データブック

21.01.25
お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。

私が小学生の時、先生が年鑑を読めといった。当時も今も新聞社が子供向けの年鑑を出している。同級生の中には先生の話を聞いて親に買ってもらい、日々読んでいる子もいた。奴らは成績はともかく、確かに知識豊富だった。
もちろん知識豊富と学校の成績は直接の関係はない。学校の試験は教えられたことを覚えたかどうかの確認である。

私も大人になり、子供を持ちました。躾はともかく教育熱心でない夫婦でしたから、学校の宿題はちゃんとやれよというくらいで勉強しろとか良い成績をとれと言った覚えはありません。
ピアノ娘はピアノ、水泳、お習字、卓球など習い事をしましたが、どれも本人がやりたいと言いだしたもので、私たちが主導してやらせたものはありません。そして娘は才能がないと気づいたのか、これで十分と考えたのか、すべて一定のレベルになったとき自分が判断して止めてしまいました。
一定のレベルとは水泳なら4泳法できるようになったが、大会に出るほど才能がないと自覚した時、ピアノも楽譜を見て弾けるが、同じくらいの子はたくさんいると認識した時、卓球も選手にはなれないと思ったときですかね。
息子は習い事は特にしなかったようです。ただ姉を見ていて、習い事がいかほど役に立つのか・立たないのか知っていたようです。
二人とも学習塾に通ったことはありません。それと家庭教師も頼んだことがない。手がかからない子たちでしたね。まあ昔々1990年頃のことです。

子供たちが小学生のとき、私が会社で資料を捨てていると業者が置いていった電話帳くらいの大きさ厚さの実験器具のカタログがありました。汚れもなくきれいだったので、それを子供たちの土産に持ち帰りました。
私は以前から会社で廃棄したボールベアリングとかノギスなどを、子供のおもちゃに持って帰ったことがありました。製図台とドラフターのセットはさすがにただというわけにいかず、千円くらいで払い下げしてもらった記憶があります。もっともこのドラフターは子供たちのお好みに合わなかったようで、捨てようとしたらお隣の工学部の学生だったお嬢さんが欲しがりさし上げました。

シリンジ 子供たちはカタログを見て大喜びでした。それには科学実験で使うビーカーや試験管やシリンジから、大きなものはガスクロ、吸光光度計など多種多様、さまざまなものが写真と仕様とお値段と載っています。それから毎日彼らは長い間それを見て過ごしました。

当時子供たち二人とも、子供向けの本は好きでありませんでした。学校推薦の図書など眼中にありません。
子供たちがカタログに興味を持ったので、年鑑ならもっと読んでくれるかなと思いました。たまたま本屋で「Almanac」という分厚いペーパーバックがあったのでそれを子供たちに買いました。表も中も英語でしたが、もう猫にマタタビのようでした。子供たちはそれを取り合って中を見ました。英語だから小学生に読めるはずがありませんが主な単語はわかったようで、図形とか数表をながめてはワイワイ楽しんでいました。
その中に万年カレンダーというものがあり、暦はいくつかのパターンを繰り返していくとありました。当時小学低学年だった息子はこのパターンを覚え、西暦何年何月何日と聞くと即座に曜日を答えるのです。

それならと次に理科年表を買ってやりました。これまた熱中しました。どうも子供たちはお話などより、事実の羅列のほうが良かったようです。
まあ、そんなことでその後も年鑑とかさまざまなデータブックを買ってやりました。それで二人が競うのは、ジャガイモの生産ランキングとか人口とかどんな孤島があるとか、そういうことばかり……
二人とも社会的な出来事より、原子の性質とか自然界のさまざまな数字や周期律表を丸暗記して、それからどんなことがわかるのか、考えられるかということが好きだったようです。

もちろん年鑑を見て年鑑を信用するのでは困るのです。まともな年鑑ならそのデータの出所を示しています。だから年鑑のデータが事実なのかとか、詳細を知りたいというときは、元データまでさかのぼることができるし、使う人もそういう確認を取らなければなりません。それこそが年鑑の使い方です。

しかし子供たちも中学・高校になると、年鑑よりも赤川次郎とかラノベになり、大学からは娘はファッション・ブランドに注力、
 
◎◎
◎◎
◎◎
息子は麻雀とゲーム攻略本を読むだけ。
年鑑を読み漁った子供時代を忘れてしまったようです。


さて、子供時代も中高年時代も年鑑などに無関心だった私ですが、引退後は年鑑を開くのが楽しみとなりました。まあ、年を取ったのだということでしょう。

そもそもはこのウェブサイトでいろいろ書くときに、やはり出典はしっかりしなければと思いました。ネットをググるのとウィキペディアだけでも心もとない。それで働いていたときの上司がいつも机上に置いていた「世界国勢図会」と「日本国勢図会」を買いました。それらはたまに上司に見せてもらいましたが、それ以外のデータブックの類は見たことありませんでした。
別になにか書くときの裏取り用だけでなく、眺めているだけで十分面白い。その面白さだけで元が取れます。

もちろん年鑑とかデータブックは毎年出るわけで二三年この二冊を買いましたが、ちょっとお値段がお高い。アマゾンなどで見ると類似の本がズラズラとみつかります。それであるとき「データブックWorld」を買いました。データの分類や並び方が大幅に異なりますが、内容はまあ同じです。

書名著者出版社ISBN初版価格
データブック オブザワールド二宮書店編集部二宮書店97848176045692021.01.10700円

本のサイズもページ数も似たようなもの。ただ絶対に違うことがあります。それはお値段です。「世界国勢図会」が2,980円するのに「データブックWorld」は700円。これはデータブックに鞍替えするしかありません。


話は変わりますが……
三橋貴明という経済評論家がいます。最近はひところの勢いがありませんが、彼の特徴はすべて数字を出して語ることです。そしてデータの出所をはっきりさせていること。これはすごいことです。

大前研一という経済評論家もいます。彼はポジショントークも多くあまり信用できません。好き嫌いはともかく、彼が語ることは数字を表に出すことは少なく、更に数字の出所を明確にすることはありません。これは大きな違いです。
そして大前研一の名誉のために言えば、その他大勢の経済評論家は数字をもとに語るなんをしません。

森永卓郎になると経済評論家というよりも経済オンチとしか言いようがない。そしてこの人、著作権については無知そのもの。

池上彰になると評論家というよりも解説者というカテゴリーになるのでしょうけど、語ることは嘘ばかり。彼の番組「池上彰のニュース そうだったのか!」という番組があるが、ネットで「池上彰のニュース うそだったのか!」と書かれているのを見て笑うと同時にまさに我が意を得たりである。

三橋貴明ですごいのはなんでも出典付きの数字で表すだけではない。自分が施策を考えた根拠を元に反論するのを期待していることだ。同じ現象や同じ数字を見ても、それをどう受け取るかは人さまざま。だから同じデータを元にもっと良い発想はないのかと問う。いや挑むという方が適切かもしれない。

身の回りでもテレビでもネットでも、議論はたくさん見聞きする。もちろん自分自身が当事者のことも多い。そのとき、君は知らないだろうけどこういう事実があるとか言い出す人がいる。
それははっきり言ってアンフェアだろう。
お互いの認識を合わせて議論しないとおかしい。もちろんその情報が事実か否かは検証しなければならない。
私は三橋貴明の主張に100%同意というわけではない。しかし彼の考え方と議論の進め方はすばらしい、公明正大で尊敬に足る。池上彰や森永卓郎は、三橋の足元にも及ばない。

議論するときは数字を出さないと違いがはっきりしない。感覚でなく数字で議論しなければ無意味なのは当然だ。
そして同じ数字を見て、多いという人がいて良いし、少ないと考える人がいてもいい。それが建設的な議論というものだと思う。


世の中は真実だけを語る人ばかりではない。それは巷の人だけでもない。
怪しい円グラフ 左図は現実にテレビで放映された円グラフである。
これを見て5秒以内に「ヘンナノ」と思わない人はアブナイ、
どう見ても青と赤の比率はおかしくないか?
「テレビ おかしなグラフ」でググると、こういうものがたくさん出てくる。

例:2016年 その1その2、 2020年 その3その4

ワイドショーだけでなく報道番組でも、円グラフなら%と角度があっていないとか、二つのグラフを対比させるとき双方の目盛りが同じでないとか、合計すると100%でないものなど、嘘をつくにも苦労しているんだなあ〜と呆れるより同情してしまいます。
テレビを見ていて放送局や評論家に、だまされないようにしなければなりません。

グラフだけでなく根拠のない妄想垂れ流しってのもありますね。「サンモニ」はもうバラエティー番組というより、某国の宣伝放送としか言いようがない。
「ひるおび」も帯に短したすきに長し、「スッキリ」もスッキリしない。
どこも怪しいというか、おかしなことしか語っていない。

新型コロナウイルス流行で多くの医療専門家や評論家が現れては消えていった。中にはウソッパチと言われたり、専門家でないのに何を語ると批判され一旦は姿を消したものの、2020年になってもうほとぼりが消えたかとテレビに再び表れた者もいる。そういった怪しい評論家を出すテレビ局も大いに怪しい。
専門家? ばかりでなく、テレビに登場して緊急事態発令による被害を語るスーパーや居酒屋それに一般(?)主婦がいつも同じ顔ぶれなのはどうしてだろう?
彼らは一般人ではなく、スーパー店主や居酒屋店員を演じる俳優なのだろうか?

家内 家内は卓球に行かないときは朝のモーニングショーから昼過ぎのワイドショーを梯子して夕方まで50インチを独り占めである。もっとも我が家ではテレビを観るのは家内だけだけど。
家内にそんなバカ相手の番組ばかり見ているとバカになるぞと言うと、どこがおかしいかを考えて観ているからボケないのだと言い返す。

ところで家内が読む本は、剣豪小説を始めとする時代劇オンリーである。時代劇の本やテレビドラマばかりをインプットしていて大丈夫なのだろうか?
いや私が心配するのはボケないかではない、テレビ局の偏向報道によって新型サヨクウイルス感染して頭の中がお花畑にならないか心配だ。

テレビコマーシャルが「皆さんこれを使っています」なんて宣伝しても大事件にはならないかもしれない。でも「皆さん」って誰のことですか? 100人中何人ですか? どんな調査をしたの? 無作為抽出だったの? そんなことを問いただしたいのは私だけでしょうか?

「上級国民は悪いことをしても逮捕されない」なんて言い方はおかしいと思う。
私だって池袋事件には怒り心頭だが、本当に上級国民は逮捕されないのか、上級国民の何パーセントが悪事を働くのか、発言した人は調べたとは思えない。

💥プリウス

テレビに登場する評論家や県知事などでも感覚的な言葉を使う人は多い。
「新型コロナウイルス流行で自主規制を要請しているが従わない人が多い」聞けばもっともと思います。でもちょっと考えるとおかしいよね。従わない人はいかほどですか? 電車に乗っている人だって不要不急ばかりじゃないでしょう。
公共の場やテレビで話す人は、証拠。根拠のあることを話し、話したことには責任を持たねばならない。

高齢者の事故が増えているとは正しいのかどうか、あなたはどう思いますか?
私に聞かないでください、それに私が何を言おうと信用してはいけません。警察庁の公報とか政府統計をご覧ください。言いたいことはしっかりした出所の数字を調べなければならないということです。

まあ「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」「電話 de 詐欺」減ることがありません。そしてテレビや新聞は偏向報道、捏造報道に努めています。
そんな世の中を騙されずに生きていくにはどうすればよいのか?
家内のように剣豪小説を読んで剣の技や極意を学んでも役に立ちません。そもそも坂崎磐音秋山小兵衛の時代には、電話も新聞も交通事故もありません。

事実を知るといっても、我々はその方法論を知りません。ネットを使いこなしている人たちは、なにかあれば右クリックして調べるでしょうけど、それが正しい情報とは限りません。
まあ京マチ子が出た映画を知りたいとか、プリウス発売年を知りたいくらいなら間違っても問題ないでしょう。でも大事なこととなれば出典を探すとか、関連する論文を探すくらいの執念が欲しいです。
とはいえそういう執念というか方法論を身に着けるには努力が必要です。子供の時から年鑑とか関連する出版物の探し方などから始めたいです。


老人マーク 本日のおすすめ
年鑑、データブック、アルマナックなんでもいいですから、信頼できるデータをいつも眺めていると世間相場というものを知ることができます。
相場とは株とか売値のことばかりではありません。
あなた次のようなこと知ってます?

そういうのを知っていると日々のニュースを見ても、異常かそうでないか、自分が世間並みかそんなことを知ることができます。
そして主張が事実か否かわからないなら、主張する人に証拠・根拠をたずねるのはもちろんです。根拠をこたえられないなら、うそをついているのです。
「高齢者に保守が多い!」そう叫ぶ人がいたら、その根拠はなにか聞いてみましょう
「沖縄では米兵の性犯罪が多い」と叫ぶ人には、性犯罪発生率を聞いてみましょう
まあ、そういうことでぜひとも年鑑とかデータブックを眺める習慣を身につけましょう。
お勧めします。






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