環境レポート考 2002.11.30
本日はテーマを変えまして・・・
『環境レポート』なるものをご存知でしょうか?
環境レポートとは企業や自治体が一年間に環境に関してどのような活動をしたのか一般社会に広報するための報告書です。
まあその目的は投資のお誘い、あるいはいわゆる市民団体に悪意を持ってもらいたくない、一般の方々が会社に持っているイメージを上げようなんてところでしょうか?
いえ、上品に言えば情報公開というものでありましょう。
世界的に90年代半ばからはやりだし、流行に後れるのは不良債権処理よりいやな日本では、今では上場企業の義務みたいになっております。
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環境レポートをご覧になったことがない? いえ、ご心配ありません。
今はインターネットに日本で発行されているほとんどの環境レポートが掲載されております。
もちろん、現物がほしいならば、各社の環境担当部門あるいは広報部に『わし、御社の環境レポートほしいんじゃきに』と電話あるいはEメールすればすぐさま無料で送ってくれます。
なにしろ会社のイメージアップに作ったしろもので、ここでイメージを悪くしちゃ元も子もありません
『クレームに対してもこのくらい対応が早ければ・・・』と思うほどサービス良好です。
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どこの会社の環境レポートを開いても構成は似たり寄ったりです。
表紙は具体的な写真や絵はなく、なんか訳の分からん絵(抽象画ともいえない)が書いてあるのが常です。

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さてページを開くとどこも社長あるいはCEOがにこやかな顔をして、『当社は環境に配慮して事業を進めております』と同じようなことを言っています。
今まで私が見た中では女性の社長・CEOの写真が載っている環境レポートはありませんでした。
フェミニストの皆さん、断固抗議しましょう。
『環境に配慮する企業が女性に機会を与えないのか!』ってね
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ページをめくるにつれ、省エネルギー、廃棄物削減、危険物質の削減、公害防止の活動、社員への教育、紙の使用量を減らしました、海外への植林をしてますなどなどそれはそれは盛りだくさんの『よいこと』が書き連ねてあります。
まるで、明日にでも環境問題は解決しそうな雰囲気です。 よかったですね! 本当ならば、、
一冊環境レポートを読みましたら、次の環境レポートを開きましょう。
すぐまた、社長のご挨拶があり、環境保護活動の羅列が続きます。
こちらもやはり省エネを進め、環境に関する国家資格保有者が星の数ほどいらっしゃいます。
そうか環境NGOにも寄付をしているんだ、サスガヤナ〜
おお!この会社もすごい活動をしているんだ、感動だな〜、
二冊目を斜め読みしたあなたはそこでコーヒーに口をつけます。
そこで ハッ と気がつきます。
最初に見た環境レポートと次に見た環境レポートが比較できないことに・・・
いくつか具体例を考えて見ましょう。
- 環境会計と言うのがあります。
その会社が公害防止や廃棄物処理、環境事業などに費やしているお金を集計したものです。
この金額が大きいほうが良いのでしょうか? 少ない会社のほうが環境に悪影響を与えていないのでしょうか?
それさえ分からないのですが???
まあそれをおいといて同じ業種、同じ規模の会社を比較しても2倍くらい金額が違うなんてザラです。
細かく見ていきますと面白いのが多々あります。
ある会社は効果算出にあたり、それをしないと罰金を払うと仮定して試算しています。
へえ、そんなのありなの?
すると一般の財務会計において、当社は脱税した場合はこれこれの罰金を払わねばならないのに対して遵法に努めたのでこれだけ節税したとでも言うのでしょうか? 謎!
環境省が環境会計のガイドラインというものを毎年くらい見直しておりますので、だんだんと改善されてゆくとは思いますが・・・
- ゼロエミッション
ご存知でしょうか? ゼロエミッションという言葉、
文字とおり『放出をしない』ということですが、
1994年、国連大学がゼロ・エミッション研究イニシアティブというものを唱えました。
「産業界が21世紀において生き残るためには、製造工程の再設計、再生可能な原材料の優先的活用、そして最終的には排出物ゼロを目標としなければならない」とまあそれだけ聞けばもっともなことのように聞こえます。
使用原材料の種類と、生産・流通のプロセスを厳しく検討し直し、廃棄物を一切出さないゼロ・エミッション型産業構造に転換する必要があるそうです。ある産業にとって廃棄物であっても、別の産業にとっては資源になる。それをつないで輪を作り上げ、廃棄物を出さない産業構造を創造するんだそうです。
まあ、ここは環境レポートのお話ですからゼロエミにあまり突っ込みませんが、これは大いなるウソでしょう。既に多くの方がエントロピ増大の法則により、その理念自体が成り立たないと反論してます。
理論的にありえないゼロエミを多くの企業が実現しているそうです。
そんなことが可能なら永久機関も実用化されるのでしょうか? 
環境レポートをめくるとそんな大仰なこと書いてありません。
なんのことはない、
A社は企業から排出される不要物の99%をリサイクルすることをゼロエミと定義してます。
B社は98%だそうです。
C社はリサイクルするより埋め立てした方が環境負荷が少ない場合、リサイクルしなくともゼロエミと宣言してます。
謎だ | |  |
さらには各社とも工業排水はいくら排出しようとゼロエミに含んでいないようです?
『水に流す』というのは江戸時代から健在なようです。
- 化学物質の使用量
02年度よりPRTR法が施行され、企業、学校など化学物質を使用しているところは排出移動量を行政に報告しなければならなくなりました。
環境レポートにもしっかり化学物質使用量が掲示されています。
ところが、、
同じ業種、同じ規模の会社同士比べますと3倍くらい数値が違うんです。
はたしてこの数値は信用できるのでしょうか? 謎は深まります。
- 国家資格保有者
の人数も載っています。
当社は公害防止管理者が何百人います。 すごいですね!
でもそれって、特定施設が多くあり、国家資格者がいないと運用できないからではないんですか?
環境負荷の少ない会社で国家資格が不要ならば国家資格保有者がいないのは当たり前ですよね?
有資格者が多いことが自慢になるのでしょうか?
それとも当社は危険が大きいですよと言っているのでしょうか? 謎です?
- その他各社共通ですが、
『当社のすべての事業所はISO14001認証取得しています。』
それにISO14001って最低限であって、認証も取れない企業じゃ心配だよね、
過去に排水経路を把握していなかった企業や廃棄物処理で逮捕者が出た企業も、ホームページにISO14001認証取得って書いてありましたね・・・・
結局、各社言いたい放題ですが・・・
実のある情報はないようで よくワカリマセンデシタ。
ちょっと違うんですが、変なことを思いだしました。
船の大きさを表すにはトンを使いますが・・・
- 貨物船は重量トン
積める荷物の重量を言います。
- 客船は純トンあるいは総トン
総トン数は、型容積、すなわち外板の内側から外板の内側まで全ての容積、純トン数は、旅客または貨物の運送の用に供する場所の大きさを表わします。いずれも100立方フィートを1トンとして換算します。
- 軍艦の大きさを表すには排水量
アルキメデスの原理によって、舟の重みで排水する水の重量(計量法が変わり今では質量と言います)をあらわすもの・・・本当の重量といえます。
ところがこれにも種類があります。
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基準排水量:艦の自重
常備排水量:通常の状態での重量
満載排水量:燃料や弾薬を満載した状態 |
ですから、戦艦大和は基準排水量63800トン、クイーンエリザベス70327純トン、重油流出のナホトカ号は13,157重量トンとしたとき、どの船が大きいかということは単位が違い比較できません。
もっとも日本海岸を汚染したナホトカ号は沈没した時、C重油19,000キロリットルを積んでいたといいます。
13500重量トンの船に17000トンの重油が積めるのか?(比重0.9として)
これは、いったい?
日本の海上自衛隊は基準排水量で表示し、ヨーロッパは常備、アメリカは満載が多いそうです。
日本の誇る護衛艦『こんごう』は基準排水量7250t、アメリカ海軍の主力駆逐艦『アーレイバーク・フライトUA級』は満載排水量9217tと公表されています。
さて、どちらが大きいでしょう?
非公式なデータによると『こんごう』の満載排水量は9500tだそうです。
これは日本人特有の謙遜の美徳なのでしょうか?それとも中国さま、サヨクさまを刺激しないよう控えめに申告しているのでしょうか?
更についでですがアメリカのタイコンデロガ級巡洋艦は満載排水量9590トン、海上自衛隊の護衛艦(つまり駆逐艦)はアメリカ海軍では巡洋艦だったのだ。
本日の言い訳(エクスキューズ)
え〜、本日は頭を休ませるために、調べなくとも書けるテーマといたしました。
ということで悪しからず・・・
誰です?
いつも頭を休ませてばかりじゃないかっておっしゃる方は?
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