「戦争を知っていてよかった」  曽野 綾子 goodbetterbest

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
新潮社4-10-311416-92006.06.151400全1巻

曽野綾子さんのご本である。本屋で『タイトルがすごい』と中も見ずに買いました。
タイトルからすぐに思い浮かべたのは「戦争を知らない子供たち」という歌でございます。それは私がまだ青年だった1971年の流行歌です。
当時はベトナム戦争まっさかり、戦闘状況が毎日の新聞に載っていました。
どこどこで戦闘があり、アメリカ兵何名死亡などなど・・
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この歌は、戦争なんてイヤだよ、おれは戦争なんか知らないよ、知りたくないよ、という恐ろしいものに出会ったら目をつぶっていようという、弱虫というか逃避主義者の歌でございます。
ギターを弾き鳴らし、大声でこの歌を歌った団塊の世代は今や定年時期、せめてビジネスなどの第一線から退くと同時に平和運動からも退いてほしいところです。
もっとも自衛隊の隊員募集の新聞広告でこれをもじった「戦争を知らない僕がファントムに乗る」というフレーズを見たことがある。
おばQも団塊の世代だろう、おまえは反戦運動に関わらなかったのかって?
そりゃ、いかなる時代においても流れに流されず、真理
を追究しようとする修道者はいるもんでございます。

次にタイトルから思い浮かんだのは、いつも「俺は戦争を知っている」と語っている野坂昭如。
彼が戦争を知っているって本当でしょうか?
私が記憶にあるのはこの方が、「自衛隊なんていらない。侵略されたらゲリラ活動でもテロでもして反抗しよう」というのがあった。
野坂さんは戦争を知っていても国際法を知らないらしい。 
この方は終戦時15歳だった。空襲を知っていても前線の戦争を知っているはずはない。
私は野坂の語る戦争より、中国大陸、北千島、その他で本当に鉄砲を撃って戦った父の語ったことを信じている。
そして私の母も生後数ヶ月の姉を背負って、空高く飛行機雲をひいて飛ぶB29を睨みながら防空壕を掘り軍需工場で働いていたのである。
私の母は敵が上陸してきたら娘を殺して敵と戦うつもりだったと常日頃言っていた。バンザイクリフの精神は本土においても脈々と流れてい。そしてもちろん、わが一族は軟弱ではなかったのである。

曽野さんの文章と思想は、若いとき読み漁った山本七平に似ている。
「日本の平和主義運動は平和のために死ぬ覚悟がない」とか、「正義とは公正な裁判とか人道とは関係ない。それは神と人との関係である」などという表現がまったく同一である。
これはお二人がキリスト教徒であり、かつ中近東に詳しいからだろうか?
もっとも曽野さんは場合によってはキリスト教徒から日本教徒になるらしい。というのは中東に梅干を持ち込んで空港でこれはなにかと問われて、日本人の宗教に必要なものだと答えたという話を深田祐介かなんかの本で読んだことがある。
民主主義は電化がもたらすという綾子様の説である。
電気がないところにラジオもテレビもない。電気が来れば放送によって外界を知り、それは部族社会を崩壊させるという。伝統社会にとっては恐ろしいことを言う。
確かに東西冷戦のとき、いかにソ連をはじめとする東側が西側の放送をさえぎるに苦労したことか。他方、共産主義国家群は西側に向けてさかんに宣伝放送をしていた。今でもピョンヤン放送なんてのが残っている。
もちろん一方のアメリカも大電力でVOA(ボイスオブアメリカ)の電波を中国やソ連に放射した。アンテナの近くでは蛍光灯がついたという話を聞いたことがある。
AMラジオの放送アンテナの下では蛍光灯が弱く光ります。
マイクロ波を使った装置ではマイクロ波が出ているかの検知に電線につないでない蛍光灯を置いておく。
ソ連を崩壊させたのは衛星放送とグラスノスチ(情報公開)と言われている。
まさにペンは剣より強かったのだ。
誤解してはいけないが、これは「ペンは正しく剣は間違っている」ということとは違う。しかし現実にはペンは剣より強いというとき、必ず剣は権力で悪であり間違っているというニュアンスを込めて使われることに注意しなければならない。ペンは日本ペンクラブに象徴されるように、公平中立ではない。そして正義でもなければ民主主義とも関係ない。
電化は情報をもたらすが、その情報が偏った思想であれば非常に危険であり、偏向したマスコミは国家国民に対する脅威である。
man4.gif 現在マスコミがサヨクの新聞、放送局、そしてそこに登場する左派系大学教授、左派系芸能人、護憲派漫才師によって乗っ取られていれば、日本が左傾するのは当然である。
太平洋戦争中の報道規制を危険だという勢力が、その手法を使って日本を動かそうとしていることを思うと地団太踏む思いである。

彼女のその思想はやはりキリスト教徒としての発想なのだろうと思う。
「働くことは義務ではなく権利である」というがその本意はやはり、働くことは個人の好き嫌いの範疇ではなく、神に対する義務と考えているのであろうと思う。
同じく税金を払うのも義務ではなく権利であろうし、その基本はやはり「働かざるもの食うべからず」ということに凝縮するのだろう。
もっとも「働かざることは罪」という以前に「働かざるものは死ぬのみ」という現実があるのだが。

曽野さんは当たり前の人が感じること、考えることを包み隠さずに発言する。それがいいところだ。
反権威というより、自己を確立しているから権威を恐れないということだろうと思う。
仕事ができる人は上司も怖くない。といっても上司と衝突する必要はない。彼女のスタンスはそういうものだろう。
人に頼らない自立の精神、自分の力で生きていく雄雄しさ、そういう心構え、力を頂いた。
「国のために」が禁句であるこの国にあって、彼女の存在は偉大である。
私が市民レベルで愛国運動をしているのに対し、彼女はより高い立場、影響力の大きなところで大活躍をされている。

しかしと書くのだが、
戦争を知っていることはすごいことであり、偏向報道などにごまかされない力にはなるだろう。
だが、個人の知ることのできる範囲は限られている。戦争体験ないよりはあったほうが、危険の感受性とか非常時の対応に役立つとは思う。しかし個人的な体験をいくら集積しても大局的なとらえ方、政治レベルの判断にはつながらないのではないかという気がする。
もちろん、品質管理でも三現主義といって、現場、現物、現実を知ることは改善の基本であり必須条件である。

本日の決断

実はこの本を読んで、「日本人よ誇りを持て」は不要だなと感じた。だって私の言いたいことが、よりエレガントにそして説得力アップして一冊のまとまった本になっているではないか!
でも、伝道師は力不足であっても一人でも多い方が良いのではないかと考えた。
よって、恥を知りつつ、「日本人よ誇りを持て」を継続することを誓う。



KK様からお便りを頂きました(06.10.09)
野坂さんは、「蛍の墓」で判るとように、戦時下と敗戦下の日本を知っている貴重な人ですが戦場を知っている人ではない。ましてや、当時子供ですから、大人の軍人の徴兵、志願兵の視点はないはずですねえ。

ともあれ、、、平和な日本でも殺人の現場に遭遇する人もいますし、大手の社員が無邪気に下請け会社の人間を過労死に追い込んで無邪気に笑っております。

判っている人はわかっており、判らない人はわからない。それが平和というものでしょうか。


岳飛様からお便りを頂きました(07.07.18)
始めまして^^
弟に教わってこのサイトを見て見たところ、推薦する本の中に大変興味深いものがあったので早速注文してみました。
届くのは8月になりそうですが・・・
読むのが楽しみです^^
「戦争を知っていてよかった」正確かどうかわかりませんが・・・急いで書いているのでお許しください。
自分は高校三年の受験真っ只中なのですぐには読み終わらないと思いますが。
受験が終わったら真っ先に読むつもりです^^
PCは結構開いているので、よかったらお話しましょう^^
こういったサイトは弟に教わるまであまり見ていませんので右翼派とか左翼派とかよく分かりません。
詳しく読んでいる暇も無いため内容が薄くてすみません。
時間のある時には読んだり質問させていただきます。
よろしくお願いします^^
岳飛様 お便りありがとうございます。
本はたくさん読むに限ります。たくさんでも偏っていると効果がありませんけどね
いろいろな本をたくさん読む、そうするといろいろな見方、考え方、人がいるということがわかります。
それこそが学ぶということでしょう。
お読みになったら感想文をお願いしますね

岳飛様からお便りを頂きました(07.07.19)
佐為さん お返事ありがとうございます^^
自分も少し今日はサイトや一読してねなどの動画などを見てみました。
既に持っている本ですが、受験シーズンに入ってしまい読めなくなっている本があります。
「韓国併合への道」です。
弟がぜひ欲しいと言っていたので買ってあげたものです。
自分は受験勉強などで忙しい上に目に障害を持っていて読む速度が遅く、まだ太公望など読まなければならない本も大量にあったため、読んではいませんが、弟に聞いたところ、併合前の朝鮮(李朝王朝)は高位の武官職に文官が就いていたりと軍事をまったく重要視せず、その上、腐敗しきっていたそうです。
それで当時の日本軍と戦って負けるのは当然ですし、日本軍が破壊した物の賠償はした方がいいが、戦争をした事について、普通は謝る必要すらないと思います。
併合してくれと言ったのは向うですし、賠償金を払うどころか日本と一緒にアメリカの植民地になっていてもおかしくない国だと思います。ならなくてよかったと思いますが^^;
「韓国は「なぜ」反日か?」と言うサイトでも見ましたが約16兆円区もの大金を日本から受け取っていながら、それを全て韓国は内乱で使い切っているそうですね。
そんな愚かな国とはそく断交すべきだと学校のテストにも書かせていただきました^^
このサイトを知る前です。
一般的には戦争で負けると言うのは付け込まれるような隙を作り、準備を怠った方が悪いので、勝った方が、その土地をどう使おうと勝手なので合併などせずに、中国から引き離した時点で無理やり自立させロシアや中国に対する盾として使うのがよかった(上策)と思いますが、日本人のやさしさから併合してやったそうです。
併合などしない方が金もかからずにすんで、独立するときには金まで要求することが出来ます。
ようするに併合さえしなければ借金は向うがする羽目になり、土地が狭く農業もあまり出来ないために自立するのがやっとでたでしょうから、資金援助は必要だったかもしれませんがそれだって防御を固めるための資金などなので都市など発達させるのは日本がやらずに済んで、もっと効率がよかったと思います。
何か違っていたところがあったら指摘してください。勉強になります。

あと名前が岳飛なのは高1のときに、いじめられてから孫子を二度読み兵法書が面白くなり、一時期は自衛官を目指したこともあります。
ですが、成績的に無理であきらめましたが・・・。
また、「武経七書」も読み終わり、「呉子起つ」と言う本で中国の歴史に 興味を持ち、「楽毅」を読み太公望をただいま読んでいる経緯です。
なので、中国史は好きですが現在の中国は日本人に憎悪を向けているので好きになれません。
朝鮮半島にしても同じです。
仕掛けてきている時点で敵国ですし、歴史上では、何度と無く他国を裏切っている信の無い国です。
よって好きにはなれません。
日本人であるのでご安心を^^
まだ実は岳飛を読んではいないのですが、学校の先生に岳飛を見せに行ったところ、岳飛を読んで泣かないやつは漢(男)じゃないと薦められ、この人の話を少し聞いて、同じ真似は自分には出来ないと思、岳飛が好きになりました。
毛沢東までの歴史を大体学んだら次は西洋の兵学→歴史に行くつもりです。
日本のことは逆説の日本史と言う本で学ぶつもりです。
大学に行ったらみんな読んでしまいたいと思います。
コレからちょくちょくサイトをのぞくのでよろしくお願いします^^
岳飛様 お便りありがとうございます。
真の歴史を学ぶためにわざわざ個人で本を読まなくてはならないとはおかしなことですね。本来なら学校で真の歴史を教え、それを学べば用が足りなければならないはずです。
学校で習う掛け算九九が間違っているから家庭で本当の掛け算九九を学ばなければならないなんてことはありませんもの。
まあ、こういったことが即、戦後民主主義なのでしょう。
ただ、つじつまが合わないことには多くの人が気付き、おかしいなあ?と言い出すのは時間の問題というのも真実でしょう。
気がつかずに、おかしな教えや思想を信じている人がいることが不思議でなりません。

岳飛様からお便りを頂きました(07.07.20)
真の歴史を学ぶためにわざわざ個人で本を読まなくてはならないとはおかしなことですね。本来なら学校で真の歴史を教え、それを学べば用が足りなければならないはずです。
いつもそう思いますが、これは逆に自分に与えてくれた幸福だとも思います。
自分より頭の良い人が居ないから、逆にいじめから逃れられたのだと思います。
まぁそれは中国兵法のことなのでいいとしても。
日本史や朝鮮史については許せないことがいくつかあります。
日本史はなぜ年号などというくだらない表面の知識など覚えねばならないのでしょう?
もっと知っておかなければならない道徳的な知識や歴史に残る所以であるその人の人格やどのような状況でどのように活躍しどのようなことを学びどのような環境に育ったかなど、大切であり最も知るべきその人の価値観がまったく教えられた事が無い。
織田信長をただの卑怯者だと信じている人も居るようです。
自分が兵法を学び織田のとった行動のわけやそのときの状況など学んだところ、織田信長は非常に長い戦略と敵の裏の裏をかいた情報操作とスパイの用い方の腕前を持ち、それには尊敬しているほどの人です。
自分にはとてもあのようなまねは出来ないし、織田があれだけ小さな土地から急速に勢力を広め、どれだけの奇策を用い、長期戦略によって敵をそれほど戦う事無く、かつ少数の兵で多数の兵を破り、羽柴秀吉を農民出なのに才能を見出し重用し、反織田連合を突破し、負けると見れば戦う前からすぐに逃げ、自分より戦術に長けた者とは戦わず、これぞ「風林火山」だと思うのです。実は、「速きこと風のごとく、静かなること林のごとく、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとく、知りがたきこと闇のごとく、動くこと雷帝の如し。」まであるのですが。
「風林火山闇雷」になりますね。
天の時も、人の和も、地の利も分かって居た人だと思います。
天下を取れずに没してしまいますが。残念です。「状況判断」参照です。

それに前に書いたメールで戦争で謝る必要すらないといったのは、負けた方が悪いのと、負ける原因を作った政府が悪いからです。
そうでなければ、戦争で死んでいった、名前も残らぬ勇者たちにどう顔向けが出来ましょうか?
例え敵兵の勇者であっても同じことです。
戦争が終われば丁重に埋葬し、その家族には負けた国の政府の蓄えた金で賠償し、一般人は傷つけず、降伏兵は戦争が終われば家に帰し、安全に平和に暮らせるように政治を担ってゆくのが、真の償いであると信じています。
当然前政府の高官や君主は皆殺しですが。
民には罪は君主とその汚れた政府にあり、戦争を仕掛けた時点で既に勝敗は決まっていて、現実に立脚した方が勝つのは当たり前です。
そのために、戦争が始まった時点で敵国の国民は我が国の国民であり、敵降伏兵は我が国の資産であり、敵の降伏兵を殺し、敵領土で物を盗むのは自国で物を盗むと同じ罰則を与え、一般人を傷つけるのは、自国民を傷つけるのと同じ罪であり、敵降伏兵を殺すのは我が国の労働力を減らすに等しい。
と言う事が戦争のルールであると信じています。
利を見て前へ進み、損を見て撤退する。コレが中国の兵法のやり方ですが、本当に戦争のルールを知っているものは、必ず自軍の兵には信賞必罰を徹底し、敵にはのんびりやっているように見せながら裏で万事をなし、確実に勝利を得るのです。そのため利益とは敵国であり敵国とは敵の領土と人民なのであります。
つまり金目当てに戦争をやるのではなく、大儀と自国の繁栄のために戦うのだと思います。
それでも中国という国は広く悪将・官や愚将・官は尽きることが無く、いつまでも戦争の続きなのです。
中国というのはいい君主が出ては治まり、悪しき君主が出ては乱れるの続きだと本で読んだことがあります。
話がずれましたが、そのため謝っても戦車は帰ってこず、時が過ぎれば感情は風化し、悪しき君主が出るまで治まっていき、それを倒すために皆団結しともに戦うのですから民族の違いなどちっぽけなものだと思います。
それでは自分はたまたま日本に生まれましたが、その人として生まれてくる確立というのは、他の国の人間と同じだと思います。たまたま日本に生まれ普通に暮らしていて何をしているというのでしょうか?
朝鮮人は(中国人も)待ったく身に覚えも無く、自分たちが人間一個の存在として生まれてもいなかった時のことで謝られても自分には逆に頭が狂っているのかと思わざるをえません。
それは自分が今幸せに暮らせていて、辛い事を乗り越えたことが少なからずあるという自立心が少しはあるからに違いません。少なくとも自分の国に誇りを持てているならば、アメリカに原爆で謝られたら逆切れするようでなければならないと思います。
ついでに言っておきますと台湾の人が書いた「李登輝学校の教え」という本を見つけました。
金のあるときに買っておこうと思います。
日本人よの戦争論の関連にありました。
先に織田を上げたのはもう一つ意味があって、自分は諸外国から植民地にされなかったのは、織田の武功が大きかったからだと思います。
何故なら豊臣が天下を統一し、家康が400年近くも国を治め一致団結して外国から国を守ろうと出来たのは、元はと言えば織田があれだけ頑張ったからだと思います。
自分が日本について詳しく学んだのはここが一番最初なのでこれだけは正しておきたいと思い、書かせていただきました。
長い文章ですみません。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
岳飛様 毎度ありがとうございます。
いろいろな意見があって当然だし、見方はひとつしかないなどと共産党のようなことをいうつもりはありません。
織田信長にしても中国にしても、そのときの時代背景や価値観あるわけで、それを理解して初めて判断や行動を評価できると思います。そういう意味で現在の価値観で日本の戦国時代や古代中国を見てはいけないと思います。
戦争という意味、位置づけも現代は現代の考えがあるわけで、敵兵の扱いについて論じるのもジュネーブ何たらだけでなく古代中国をベースではなく、国民国家という前提で考えることが必要と思います。
まあ、議論を進めるもよし、じっと立ち止まって考えるもよし
私が、「考える」でなく「思う」というのはそうとうの違いがあります。まあ、そんなことも含めて考えてみましょう。


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