEED'98なんて略称の環境ホルモン戦略計画とかなんとかの報告書が出たのが1998年、それで環境ホルモンと言われているものがほとんど否定されました。でもホルモン教徒、もとい環境ホルモン恐怖症は報告書一つではお祓いできず、あるいは立ち上がった勢いのオーバーシュートなのか2000年頃まで続きました。それからは環境ホルモン怪談は下火となったものの、いまだに細々と出版され続けています。中身は相も変わらず「環境ホルモンで子供ができなくなる」「男がメス化する」なんて叫んでいます。男に生まれ70年近く生きてきた私も、死ぬまでに女性になれるのでしょうか?
ところで3年前に見たエコ検定のテキストに、環境ホルモンという語が使われていたのを覚えています。それでエコ検定を受ける気はなくなりました。今はもう修正されているとは思いますが・・・
「ダイオキシン」 という地上最強の毒物もありました。地上最強と言われましたが、ダイオキシンで死亡した人は今までに4人しかいないという説もありまして、となると我々が日常摂取しているお醤油やお酒あるいはコーヒーよりも毒性が低いんじゃないかって気もします。ともかくいまだどのくらい強力なのか不明のようです。
参考までに:
お醤油の致死量 は体重 50kg の成人の場合最悪140cc(コップ1杯)だそうです。昔会社や学校をさぼるために醤油を飲む人がいました。飲みすぎると永遠にさぼれます。
お酒の致死量は約1升、呑平の私でもせいぜい5合が限度ですから大丈夫でしょう。もっともアレルギーの方は匂いだけでも危ないそうです。
コーヒーの致死量はコーヒーカップ100杯だそうで、これは死ぬ心配はなさそうです。とはいえカフェイン中毒死は毎年出ています。
ダイオキシン狂想曲で大騒ぎだったとき、市の廃棄物の課長に企業の環境担当者の集まりに来て講演してもらいました。その課長曰く、市役所に奉職してから長年一般廃棄物の焼却炉の運転をしてきたがいまだに健康で、ダイオキシンの危険性を身をもって否定すると語って満場の拍手でしたね。
ところで当時工場で環境担当でした私は使えなくなった焼却炉の後始末をどうするかが悩みでした。結局封印して保管することになり、その数年後私はリストラされてしまいました。それから10年もたってから私の後任が焼却炉を撤去しました。後輩よ、お疲れ様でした。ありがとうございます。
もっとも危険性は大したことがないと知られた今となっては撤去する意味もなさそうです。
ちょっと変なことですが・・・・・
グラフからわかるように環境ホルモンの本はダイオキシンの倍以上出版されています。ところが新聞記事ではピークが1998年から1999年なのは一緒なのですが、
ダイオキシンのほうが環境ホルモンの倍 もあるそうです。
これはどういうことなのか?
環境ホルモンはホルモン教徒がシコシコと本を書いて出版して、新聞記事のほうは記者がそれなりに重要性を判断して記事に取り上げた違いとでもいうのでしょうか? まあどちらも間違いだったということなのでしょうけど。
興味のあるかたはそのへんを是非ともご研究ください。究明されたらご教示願います。
環境の次は
「CSR」 だなんて言われたこともありました。CSRとはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので企業の社会的責任のこと。あなたが好きな、カレー、寿司、ラーメンの頭文字ではありません。さてCSRはダイオキシンや環境ホルモンの後継者として期待に応えたのでしょうか?
CSR とはつまりこういうものかと・・・
私はCSRみんな好きです
♥
これも2004年にパット立ち上がりそれからが期待されたのですが、エッどんな期待かって、そりゃお金になるという期待でしょうが。しかしながら、その後増えるどころかダラダラと下がる一方です。期待外れ、竜頭蛇尾、荼毘にふすほかありません。
おお、大物を忘れてはいけません。
「生物多様性」 というのがありました。
残念ながら脚光を浴びたのは2010年の1年だけ。アイドルの寿命は短いのです。
たまたま2010年は、生物多様性条約の国際会議COP10が名古屋で開かれた年、いやたまたまではなくだからこそ便乗本が多数出版されたのでしょう。そして会議が終わればすぐに忘れられて・・
絶滅が危惧されたのは生物ではなく、生物多様性という言葉でした。ああ ! 無情
「環境経営」 がないぞって?
環境経営なんて流行ったことがあったのでしょうか?
アリマセン、キリッ
book or.jp で検索すると「環境経営」という語句がタイトルに入っている書籍が56件ヒットしました。56とは多いなんて言っちゃいけません。25年間ですからね
そのうち45冊の著者が大学教員でした。企業、コンサル、総研などの方が書いたものは11件、他のタイトルの著者に比べて大学教員の割合が異常に多い。ということはこれら環境経営本は現実ではなく頭の中で考えたことを書いたのでしょうか? あるいは一般企業では環境経営という狭い範疇でものを考えておらず、経営全体を見ているのでしょうか? どうもそんな気がします。
私も人並みに1990年代から環境経営に関する本を読んできました。その結果ですが、どうもピンとこないといういか腑に落ちないのです。正直言って現実離れしているというかバカバカしいというか・・・企業の最前線は大学よりも進んでいるのは間違いありません。そうでなくては倒産してしまうからです。
時代に遅れ浮世離れした環境経営は、キャンパス外では通用しないのかもしれません。
グラフじゃよくわからないとおっしゃいますか、実は私もグラフからは流れがよく見えないのです。
それでピークの年とピークの高さを書いた模式図を作ってみました。
日本語ではいっときだけのものを流行とかはやりとかいいますが、英語ではその流行が続く期間によって呼び方が違います。短期間ならファッド、もう少し長ければブーム、変化が定着して時代が変わったなと思えるようならトレンドというらしい。
ダイオキシンや環境ホルモンはファッドだったのでしょうね。生物多様性も日本ではファッドだったと思います。なにせ翌年は消えてたんですから。
本当の放射能も放射脳ほど半減期が短ければ良いのですが・・・
温暖化もなんだか竜頭蛇尾、環境経営やCSRはファッドにもならず・・・いやファッドにもなれずと、
ところで私は一つ大きなものを忘れておりました。そうです
ISO です。
グラフにISO関係の本を加えると・・・
分かりやすいように染めたのがISO関係の本の出版数です。ピークの高さでは放射能にはかないませんが、面積(出版された件数)では放射能の倍以上です。いかにISOという分野が大きいかってことがわかります。環境関係はISOで持っているのだ・・・と勘違いしそうです。
ところで本日のメインテーマはどれがいっときの流行りか、どれがずっと残っていくものかを考えようってことだったのですが、すべて時代とともに消え去っていくって感じでしょうか?
旧約聖書に
「世は去り、世は来る、しかし大地は永久 ( とわ ) に (旧約 伝道の書1,4)」という文章がありますが、環境本は「世は去り、世は来る、そして環境に関わるものはすべて消え去る」とでもいうのでしょうか?
マッカーサーは
「老兵は死せず、ただ消え去るのみ」 と言いましたが、環境本は老兵になるまでもなくアッという間に
「風と共に去りぬ」 でしょうか?
最後に、私がウソをついているかもしれないので元データを載せておきます。
htmlで表にすればよいのですが、テーブル書くのが面倒なので図にしておきます。決してあなたに流用されるのを防ぐためではありません。どっちみちOCRソフトにかければ文字にできるでしょう。
図は小さいですが原寸は大きいですから、数字を読みたければ図をコピーしてペイントにでもエクセルにでも貼り付けて拡大してください。
こんなもの調べるのはあっという間・・と言いたいですが、実際には半日かかりました。
本日のトレンド
実を言いまして、私は定期的にどのような本がどれくらい出版されているのか把握しているのです。トレンドをつかもうってわけです。それでせっかく数えたのだから一文したためようかと・・
ところで本日はたったの4,000字、これくらいだとチェックが楽です。私は長い文章を書くのは苦になりません。だからいつも1万字を超えるのですが、長い文章は誤字脱字、引用やリンクその他のチェックをするのが大変です。(間違っても推敲はしません)
名古屋鶏様からお便りを頂きました(2016.08.04)
放射能はそれ自体が毒素のような事を言ってる連中がいますが、アレは毒物ではなく発生する大量の放射線が細胞のDNAを切断しまくることで、生体が維持できなくなるのが問題なワケで。
なので、鼻血が出るレベルにまで被爆となると細胞壁が維持できていないのですから自然回復もあり得ませんし、長くは持ちません。山岡さんにはヘイトスッペチをやめて早く成仏して頂きたい。
コーヒーの致死量はコーヒーカップ100杯だそうで
これはどうなんでしょうか?何処までならイケるのか、いちど専門家の山尾センセーに聞いてみる必要は無いでしょうかね?
名古屋鶏さん 毎度ありがとうございます。
致死量ってのははっきりいってわかりませんね。私が酒一升呑んだらかなり酩酊するでしょうけど朝青龍ならへっちゃらでしょうし、体重もなれ(マヒ)もあるでしょうし、体質もあります。普通半数致死量といいますが、要するに半数は死なないわけで
実を言って子供のとき近所の子供が学校に行きたくないって醤油をコップ半分くらい飲んだ騒ぎがありました。幸いなにもなかったです。うちの親が私たちに絶対に真似するなと顔を赤くして言ってたのを覚えています。まあアブナイ真似は止めておきましょうね、
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