「アメリカ・北朝鮮 抗争史」 島田 洋一 著

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
文藝春秋 4-16-660309-4 2003/3720全1巻

出張に出かけるとき駅の本屋で見かけ何気なく買いました。
私は本を読むのはけっこう早く、この本なら東京・大阪で読み終えるかな?と見積もっておりましたが、意外や意外、とてもとても、読み返したり、前に戻ったり東京大阪往復を要しました。


アメリカ・北朝鮮
抗争史


島田洋一

文芸春秋


北朝鮮の今は金日成、金正日がこうあるべきと考えて製作監督した映画ではありません。
建国したのはソ連、朝鮮戦争をしたのは中国、その後の危険を放置したのはアメリカ、活動資金を出したのは日本という国際映画のようです。
そしてそれはまだ完成しておりません。

  そのエンディングはハッピーエンドなのでしょうか?
  はたまた破滅で終わる悲劇なのでしょうか?
  実は脚本はまだ出来上がっていないようです。

私も平和ボケとかまったくのノンポリでもありませんでしたので、過去30年けっこう新聞は丹念に読み、気になる本は読んでおります。
この本に書かれた中には「ああ、そんな記事読んだ記憶がある」とか「そんなこともあったな」というのもありますし、「知らなかった」「忘れちゃった」というのもあり、北朝鮮問題の年表的価値があります。
ところでタイトルの「アメリカ・北朝鮮 抗争史」はあまり体を現さず「北朝鮮と関係を持った国々との抗争史」というのがより正確かもしれません。

本旨とは関係ありませんが、
この本を読みますと、辛らつな言い回しの勉強になります。
私も皮肉がへたでもない(?)と思っておりましたが、初級者であることを認識しました。 
  • 「クリントンには国を導く用意がない」(チャールズ・クラウトハマー)
    まあ、このへんは基本レベルでしょうか?
  • 彼ら(北朝鮮)の思考形態を理解できない」(ウオルフォウィッツ)
    並でしょうか?
  • 「アメリカがなすべきことを妨害することはカーターによって十分なされた」(チャールズ・クラウトハマー)
    このへんになると上級者ですね、
  • 「日米とも指導者が悪すぎた」(日経新聞)
    皮肉でもなくたんたんとしていいです、見習いたいものです。
  • 「時代劇の悪役を思わせる酷薄な顔つきの朴英洙は決裂の場に似合っている」(著者)
    まあ、これはかなり主観的
  • 「金大中の行動する良心とは、正義感なき忍耐と言い換えるべきだろう」(著者)
    いいですね、私の好みです。
  • 「世紀末にふさわしい倒錯」(著者)
    金正日にへつらう韓国文化相を評して、
    私はえらいさんにへつらえずいまだ冷や飯を食っております。 
  • 「金正日委員長と共同受賞できれば良かったのに・・・・申し訳なく感謝する」(金大中)
    皮肉としか言いようがない! 
  • 「それゆえに我々は金大中大統領のやっていることを支持する」(パウエル国務長官)
    金大中の北朝鮮に対する政策がハチャメチャで、北朝鮮崩壊につながるだろうと予測して
いずれにしても「圧力と対話」から「圧力」を省くような幼稚園的レトリックは立ち入る隙がない。
外務省田中参事官が日米協議で同意された「圧力と対話」から報道発表の時に「圧力」を省いたとはいったいどういうことなのでしょうか?
圧力ではなく、武力といいたかったのかもしれませんね、
ね、みなさん
このような本が数多く出版され、多くの方々に読まれることを期待します。
北朝鮮は地上の楽園というウソは見破られましたように、北朝鮮の外交が無責任で、国政がハチャメチャで国民を殺していること、そして人道援助とは本当は菌将軍を助けているだけだということを多くの人々に知っていただきたい!

「知りすぎた医者」「行動する良心」として知られるノルベルト・フォラツエン医師はこの本にも何度か出てくる。
この本と関係ないが、和田春樹という方がノルベルト医師を「壁を崩そうとして壁を築いている」と評している。糾弾に値する言葉ではないか?
まあ、論ずるに足らんと言えばそれまでだが、
和田春樹さんご自身は「壁を築こうとして壁を崩している」とでも言いたいのだろうか?


彼は正義か? ところで、この著者による「日本・北朝鮮 抗争史」という次作を期待したいものです。
きっと金丸とか河野、その他多くの政治家や田中某などの外交官が実名で登場し、にぎやかなものになることでしょう。




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