「やがて中国の崩壊がはじまる」ゴードン・チャンgoodbetter
昔、小室直樹の「ソビエト帝国の崩壊」(1980)を読んだ時、えっ、まさか!と思いましたね。その年アフガン侵攻してソ連はその勢力を誇示してました。
日本はアメリカとソ連の板ばさみで苦しんでおりましたし、スクランブルが年何百回という時代だったんです。
スクランブルって知ってます。外国の飛行機が日本の領空に進入したとき航空自衛隊機が飛び上がることです。といっても排除することはできず、相手が攻撃してくるのを待つという日本の法律があるんです。いやあったと言い換えます。やっと領海、領空侵犯の船や飛行機を排除できる法律ができたんです。よかったですね、
当時基地を見学に行ってたまたまスクランブルを見た革新政党の議員はそれを訓練だとしてソ連機の領空侵犯とは絶対信じなかったそうです。
今はロシア機による領空侵犯はほとんどありません。軍事行動する必要も減ったでしょうし、財政が許さないでしょう。
それから10年でソ連は小室先生の予言とおり民主化しました。さすが、すごい洞察力です。
真実は見えるか? 今私は「やがて中国の崩壊がはじまる」という本を読んでいます。これは予言書でしょうか?それとも他愛のないヨタ話なのでしょうか?
小室先生の本も、この本も数字が少ないのです。「ソビエト帝国の崩壊」では歴史の必然でそうなるのだという理屈であり、「やがて中国の崩壊がはじまる」では多くの有識者の聞き取りにより推論しています。もっとも共産主義国家の場合、国家の各種統計値は機密であったり、中国の場合はもともとデータがないという条件下では数字を足したり引いたり、外挿したりしても意味がないこともあるでしょう。
今年(2001年)中国はWTO(国際貿易機関)に加盟しました。私は中国もたいしたもんだ!とひねた印象をもっていました。この本を読むとこれは先進諸国が中国を国際社会に引きずり出すための手段だったとあります。
これで中国は人治主義から法治主義に変わらざるを得ない。すれば、民主化、民有化は進むだろうという思惑だそうです。そして行き着く先は共産党と共産主義の崩壊と読んでいます。
はたしてどうでしょうか?
少なくとも私には中国が国際ルールを守るとは思えません。いつでもどこでも彼らはルールを破り、ルールを変え、約束を破るでしょう。なにしろ指導者の決定は法律以上なのですから。

私にはこの本は予言書ではなく、中国崩壊を希望する書のように思えます。
いずれそれが希望なのか、予言なのか、せいぜい10年間で答えはでるでしょう。なにしろ2008年のオリンピック後で結果が判明するのは間違いありません。
私の目の黒いうちに知ることができるでしょう。

私の少年時代、青年時代、高度成長や所得倍増があっても冷戦というのは頭上に重くのしかかっていました。いつ何時、ミサイルが核爆弾が落ちてくるかもしれないという恐怖、それは杞憂ではなかったのです。
ソ連崩壊後、テロ以外はその心配はなくなりました。いえ、テロも怖いですが、、
しかし、中国が崩壊したらこれまた非常に危険なことです。何しろ核兵器を持っています。ソ連崩壊後、核兵器のずさんな管理による汚染や武力をほしがる国への拡散が続いています。中国の核兵器が拡散したり、地方の軍閥がおもちゃにしないとは限りません。
また、それ以上に飢えた10数億の民は一体どこに向かうのでしょうか?
過去の経済難民や戦争による難民を二桁や三桁上回る人々が周辺国に流れてきたらそれらの国々も崩壊してしまうでしょう。日本もそれをまぬがれないでしょう。
一体どうなるのでしょうか?

しかし、いずれにしろ中国の躍進とか経済成長率とか書いてある本は、この本のまえで真価を問われるでしょう。
中国は経済大国ではなかったのです。日本に比較できない不良資産がありそれを先送りしつづけている国。
中国は民主主義じゃありません。人間の自由を抑えつづけている、民主主義からもっとも遠い国
あっ、もっと遠い国、北朝鮮があったか!
中国は法治国家でなく、国民も外国人も共産党や主席、党役員が次に何を言い出すのか上目遣いで常に注視している国
私が一番住みたくない国ですね


冬の夜長に読む本としてぜひ薦めします。
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