「地球にやさしい○○です」なんて広告を見たのは20世紀でしたね。21世紀の今はありません。というのは世紀が変わったころ、しっかり説明がつかないイメージだけ気分だけのコマーシャルはいけないとなり、「地球にやさしい」は使えなくなったのです。
そして「地球にやさしい」の代わりに、〇%省エネしたとかレアメタルを使わないと、具体的に表現しなければならなくなったわけです。正しい情報を伝えなければならないビジネスの世界では当然でしょう。
そういえば昔、究極のメニューと至高のメニューの対決なんてマンガがありました。ところがかなりの対決の勝敗を、対決の当事者である海原雄山が決めつけてましたね。
もし現実に勝ち負けをつけるなら、客観的に具体的に優劣を立証しなければ公平性は担保できない。審査員の定性的な判定でも良いですが、そのときは審査員となる人の評価の適切性や再現性を検証することが必要でしょう。まあそんなことは無理だから、あれはマンガの世界。
しかし宣伝広告でなくても「地球にやさしい」という言葉に意味があるのかと考えるといかがでしょう?
「やさしい」とはどういうことか国語辞典を引くと、@思いやりがある、A困っている人を助ける…とある。
では地球にやさしいとは地球に思いやりがあるとか、地球が困っているとき助けることなのか?
散らかっているゴミを掃除するのは地球への思いやりなのか?
地球に心も気持ちもないとは思いますが、それは単に、ゴミが集まっているかバラバラにあるかの違いです。我々からみれば、ゴミを見えないところに移せば状況が変わるだろうけど、地球から見たらどこにおいても変わらない。
砂漠が拡大すると地球は困るのか?
地球が誕生したとき灼熱の岩だけで何もない。それから数億年後、まだ生物は発生せずそれどころか陸も海もない。やがて温度が下がって海ができ生命が発生して地上に進出し地上に植物が繁茂するようになった。
地球の歴史で我々が樹木と認識するものが発生したのは、シルル紀とデボン紀の間、約4億年前だ。つまり地球が過ごした時間の9割は岩ばかりか、植物があってもコケ類のようなものだけだった。
そんな歴史だから、地球は植物が減っても増えても、いやあってもなくても気にしないだろう。気にする以前にそんな細かいこと感じないんじゃない?
話は戻って「守る」ってどういう意味ですか?
国語辞典では@大事に保つ A約束や法律に反しないようにする、とあります。
地球について考えると、今の環境を変えないことでしょうか?
地球は誕生してから46億年、その間 地球の環境は時代によって大きく変わりました。
高温で岩も金属も溶けていた時代もありました。やがて冷えて海ができたけど、そこには生命も有機物も存在しない時代もありました。大気ができてもCO2ばかりとか、硫化物がメインだったり、もちろんそれじゃ動物も植物も誕生も生存もできません。
やがて微生物が現れましたが、何度も全地球が凍りついてほとんどの生命が死滅したりしました。その後も気温が30℃以上のときも氷河期もありました。
気温だけでなく大気の成分も変わりました。窒素ばかりの時もあり、硫化物が多い時もあり、酸素が30%もあった時代もあるし、少なくなった時代もある。
さて、地球を守るってどんな状態を維持することなのでしょう?
注1 | 上表は「二酸化炭素濃度と気候変動史」「生と死の自然史」とFRAKERS,1979など はっきり言って気温の推移は、研究者や論文によってさまざまである。またひとつの時代も数億年と長く、時期によって相当異なる。なにしろ新生代だって氷期と間氷期での気温の違いは6℃以上もある。 |
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注2 | 地球の歴史は46億年である。上表で冥王代と始生代で過去の42%を占めることに注意。新生代はわずか2%である。 | |
注3 | 数字は他のガスがあり、また |
生命も生物も、計画書や設計図があって進化してきたわけじゃありません。ダーウィンおじさんが語るように、カットアンドトライあるのみです。しかもやっと生存競争で優位に立った瞬間に気候変動や天変地異が起きて、その後の気候や環境に対応できず一瞬にして覇者から敗者に立ち位置が変わってしまった生き物も多々。
地球環境を守るは、どの生物が興隆を極めた時代の環境を維持するのでしょうか?
ところで守るっていっても、何から守るの?
隕石が落ちてきたら大変だから、監視と防御システムを作ろうって考えている人たちもいます。将来小惑星や彗星を監視して、地球に衝突する恐れのある場合はアルマゲドンのハリーが駆けつけるってわけだ。
地球誕生以来なんども天変地異があり、その結果大絶滅が起きたこともあり、そこまでいかなくても気候も生態系も食物網も変わったこともある。
今人類が万物の霊長なんて自称していられるのもチクシュルーブ・クレーターを作った隕石のおかげ。もしこの事件がなかったら、今頃は恐竜から進化した生き物が、パソコンを叩き車を転がしていただろうという学者もいる
そうであれば我々はいまもネズミのような姿で、恐竜さんのマイホームのキッチンで残飯をあさっていたに違いない。
隕石が落ちてくると生物が絶滅するからって隕石の軌道を変えたら、人間が生まれてないよ。
「ガラスの地球を救え」って語ったアホな漫画家がいたが、地球って壊れるの?
壊れるのは人間が作ったものであって、人間が作ったものでない地球は壊れないようです。ガラス器が割れてもケイ素は壊れません。
語るだけならいいけど、バカなことを文字にすると後世に恥をさらします。もっとも金儲けのためならアリでしょうけど。
ところで地球を守るといっても、一体何を守るのかというのを、まずはっきりさせないといけません。
地球は地球型惑星に入るそうです。
太陽系には水金地火木土天海(冥はなくなってしまった)と8つ惑星があり、2種に分けられる。地球型惑星は小さめで密度が高く固体の大地を持つ、地球、水星、金星、火星がある。木星型惑星は大きめのガス体で密度が小さく地面があるのかないのかわからない、木星、土星、天王星、海王星がはいる。
確かに生物が生存できる状況を維持するなら地球型惑星でないと難しいと思う。もちろんガスの中を泳ぐ生命なら生存はできる。地球でも大気中に浮遊する微生物があるそうだ。おばQ と呼ばれる私も大丈夫かもしれない。
もっとも木星型惑星は大きいので、その衛星が地球並みのものもある。その衛星は地球型ともいえる。実際に土星の衛星エンケラドスとか木星の衛星エウロパには生命が存在するかもと言われている。
しかし地球型惑星といっても金星と地球と火星は全く様相が違う。しかし全く異なるかといえばそうでもなく、金星は地球の昨日で、火星は地球の明日ともいえる。そして水星は、大気を失い灼熱の世界で地球の最後の姿かもしれない。
いいたいのは、地球といっても時代によって様相は大きく変化するということ。それは人が死ぬと同じく世の定め。「一度生を享け、滅せぬもののあるべきか 」というのは、人間だけでなく恒星にも惑星にも適用される
さて、いつの時代の地球を守るのでしょうか?
あるがままの地球を守るなら、何もしないことが一番のようです。
となると……地球を守れなんていう発想がおかしいって思いませんか?
いやいや地球だけを考えても意味がないようですよ、
太陽は小さめの星でG2という区分になります。恒星は重さによって、その星がどんな人生を歩むか決まります。太陽の寿命は110億年くらいで、現在の推定年齢は46億年といわれる。地球もほぼ同時にできたので46億歳になる。
太陽の寿命がまだ64億年あるといっても、実際には歳を取ると放出するエネルギーが増加し、大きさも大きく膨張する。それで地球が太陽に飲み込まれると心配する人もいるし、大丈夫と語っている人もいる。
とはいえ我々というか地球上の生命はそうなることを心配することはない。というのはそれよりはるか前に、地球内部の活動が大きく変わり地殻活動が低下しプレートテクトニクスが止まり、地上も大気も大きく変化する。
そじて10億年後には大気が失われ……つまり今の火星のようになるわけだ……その時点で生物は死滅する
それとはまた別に太陽の寿命が来る前に、銀河系とアンドロメダ星雲が衝突してしまうので、太陽だけでなく銀河系に
私はそれを見ることができないことが残念だ。
私はどうせ地球も太陽も滅んでしまうから何をしても無駄、と虚無的なことを語るのではない。まず己が望むのは何か、それは妥当なことなのか、可能なことなのか、そういうことを考えるべきだということだ。
今我々が呼吸している酸素は元々地球にあったわけではない。ストロマトライトという藻が作り出したものだ。それにより生物は酸素を使うことで大きなエネルギーを手に入れて今の生態系がある。
当然酸素が増えたことにより、それまで主流だった嫌気性生物は地上から追い払われてしまった。今では嫌気性生物は、酸素の少ないドブの中や地中で細々と生きている。
可能かどうかはともかく、地球温暖化を止めて我々人類が楽しく暮らせる期間を延ばすとしよう。それは他の生物の繁栄を阻止することでもある。もし人間が死滅すればその地位を別の生物が相続できるわけだ。それを地球を守るというのか、どうだろう?
まさに人間中心主義で、別名ジャイアニズムという。
環境保護の意識が高い()人たちは、人間(自分)だけが生き延びて、他の生物は犠牲になれってことになるのかな?
もっと身近なことで外来生物を排除しようということは、在来種を保護することであり、自然な生物の盛衰を阻止することである。こりゃ哲学的な話になってしまった(笑)。
マングローブを植えましょう、砂漠を緑化しましょうということは、環境に良いことなのかどうか定かでない。
いずれにしても外来種を排除することの影響は極めて大きく広い範囲に及ぶ。良かれと思って行ってもどこでどんな影響が生じるのかわからない。
さてここまできたら、もうあなたは地球を守れなんて言わないよね?
地球を守るどころか食生活だって簡単に変えることはできない。
人間は生れた時から肉を食べなくちゃ、いや露骨に言えば他の命を掠め取らなければ生きていけない生き物なのです。
驚くことはありません。地上に生命が誕生したときは、皆、太陽エネルギーや地中の熱水などからエネルギーを得る生物(生産者)ばかりでした。
しかしすぐに自分がエネルギーを作り出すより、他の生物が作ったエネルギーを盗んだほうが効率がいいと気づいた生き物がいたのです。それが動物(消費者)です。
だがそれに止まりません。植物(一次生産者)が太陽エネルギーを変換した草や果実を食べるより、その栄養を食べより濃縮した動物(二次生産者)を食べたほうが効率が良いことに気が付きました。それが肉食動物です。もっと要領がいいのは、その肉食動物(三次生産者)を食べればエネルギー密度はさらに高いはずです。
注:高位の消費者はうまいことやっていると思ってはいけない。当然エネルギーだけでなく毒物(化学物質・金属)も濃縮されているから、優雅な暮らしをしているシロクマやワシなど子供ができにくいと言われる。
じゃ食物連鎖は無限に重なるのかとなると、それは無理というもの。
一般的に食物網(食物連鎖)の層上が一つ上の人口は、下位の階層より一桁少なければなりません。
動物は概ね有性生殖ですから配偶者が必要で、行動範囲内において配偶者と出会えないと子供が作れない。ということで食物連鎖の階層は限界があり、陸で4段階、海で5段階と言われます。
我々人間は動物ですから、自分で自然界からエネルギーを得ることはできません。我々は他の動植物を食べて生きるしか道はありません。
食事の前に「いただきます」というのは、命をいただいてありがとうございますという意味だと子供の時習いました。
よくいますよね、私はベジタリアンですとか、ビーガンですっていうアホが、
私はビーガンですといっても、人間はセルロースを分解できない。
草食動物とはセルロースを分解できる動物です。彼らは草を我々が消化できる肉に変えてくれる。セルロースを分解できなければ、セルロースを食べる動物を食べないと生きていけない。
私は動物がかわいそうだから肉を食べないなんて言うこと自体、あなたの存在と矛盾している。肉を食べなくちゃ生きていけないこと、原罪の本当の意味はそういうことだろうと思います。
おっと肉を食べなければ無罪(といっても意味不明だが)というわけでもない。草食動物だって、炭酸同化作用ででんぷんを作り出している植物を食べないと生きていけない。植物を食べるのはOKだという理屈を唱えても、他の生き物を食べていることに変わりはない。
肉を食べる人は悪い人、肉を食べないベジタリアンは良い人……そんなアホなことがあるわけがない。他の生き物の命をいただいて生きていることは全く同じです。ならば肉を食べないために栄養不良になったりしては馬鹿みたいです。
まあよく考えて行動しましょう(鼻ホジ)
結論として、
あなたは地球を守ることはできない。科学が進もうと技術が発展しようとそれは不可能なのだ。あなたができるのは自分を守ることだ。まずそれを理解しなければならない。
地球を守ろうというのは禁止だ。それはコマーシャルにおいて「地球にやさしい」が禁止された理由ではない。もっと根源的な生き物の原理なのだ。
あなたが今まで地球を守ろうとしていたことは、地球を守ることではなく、もっと主観的利己的なことであり、人間を守ろうとか人間に適切な環境を保護しようしていたのだと認識しなければならない。
それは恥ではなく悪でもない。人間が生物であり動物であるから当然のことだ。
私はビーガンですということは悪とは言わないが、アホと言おう。
いずれにしても、人間は己の存在の立ち位置を認識し、それに合わせて生きなくちゃならない。人類は環境と妥協しなければならないのだ
おっと、あなたがそれを認めなくても私は気にしない。どうあなたが考えたとしても現実は変わらない。あなたは他の生き物を食べなくちゃ生きていけない。
それともあなたは太陽光からエネルギーを生み出せるのか?
できたらすごいね! あなたは人間じゃない。動物でさえない、新種の生物だ。
本日の言葉
「地球温暖化は世界の終わりではない。私たちの世界が終わるだけだ(注6)」
注1 | 注2 |
恐竜が死滅せず霊長類まで進化したと想像した図はネットにたくさんあるし、SF小説もある。 ・古生物学者のデイル・ラッセル博士が考えたのディノサウロイド(恐竜人間) ・これが"新しい"恐竜人間!? もしも恐竜が絶滅しなかったらの進化論 |
注3 |
敦盛の歌詞の一部 「この世に生を受けて滅びぬものなどあるはずがない」 |
注4 | 注5 |
「暗黒星雲」、フレッド・ホイル、法政大学出版局、1970 |
注6 |
「地球進化46億年の物語」ロバート・ヘイゼン、講談社 ブルーバックス、2014 |