まず、厚い本である。厚いだけでなく文章が冗長で言い回しが若者言葉で私のような老齢にさしかかっている者には読むのに辛抱が必要である。
同じ情報を伝えるのにこの3分の一のページ数で間に合わせなくては環境保護とはいえないよ、ビョルン・ロンボルグ君。
「地球環境は危機的状況にある」
「異常気象で農業が壊滅!」
「オゾン層が破壊された!」
20世紀のオゾン層破壊の影響は200キロ南に移動したと同じだそうだ。
つまり私が東北から東京に引っ越してきたのと同じ。あまり怖い話でもなさそうです。
「精子の数が減っている!」
恐ろしい言葉が紙面をにぎわし、政治経済の指導者が語る。
この本は「その証拠は何かい?」と問い返す。
「地球環境はひどい状態か?」と世界中の人に抜き取りで聞くと大多数が
「YES」と回答するそうだ。
「あなたの周りの環境は破壊されているか?そんな状態にある人を見たか?」と質問するとみな
「NO」と答えるのだそうです。
世界中の人々が「自分はまだ大丈夫だけれど、どこかよその場所で誰かがひどい目にあっているのだ」と考えているわけだ。
おかしいんと違いますか?
日本で「あなたは生活ランクでどのくらいですか?」と聞くとバブル前は「中流以上」と答える人が大多数を占めたそうである。
大多数が占めるのは「平均じゃないですか?」
みなが中流以上になることは数学的にできません。
環境破壊を受けているかわいそうな人はどこにいるのでしょうか?
私が子供のころ石油はあと30年で枯渇すると教えられました。
当時は50歳になったらどうしようと真剣に悩みました。オヤジは「エネルギー枯渇に備えて我が家では石油やガス風呂にはしないぞ」と言い、死ぬまで薪で風呂を沸かしていました。オヤジの死後私は「さすがに薪では」と思い石油風呂にしました。(田舎では都市ガスがありませんのでプロパンか石油しか選択肢はありません)
あれから40年、いまだに石油はあり、自動車は走り、みなさん飛行機で海外旅行にお出かけです。
いえ、海外旅行に出かけるまでもなくあなたの食卓にある半分以上は外国からきています。
石油はどうなったのでしょうか? なぞです。
環境ホルモンだあ!
そんなブームもありましたね、
もう、環境ホルモンという議論は終わってしまったようです。「そんなものはない」というのが研究者たちの結論のようです。
(これはこの本だけでなくインターネットで調べられます)
あれだけ環境ホルモンを騒ぎ、日本人を怖がらせ本を書いて稼いだ人たちはいったい?
環境ホルモンを騒いだ張本人はゴア元副大統領でした。落選したのだからまあいいか
環境ホルモンってティラミスの流行と同レベルだったのでしょうか?
ついでに言えばダイオキシンももう旬は過ぎたようです。ダイオキシン特措法というトンデモなものを残して去っていきました。
騒ぎの元、○○テレビは今何を考えているのでしょうか?
あっ、考えてませんよね
今度は何を取り上げるか策を練っていることでしょう
ダイオキシンを騒いだのは日本だけです。諸外国では騒いでません。
環境悪化で病気になる人が増えていると報道されています。
病気になった人はどこにいるのでしょうか?
角のおばあちゃんガンなのよ、アレルギーが増えている、となりのジイサン糖尿病、喘息も増えている、家の息子は引きこもり
(これはちょっと違う)・・・・・・・本当ですか?
この本は徹底的にその元情報を調べていく。
世界中で平均寿命は延びているそうです。そしてますます健康になっているそうです。
日本でも毎年毎年平均寿命が延びてます。私が高齢になったときには死なないかも
喘息というのは時代とともに定義が変わっていて、今は軽い人も喘息に入れるので増えているそうです。昔も今
の定義では同数喘息患者がいたそうです。
(詳しくは本書を見よ)
みんな私のイメージとあっています。
小学校のころ、近所のおばあちゃん(といっても60歳くらいでした)が子宮ガンで自宅で寝ていましたが「痛い痛い」と大声を出して、それが道路まで聞こえてきました。それを怖い思いで聞いていました。
近所のラジオ屋さんはある日朝になったら死んでました。前日は元気だったのに。
それから少しの間、私は夜決して眠らないぞと誓っておりましたが一度として眠らなかったことはありませんでしたが・・・・
小さなはやらない自動車修理工場のオヤジさんは顔面にできものができて紫色の薬を塗りつけていましたが、何年も死ぬまで直りませんでした。
オヤジは水虫で決して直らないといわれて毎日痒い痒いと愚痴っていました。
そんなことと比較すると結構みなさん健康になったようです。少なくとも病人は増えてないし、間違いなく寿命が延びています。
私は今50半ば、私が高校を出た時代なら定年です。当時定年退職する人はもうよぼよぼ。私はまだ元気はつらつ!
この本の著者ビョルン・ロンボルグ君は統計学者であり自然科学者ではない。
彼は環境保護論者が主張する論点の根拠となるデータを調べそれが正しく理解されているかを評価している。
レスターブラウンだって自分が調査して文を書いているわけじゃない。いろいろな統計データを集めそれをもとに「地球は危険だ」と毎年「地球白書」という「怪談」を発行して印税を稼いでいるのです。
ロンボルグ君はブラウンさんの引用した文献、調査データを調べてその結論が正しいか否かを検証しています。
この本の後の100ページは引用文献のリストです。書評によると本の中身よりこのリストのほうが価値があると書いているものもあります。
そしてロンボルグ君はブラウンおじさんは間違って解釈しているとかいいとこ取りをしてるじゃないか!と反論しています。
しかし、この本の著者はすごい
レスターブラウンのような大御所に「あなたの論が正しいか私の論が正しいか千ドルかけましょう」ともちかけて、ブラウンに「降りるよ」と言わせ、そしてそれを本の中に書いてしまうのですから。
もっとも中にはボルグ君の賭けに乗って1000ドルを失った環境保護論者もいたそうであります。
(名前を知りたくば本を買うこと)
内容がすべて正しいか否か?なんてわかりません。
ブラウンの地球白書もゴア元副大統領の著書も同レベルの怪しさといっておきましょう。
しかし間違いなく、今後環境を論じるときのベースラインとなるでしょう。
この本を薦めるか?と聞かれたら・・・・薦めません。
だって4500円もするんです。
図書館から借りるとか、毎日本屋で少しづつ立ち読みするとかしてそのお金は飲んだほうがよいかも?
権威をありがたがってはいけない。
有名人であろうが権威者であろうが正しいかどうか、検証が必要である。
アメリカ副大統領が語ったことにも間違いがあった。大新聞が報じたこと、テレビの報道番組が叫んだことにも大間違いがあった。
北朝鮮の拉致・誘拐も長い間、そんな問題はない!といわれていた。
南京虐殺なんてことが本当にあったのか?
従軍慰安婦が本当に制度としてあったのか?
テレビが報じること、新聞が書くことを検証しましょう。
科学の世界では追試ができ再現されないものは認められません。
そんなことを考えさせてくれます。
丸印です。
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